宗教
2022年11月11日
ネトウヨさんはしばしば「韓国人は何でも韓国が起源だと主張する」と言います。
『韓国起源説』というやつですね。

…こんな風に政治性のない場ですらネタにされるほど、ネット界に広まってたり。
しかし『韓国起源説』はしばしば話がかなり盛られています。
ネトウヨさんが当の韓国人も聞いたことのない様な珍説を持ち出し、さも韓国社会全体が『韓国起源説』を信じているかの様にふれまわったりしているので要注意。
ネトウヨさんが盛んに喧伝する「韓国人は糞酒トンスルを嗜む」というデマも、韓国の人はほぼ「トンスル? 聞いたことない」という反応でしたが…
それみたいなもん。【註1】
Wikipedia『韓国起源説の一覧』の項にも
『ただし、必ずしも韓国国内で信じられている訳ではないことに注意を要する』
という但し書きがあるほどです。
例えば↓ココでは…
【livedoor NEWS】
『【韓国BBS】韓国起源説は日本人が作ったデマ、日本の陰謀だ!』
https://news.livedoor.com/article/detail/7239954/
日本のネットに列挙された『韓国起源説』を見た韓国人は「なんじゃそりゃ!?」的な反応。
そしてそういうコト書いちゃう日本について
『独自の文化そのものがない国』
『歴史コンプレックス』
『コピー大国』
と言い出します…が、これネトウヨさんが韓国人にぶつけてる言葉と同じやん…
しかも「韓国起源説は、日本が作り出した陰謀」という陰謀論まで出てくるし。
相変わらず日本のネトウヨさんと、向こう版のネトウヨさんはやってることが同じだな~…【註2】
また↓ココを見ると…
【Record China】
『「剣道は日本のものでしょ」、大韓剣道会会長の発言に韓国ネット冷ややか』
https://www.recordchina.co.jp/b643987-s0-c50-d0144.html
大体どこの国にもおかしな主張するトンデモさんはいるものです。
そしてトンデモさんなんて滅多に世間の支持を集めることもなければ、よほどの好事家でもない限り存在すら知らないものです。
それを探して「あいつらはこんな無茶な主張をしている!」と叫べばどんな難癖だって付けられます。
「韓国だけそういうのが異常に多いんだよ!」という主張もありますが…
これには3つの理由がある様に思えます。
まず日本文化の多くは、朝鮮半島から入って来たものが原型になっていること。
なので日本でガラパゴス化したものも、大抵のものは「元々は韓国のもんや」と言って言えなくはない感じ。
まぁ日本の固有種も大半は半島から移入して分化したもの、みたいな。
「やや強引だけど、無根拠ではない」くらいの感じでしょうか。
もうひとつは、ネトウヨさんが鵜の目鷹の目で熱心に探すから多く見えちゃう、という点です。
例えばネトウヨさんはよく
「韓国人は『飛行機は韓国の発明だ』と主張している」
と言います。
その「飛行機」とは、400年ほど前の文献に『飛車』と呼ばれる飛行機械があったという記述が残っている、というもの。
【NEWSポストセブン】
『世界初の飛行機は秀吉朝鮮出兵時に城から脱出した「飛車」説』
https://www.news-postseven.com/archives/20131218_230949.html?DETAIL
航空機の発明に遡ることおよそ300年、もちろん航空力学的にはめちゃくちゃだし、実現可能な動力源のアテがある訳でもなく、実用性は皆無です。

そしてその復元がコレ。

全然似てねぇー!
でもコレがダメなら、レオナルド・ダ・ヴィンチのヘリコプターかてそうやん…。

コレだってヘリコプターの発明に遡ることおよそ400年、もちろん航空力学的にはめちゃくちゃだし、実現可能な動力源のアテがある訳でもなく、実用性は皆無です。
しかしその模型は各地の博物館に展示され、その姿は全日空の社章にまでなってますよね。
…めちゃめちゃ認められてるやん。
ネトウヨさんはそっちには噛みつかないのでしょうか?
あとコイツも実用に耐えるものが作られてるのですが…
タイトルの凄さに反して、実物はこんな。

【カラパイア】
『ダ・ヴィンチの530年前の発明品「空気スクリュー」は本当に空を飛ぶことが実証される』
https://karapaia.com/archives/52310244.html
一方、日本では明治期に模型飛行機を開発した二宮忠八が「飛行機の真の発明者」「世界で最初に模型飛行機を製作」などと持ち上げられ、喧伝されることがあります。
二宮忠八の『烏型飛行器』

二宮忠八の『玉虫型飛行器』

二宮忠八は時代の無理解に翻弄された、悲劇の偉人ではあります。
が、言ってみれば彼の発明は…
◉『烏型飛行器』は、海外の同様の発明から20年遅れで駄菓子屋のゴム動力竹ひご飛行機みたいなのを作っただけ
◉『玉虫型飛行器』はちょっと無理めな人力飛行機の模型を作っただけ
…とも言えちゃう訳です。
『玉虫型飛行器』は近年になって2回、実際に飛行する様に復元もされていますが…


ちゃんと飛ぶ様に尾翼が追加されたり、そもそも似てなかったり。
こういうのって「復元あるある」なんよね。
しかもその後、二宮忠八は何故か宗教に傾倒し、『飛行神社』なるギリシャ風の珍スポットを建設。
ここの祭神は饒速日命(ニギハヤヒノミコト)なのですが、コレはニギハヤヒが乗っていた空中を飛行する船「天磐船」(アメノイワフネ)を「飛行機」と解釈した結果だそうです。
日本神話のアメノイワフネ=飛行機!
韓国の「飛車=飛行機」どころとちゃうやろコレ。
しかし韓国の復元『飛車』は、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チョ・ギュイル晋州市長は「私たちの先祖の優れた航空技術から作られた飛車の復元が、宇宙航空産業のメッカとして成長している晋州にぴったり合った事業だ」とし、「飛車を活用した教育・体験・観光産業が活性化されるよう、委員の識見と知恵、経験を集めてもらいたい」と述べた。
まだ拡散してんのかよ!
ネトウヨさんは
「韓国には誇るべき歴史がないというコンプレックスから、何でも起源説を唱えて自国の手柄にしようとするのだ」
と「説明」することが多いですが…
そもそも「誇るべき歴史がない」というのが醜悪なオリエンタリズム・エスノセントリズム丸出しの恥ずかしい発言やん…。
そして「コンプレックスの裏返しで起源説」は日本もさんざんやってるんだよなぁ…
特に明治・大正・昭和初期には国家への帰属意識が高まる一方、欧米への劣等感を感じていたため、トンデモな起源説が花盛り。
◉青森の『キリストの墓』
◉木村鷹太郎の『新史学』
◉日ユ同祖論
◉義経=ジンギスカン説
などのトンデモが吹き荒れます。
『キリストの墓』は村にあった地味な塚に竹内巨麿というオッサンが現れ、
「ゴルゴダの丘で死んだのはキリストの弟イスキリ。キリストは脱出して青森に辿り着いた。コレがその墓や!」
と後から勝手に認定。
ちなみに竹内巨麿認定物件としては、他に石川の『モーセの墓』や富山の『古代日本のピラミッド』があるよ!
このオッサンは天津教という宗教をおっぱじめ、
「ウチ(茨城)が世界の中心や」
「古代、天皇は『天の浮舟』(あめのうきふね)というUFOに乗って全世界を巡行してた」
「モーセやら釈迦やら世界のビッグな宗教人はみな来日し、天皇に仕えたんや」
「ウチに三種の神器あるで。あと十戒石・真十戒石・裏十戒石なんかも」
といったロマンと中二魂溢れる教義で当時のウヨちゃんを魅了。
なんか言ってることが「ファミコンソフト100本持ってる」とか言っちゃう虚言癖の小学生か、『ムー』の文通欄にいた前世戦士みたいなんだよなぁ…。
この頃の新興宗教は天皇♡ラブの神道系が多いのですが、国家神道の統一見解から激しくはみ出した解釈違いが横行したため、不敬罪で逮捕されたり弾圧されちゃったりが頻発します。
ココもそのひとつ。
まぁ二次創作が公式に逆らっちゃダメよね…。
なお、Wikipedia『竹内文書』には
『1935年(昭和10年)12月28日、神宝が秦真次の手により東京市・靖国神社の遊就館の松田常太館長に託された。』
とあります。
あの靖国神社・遊就館やんけ!
まぁ国家神道も天津教も
「近代以降に作られた神道系宗教で、『うちが日本の伝統と権威を引き継ぐ総本家です』と主張」
という点では共通してるので、仲良しだったんですかね…?
そしてこういうのは大体
「我が国の科学・歴史は世界一ィィィィ────ッ! できんことはないイイィ──────ッ!!」
という、「おらが里のお国自慢」になりがち。
コレが国家より小粒な地方レベルになると、「中央を離れた東北にもすごい文化があった!」という偽書『東日流外三郡誌』とかがあります。
ちなみに邪馬台国の位置については「九州だ」「いや畿内だ」と今も熱く揉めてる訳ですが…
先日、神戸で「邪馬台国は神戸にあった!」と唱える珍説のパンフを貰っちゃいました。
そんなのあるんだ!?(困惑)
【神戸トピックス】
『邪馬台国は神戸にある!』
https://kobeport.exblog.jp/12454320/
こういうのは大体、地元の郷土史家とかが唱えて、地元のメディアがたまに取り上げる程度にしか知られていなかったり。
『韓国起源説』も『日本起源説』も、しばしば言い出しっぺはそういったマイサイドバイアス塗れな珍説だったりするので、私は話半分に聞いてます。
事実ならいずれ定説化するし、気になるやつは自分でソースを深掘りすれば大体分かるやん。
木村鷹太郎の『新史学』も似たよーなものです。
Wikipediaによれば、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本を世界文明の起源と位置づけ、かつて日本民族が世界を支配していたとする「新史学」を熱烈に唱えた。他にも邪馬台国エジプト説(邪馬台国はエジプトにあったとする説)や、仏教・キリスト教批判などの独創的な主張で知られる。異論に対して徹底的に反撃・論破する過激な言論人でもあり、論壇において「キムタカ」と通称されて恐れられ、忌避された。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さらに
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その研究の多くは存命中から異端学説と見なされてきた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…だそうです。
日韓以外からもこの手のやつを紹介していくと…
例えば↓こんな本。
『ネイティブ・アメリカンが証明した 古代、アメリカは日本だった! 失われた旭日帝国の謎を解く』
(ドン・R・スミサナ/著 吉田信啓/訳 徳間書店 1992年)
コレはトンデモという概念を広めた元祖である『トンデモ本の世界』でも紹介されてた程の逸品。
ご宗旨はタイトルとは真逆で、「日本人の祖先はアメリカインディアンだ」といったもの。
もっとも、訳者は『超古代、日本語が地球共通語だった!』という本を出してる程の逸材…
逆の主張をしてる人なので、邦題を自説に寄せたのかも。
根拠は「bone」と「骨」は似てる、とか「オハイオ」は「おはよう」だ、とかのよくあるやつ。
大体、言語なんてせいぜい数十種類の音の組み合わせでしかないので、そらカブることかて普通にあるやろ…。
ちなみにこういう英語と日本語の共通点は先ほどの木村鷹太郎も持ち出してます。
言語の共通性に注目するのはトンデモさんしぐさなので大体スルーでOK。
あと
◉「数字をいじくって意味を見つける」
◉「文字を組み替えてアナグラムに興ずる」
◉「地図上に線を引きだす」
もトンデモさんしぐさ。
…さて、次回は『日本起源説』の極北をご覧に入れますのでお楽しみに!
【註1:「韓国人は糞酒トンスルを嗜む」というデマ】
トンスルについては以下のエントリを参照。
『糞喰い民族とは誰のことだったのか ートンスル伝説ー』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/2022-01-04.html
【註2:Wikipedia『韓国起源説の一覧』】
ちなみにWikipedia『韓国起源説』はネトウヨさんが編集に参加しちゃってるのか、日本第一党党首・元在特会会長の桜井誠が書いた『嫌韓流 実践ハンドブック 反日妄言撃退マニュアル』から延々と引用してたりするので要注意です。
ソースが桜井誠って…ラムザイヤー論文かよ。
でもコレがダメなら、レオナルド・ダ・ヴィンチのヘリコプターかてそうやん…。

コレだってヘリコプターの発明に遡ることおよそ400年、もちろん航空力学的にはめちゃくちゃだし、実現可能な動力源のアテがある訳でもなく、実用性は皆無です。
しかしその模型は各地の博物館に展示され、その姿は全日空の社章にまでなってますよね。
…めちゃめちゃ認められてるやん。
ネトウヨさんはそっちには噛みつかないのでしょうか?
あとコイツも実用に耐えるものが作られてるのですが…
タイトルの凄さに反して、実物はこんな。

【カラパイア】
『ダ・ヴィンチの530年前の発明品「空気スクリュー」は本当に空を飛ぶことが実証される』
https://karapaia.com/archives/52310244.html
一方、日本では明治期に模型飛行機を開発した二宮忠八が「飛行機の真の発明者」「世界で最初に模型飛行機を製作」などと持ち上げられ、喧伝されることがあります。
二宮忠八の『烏型飛行器』

二宮忠八の『玉虫型飛行器』

二宮忠八は時代の無理解に翻弄された、悲劇の偉人ではあります。
が、言ってみれば彼の発明は…
◉『烏型飛行器』は、海外の同様の発明から20年遅れで駄菓子屋のゴム動力竹ひご飛行機みたいなのを作っただけ
◉『玉虫型飛行器』はちょっと無理めな人力飛行機の模型を作っただけ
…とも言えちゃう訳です。
『玉虫型飛行器』は近年になって2回、実際に飛行する様に復元もされていますが…


ちゃんと飛ぶ様に尾翼が追加されたり、そもそも似てなかったり。
こういうのって「復元あるある」なんよね。
しかもその後、二宮忠八は何故か宗教に傾倒し、『飛行神社』なるギリシャ風の珍スポットを建設。
ここの祭神は饒速日命(ニギハヤヒノミコト)なのですが、コレはニギハヤヒが乗っていた空中を飛行する船「天磐船」(アメノイワフネ)を「飛行機」と解釈した結果だそうです。
日本神話のアメノイワフネ=飛行機!
韓国の「飛車=飛行機」どころとちゃうやろコレ。
しかし韓国の復元『飛車』は、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チョ・ギュイル晋州市長は「私たちの先祖の優れた航空技術から作られた飛車の復元が、宇宙航空産業のメッカとして成長している晋州にぴったり合った事業だ」とし、「飛車を活用した教育・体験・観光産業が活性化されるよう、委員の識見と知恵、経験を集めてもらいたい」と述べた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…市長が『私たちの先祖の優れた航空技術』とホルホル発言。
そらネトウヨさんも大喜びですわ。
ソースは↓ココ。(※ネトウヨさんサイトです)
【Don't Disturb This Groove】
『【韓国】 1592年に空を飛んだ『飛車(ピチャ)』、復元される』
https://ameblo.jp/mondo-n/entry-12513772501.html
…しかし、記事ではこの発言の直前にこうあるのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
市は、飛車復元を通じて歴史文化都市市民としての自負心を高めて、復元された飛車を活用して、飛車キャラクター製作、飛車公園造成、飛車飛ばし大会、飛車ミュージカル製作など、様々な観光商品として開発することで、今後の観光および地域経済の活性化に貢献できると期待している。…市長が『私たちの先祖の優れた航空技術』とホルホル発言。
そらネトウヨさんも大喜びですわ。
ソースは↓ココ。(※ネトウヨさんサイトです)
【Don't Disturb This Groove】
『【韓国】 1592年に空を飛んだ『飛車(ピチャ)』、復元される』
https://ameblo.jp/mondo-n/entry-12513772501.html
…しかし、記事ではこの発言の直前にこうあるのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…つまり商品化目的なんですね。
こういう時の政治家の発言は、あまり真面目に受け止めるべきではありません。
ブラジルでもUFOで町おこしを図ってる地域の市長が「UFOはもちろんいますよHAHAHA!」とか言ってました。
日本でもカッパで町おこししてる岩手県遠野の観光協会(市から補助金が出ている公益的な団体)が『カッパ捕獲許可証』を発行してるし。
もうちょっと生臭い話をすると、北海道ではティラノサウルスの仲間の化石が出土し、『エゾミカサリュウ』と命名されて観光資源化したのですが…
わりとすぐにティラノサウルスではなくモササウルス(恐竜ではなく巨大な海棲のトカゲ)の仲間だと判明。
しかし研究者が地元民に忖度して長らく黙ってた、なんていう事件も。
別に日本をディスりたい訳ではありません。
この様に事実だけを述べつつ特定の国を貶めるのは簡単なことなんですよ、そういうバイアスには気をつけましょうね、と注意を喚起したいだけです。
韓国起源説がやけに多く見える理由の3つめとして、デマが挙げられます。
これは悪意に満ちた捏造だけではありません。
韓国起源説がネタとして浸透した結果、「韓国ならこれくらいのこと言いそう!」というネタが作られちゃってるのです。
何しろWikipedia『韓国起源説』には「悪戯による韓国起源説のパロディ」という章まで存在するというありさま。
これは「ガチで言ってるアレな主張は、トンデモすぎてネタと区別がつかない」という『ポーの法則』の実例ですね。
有名な例だと、コレは北朝鮮ですが
「北朝鮮、太陽に着陸成功したと主張」
という話が拡散。
しかしソースはジョーク記事でした。
【ねとらぼ】
『北朝鮮、人類初の太陽着陸に成功したと発表→ジョーク記事でした』
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1403/03/news121.html
しかし、今でも信じてる人↓がいたり。
【劇バズ】
『【悲報】北朝鮮宇宙飛行士、太陽に着陸成功してしまうwww』
https://gekibuzz.com/archives/11118
…つまり商品化目的なんですね。
こういう時の政治家の発言は、あまり真面目に受け止めるべきではありません。
ブラジルでもUFOで町おこしを図ってる地域の市長が「UFOはもちろんいますよHAHAHA!」とか言ってました。
日本でもカッパで町おこししてる岩手県遠野の観光協会(市から補助金が出ている公益的な団体)が『カッパ捕獲許可証』を発行してるし。
もうちょっと生臭い話をすると、北海道ではティラノサウルスの仲間の化石が出土し、『エゾミカサリュウ』と命名されて観光資源化したのですが…
わりとすぐにティラノサウルスではなくモササウルス(恐竜ではなく巨大な海棲のトカゲ)の仲間だと判明。
しかし研究者が地元民に忖度して長らく黙ってた、なんていう事件も。
別に日本をディスりたい訳ではありません。
この様に事実だけを述べつつ特定の国を貶めるのは簡単なことなんですよ、そういうバイアスには気をつけましょうね、と注意を喚起したいだけです。
韓国起源説がやけに多く見える理由の3つめとして、デマが挙げられます。
これは悪意に満ちた捏造だけではありません。
韓国起源説がネタとして浸透した結果、「韓国ならこれくらいのこと言いそう!」というネタが作られちゃってるのです。
何しろWikipedia『韓国起源説』には「悪戯による韓国起源説のパロディ」という章まで存在するというありさま。
これは「ガチで言ってるアレな主張は、トンデモすぎてネタと区別がつかない」という『ポーの法則』の実例ですね。
有名な例だと、コレは北朝鮮ですが
「北朝鮮、太陽に着陸成功したと主張」
という話が拡散。
しかしソースはジョーク記事でした。
【ねとらぼ】
『北朝鮮、人類初の太陽着陸に成功したと発表→ジョーク記事でした』
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1403/03/news121.html
しかし、今でも信じてる人↓がいたり。
【劇バズ】
『【悲報】北朝鮮宇宙飛行士、太陽に着陸成功してしまうwww』
https://gekibuzz.com/archives/11118
まだ拡散してんのかよ!
ネトウヨさんは
「韓国には誇るべき歴史がないというコンプレックスから、何でも起源説を唱えて自国の手柄にしようとするのだ」
と「説明」することが多いですが…
そもそも「誇るべき歴史がない」というのが醜悪なオリエンタリズム・エスノセントリズム丸出しの恥ずかしい発言やん…。
そして「コンプレックスの裏返しで起源説」は日本もさんざんやってるんだよなぁ…
特に明治・大正・昭和初期には国家への帰属意識が高まる一方、欧米への劣等感を感じていたため、トンデモな起源説が花盛り。
◉青森の『キリストの墓』
◉木村鷹太郎の『新史学』
◉日ユ同祖論
◉義経=ジンギスカン説
などのトンデモが吹き荒れます。
『キリストの墓』は村にあった地味な塚に竹内巨麿というオッサンが現れ、
「ゴルゴダの丘で死んだのはキリストの弟イスキリ。キリストは脱出して青森に辿り着いた。コレがその墓や!」
と後から勝手に認定。
ちなみに竹内巨麿認定物件としては、他に石川の『モーセの墓』や富山の『古代日本のピラミッド』があるよ!
このオッサンは天津教という宗教をおっぱじめ、
「ウチ(茨城)が世界の中心や」
「古代、天皇は『天の浮舟』(あめのうきふね)というUFOに乗って全世界を巡行してた」
「モーセやら釈迦やら世界のビッグな宗教人はみな来日し、天皇に仕えたんや」
「ウチに三種の神器あるで。あと十戒石・真十戒石・裏十戒石なんかも」
といったロマンと中二魂溢れる教義で当時のウヨちゃんを魅了。
なんか言ってることが「ファミコンソフト100本持ってる」とか言っちゃう虚言癖の小学生か、『ムー』の文通欄にいた前世戦士みたいなんだよなぁ…。
この頃の新興宗教は天皇♡ラブの神道系が多いのですが、国家神道の統一見解から激しくはみ出した解釈違いが横行したため、不敬罪で逮捕されたり弾圧されちゃったりが頻発します。
ココもそのひとつ。
まぁ二次創作が公式に逆らっちゃダメよね…。
なお、Wikipedia『竹内文書』には
『1935年(昭和10年)12月28日、神宝が秦真次の手により東京市・靖国神社の遊就館の松田常太館長に託された。』
とあります。
あの靖国神社・遊就館やんけ!
まぁ国家神道も天津教も
「近代以降に作られた神道系宗教で、『うちが日本の伝統と権威を引き継ぐ総本家です』と主張」
という点では共通してるので、仲良しだったんですかね…?
そしてこういうのは大体
「我が国の科学・歴史は世界一ィィィィ────ッ! できんことはないイイィ──────ッ!!」
という、「おらが里のお国自慢」になりがち。
コレが国家より小粒な地方レベルになると、「中央を離れた東北にもすごい文化があった!」という偽書『東日流外三郡誌』とかがあります。
ちなみに邪馬台国の位置については「九州だ」「いや畿内だ」と今も熱く揉めてる訳ですが…
先日、神戸で「邪馬台国は神戸にあった!」と唱える珍説のパンフを貰っちゃいました。
そんなのあるんだ!?(困惑)
【神戸トピックス】
『邪馬台国は神戸にある!』
https://kobeport.exblog.jp/12454320/
こういうのは大体、地元の郷土史家とかが唱えて、地元のメディアがたまに取り上げる程度にしか知られていなかったり。
『韓国起源説』も『日本起源説』も、しばしば言い出しっぺはそういったマイサイドバイアス塗れな珍説だったりするので、私は話半分に聞いてます。
事実ならいずれ定説化するし、気になるやつは自分でソースを深掘りすれば大体分かるやん。
木村鷹太郎の『新史学』も似たよーなものです。
Wikipediaによれば、
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日本を世界文明の起源と位置づけ、かつて日本民族が世界を支配していたとする「新史学」を熱烈に唱えた。他にも邪馬台国エジプト説(邪馬台国はエジプトにあったとする説)や、仏教・キリスト教批判などの独創的な主張で知られる。異論に対して徹底的に反撃・論破する過激な言論人でもあり、論壇において「キムタカ」と通称されて恐れられ、忌避された。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さらに
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その研究の多くは存命中から異端学説と見なされてきた。
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…だそうです。
日韓以外からもこの手のやつを紹介していくと…
例えば↓こんな本。
『ネイティブ・アメリカンが証明した 古代、アメリカは日本だった! 失われた旭日帝国の謎を解く』
(ドン・R・スミサナ/著 吉田信啓/訳 徳間書店 1992年)
コレはトンデモという概念を広めた元祖である『トンデモ本の世界』でも紹介されてた程の逸品。
ご宗旨はタイトルとは真逆で、「日本人の祖先はアメリカインディアンだ」といったもの。
もっとも、訳者は『超古代、日本語が地球共通語だった!』という本を出してる程の逸材…
逆の主張をしてる人なので、邦題を自説に寄せたのかも。
根拠は「bone」と「骨」は似てる、とか「オハイオ」は「おはよう」だ、とかのよくあるやつ。
大体、言語なんてせいぜい数十種類の音の組み合わせでしかないので、そらカブることかて普通にあるやろ…。
ちなみにこういう英語と日本語の共通点は先ほどの木村鷹太郎も持ち出してます。
言語の共通性に注目するのはトンデモさんしぐさなので大体スルーでOK。
あと
◉「数字をいじくって意味を見つける」
◉「文字を組み替えてアナグラムに興ずる」
◉「地図上に線を引きだす」
もトンデモさんしぐさ。
…さて、次回は『日本起源説』の極北をご覧に入れますのでお楽しみに!
【註1:「韓国人は糞酒トンスルを嗜む」というデマ】
トンスルについては以下のエントリを参照。
『糞喰い民族とは誰のことだったのか ートンスル伝説ー』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/2022-01-04.html
【註2:Wikipedia『韓国起源説の一覧』】
ちなみにWikipedia『韓国起源説』はネトウヨさんが編集に参加しちゃってるのか、日本第一党党首・元在特会会長の桜井誠が書いた『嫌韓流 実践ハンドブック 反日妄言撃退マニュアル』から延々と引用してたりするので要注意です。
ソースが桜井誠って…ラムザイヤー論文かよ。
(00:03)
2022年10月24日
世の中には「ユニコーン系男子」とか「処女厨」と呼ばれる人たちがいる。
非オタの人のために説明しておくと、女性の処女性に異常なまでに拘る人々のことである。
「ユニコーン系男子」という名称は伝説上の動物・ユニコーンは処女にだけ心を許す、という伝承に基づく。
彼らは特にアニメ・声優ファンに多いとされている。
アニメなどの二次元は自らの理想を投影・仮託しやすい分、こじらせやすいのかもしれない。
近年では架空のキャラクターが非処女とされただけで騒動に発展するらしい。
【ニコニコ大百科】
『処女厨』
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%87%A6%E5%A5%B3%E5%8E%A8
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
処女信仰の中でもアイドルやアイドル声優と言ったエンターテインメントの世界の人から、二次元の女性キャラクターにまで処女であることを異常に押し付ける傾向が人一倍強い事で知られる。
後者の主な例が漫画「かんなぎ」の非処女疑惑騒動であり、この騒動は似たような顧客層を持つ美少女ゲーム界隈にも影響を与え、純愛系ゲームのヒロインは全員必ず処女にする、あるいは初Hシーンで必ず破瓜表現をつけるといった対策が施される事になった。
女性アイドルの交際が発覚したり、非処女であった事が発覚した場合突如アンチ側に移り、関連グッズを破いたり叩き割る、タレントに危害を加えたりするはた迷惑な存在として知られている。
中にはストーキング行為に及ぶものまでいれば、殺害予告までして逮捕されたものもいたり犯罪者になってしまう者も少なくない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…まぁこういう犯罪者&その予備軍扱いもどうかと思うが、そもそも「処女厨」という概念自体に「行き過ぎた言動を行う人」という含意もあり(「厨」は「厨房」、つまり「中坊」であり、「中学生なみのレベルの人」という意味である)、定義によってそういった人々を多く含む。
ことに声優ファンのユニコーン系男子は興味深い存在である。
声優とはアニメのキャラクターと一体の関係でありつつ、同時に実在の女性でもあり、実際に処女であったり非処女であったりする。
したがって声優はアニメの美少女と同様に処女性を問題とされるが、この拘りは対象が実在女性である分、「二次元のキャラクターの処女性を気に病むこと」ほどの奇異さからは解放されてもいる。
そのためか、彼らは声高に処女性に執着してみせがちなのだ。
声優ファンは
『完全に娼婦の声になってる。今の愛生、昔みたく処女膜から声がでていない』
との名言を生み出したことで知られている。
他にもこんな名言の数々が存在する。
【(まとめては)いかんのか?】『声優に彼氏発覚した時の声豚の名言で打線を組んだwwww』
http://blog.livedoor.jp/livejupiter2/archives/5003549.html
(現在はリンク切れ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1 名前:風吹けば名無し :2011/12/23(金) 00:45:17.29 ID:b2qxxhSv
1(二)俺に死ねと言っているのかよ
2(遊)世界はなぜ僕を追い詰めるのか
3(一)チンポしゃぶった口から出る音を俺に聞かせたのか
4(左)耳に精子がかかる
5(三)こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった
6(右)近くの心療内科に行ったら急性ストレスによる適応障害って診断された
7(中)今後誰かが同じ過ちをしない為にも、ここは徹底的に叩くのが正解
8(捕)完全に娼婦の声になってる
9(投)処女膜から声が出ていない
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ユニコーン系男子の生態については他にこのあたりを参照されたい。
『ノムケン!』
声豚の名言キモすぎわろたwww
http://blog.livedoor.jp/nomuken77/archives/1636506.html
http://dic.nicovideo.jp/a/%E5%87%A6%E5%A5%B3%E5%8E%A8
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処女信仰の中でもアイドルやアイドル声優と言ったエンターテインメントの世界の人から、二次元の女性キャラクターにまで処女であることを異常に押し付ける傾向が人一倍強い事で知られる。
後者の主な例が漫画「かんなぎ」の非処女疑惑騒動であり、この騒動は似たような顧客層を持つ美少女ゲーム界隈にも影響を与え、純愛系ゲームのヒロインは全員必ず処女にする、あるいは初Hシーンで必ず破瓜表現をつけるといった対策が施される事になった。
女性アイドルの交際が発覚したり、非処女であった事が発覚した場合突如アンチ側に移り、関連グッズを破いたり叩き割る、タレントに危害を加えたりするはた迷惑な存在として知られている。
中にはストーキング行為に及ぶものまでいれば、殺害予告までして逮捕されたものもいたり犯罪者になってしまう者も少なくない。
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…まぁこういう犯罪者&その予備軍扱いもどうかと思うが、そもそも「処女厨」という概念自体に「行き過ぎた言動を行う人」という含意もあり(「厨」は「厨房」、つまり「中坊」であり、「中学生なみのレベルの人」という意味である)、定義によってそういった人々を多く含む。
ことに声優ファンのユニコーン系男子は興味深い存在である。
声優とはアニメのキャラクターと一体の関係でありつつ、同時に実在の女性でもあり、実際に処女であったり非処女であったりする。
したがって声優はアニメの美少女と同様に処女性を問題とされるが、この拘りは対象が実在女性である分、「二次元のキャラクターの処女性を気に病むこと」ほどの奇異さからは解放されてもいる。
そのためか、彼らは声高に処女性に執着してみせがちなのだ。
声優ファンは
『完全に娼婦の声になってる。今の愛生、昔みたく処女膜から声がでていない』
との名言を生み出したことで知られている。
他にもこんな名言の数々が存在する。
【(まとめては)いかんのか?】
http://blog.livedoor.jp/livejupiter2/archives/5003549.html
(現在はリンク切れ)
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1 名前:風吹けば名無し :2011/12/23(金) 00:45:17.29 ID:b2qxxhSv
1(二)俺に死ねと言っているのかよ
2(遊)世界はなぜ僕を追い詰めるのか
3(一)チンポしゃぶった口から出る音を俺に聞かせたのか
4(左)耳に精子がかかる
5(三)こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった
6(右)近くの心療内科に行ったら急性ストレスによる適応障害って診断された
7(中)今後誰かが同じ過ちをしない為にも、ここは徹底的に叩くのが正解
8(捕)完全に娼婦の声になってる
9(投)処女膜から声が出ていない
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ユニコーン系男子の生態については他にこのあたりを参照されたい。
『ノムケン!』
声豚の名言キモすぎわろたwww
http://blog.livedoor.jp/nomuken77/archives/1636506.html
…で、10年近く前にちょっと話題になったのがコレ。


アイドルグループのファンは自分が応援しているメンバーを「推しメン」と呼ぶが、これは推しメンならぬ「推し膜」Tシャツ。
この発想には度胆を抜かれた。
なにしろ声優やアイドルを「処女である」と勝手に仮定し、その処女性を「処女膜」に象徴化し、「処女膜」を声優やアイドルの代名詞とした上で省略して混成語にし、それを何の説明もなく使用し、しかもその流通が成立しているのだ!
なんというねじくれっぷり。
そもそも処女膜というのは一般に「処女の証」であって(実際にはその証拠能力は低いが【註1】)、膜そのものが魅力的という訳ではない。
というか、正確には膜ですらなく、ただの襞のようなものである。【註2】
それが神聖視され、愛情の対象である声優やアイドルそのものと同値で結ばれ、等価に扱われている!
だがこういった倒立はフェティシズムの本質である。
例えば、ただの布きれに過ぎないパンツが「性器を覆っている」という理由でプレミアムを付与されて神聖視され、その結果「パンツの中身よりむしろパンツが好き」という本末転倒な人も出てくる。
フェティシズムは「呪物崇拝」と訳される。
つまり極めて呪術的な行為である。
ジェームズ・フレイザーは『金枝篇』において呪術を「類似の原理に基づく『類感呪術』」と「接触の原理に基づく『感染呪術』」に大別した。
類感呪術とは「似ているもの同士には呪術的な関係がある」という「類似の原理」に基づくもの。
水を撒いて雨乞いすると雨が降る、とかキットカットを持っていれば「きっと勝つ」に音が似ているので受験に受かる、とかがこれにあたる(ついでに、「スタンド使い同士はひかれあう」というのもコレじゃないかと思う)。
感染呪術とは「関係があったもの同士には呪術的な関係がある」という「接触の原理」に基づくものである。
つまり密着していたものにはその特性が「うつる」という考え方だ。
この発想には度胆を抜かれた。
なにしろ声優やアイドルを「処女である」と勝手に仮定し、その処女性を「処女膜」に象徴化し、「処女膜」を声優やアイドルの代名詞とした上で省略して混成語にし、それを何の説明もなく使用し、しかもその流通が成立しているのだ!
なんというねじくれっぷり。
そもそも処女膜というのは一般に「処女の証」であって(実際にはその証拠能力は低いが【註1】)、膜そのものが魅力的という訳ではない。
というか、正確には膜ですらなく、ただの襞のようなものである。【註2】
それが神聖視され、愛情の対象である声優やアイドルそのものと同値で結ばれ、等価に扱われている!
だがこういった倒立はフェティシズムの本質である。
例えば、ただの布きれに過ぎないパンツが「性器を覆っている」という理由でプレミアムを付与されて神聖視され、その結果「パンツの中身よりむしろパンツが好き」という本末転倒な人も出てくる。
フェティシズムは「呪物崇拝」と訳される。
つまり極めて呪術的な行為である。
ジェームズ・フレイザーは『金枝篇』において呪術を「類似の原理に基づく『類感呪術』」と「接触の原理に基づく『感染呪術』」に大別した。
類感呪術とは「似ているもの同士には呪術的な関係がある」という「類似の原理」に基づくもの。
水を撒いて雨乞いすると雨が降る、とかキットカットを持っていれば「きっと勝つ」に音が似ているので受験に受かる、とかがこれにあたる(ついでに、「スタンド使い同士はひかれあう」というのもコレじゃないかと思う)。
感染呪術とは「関係があったもの同士には呪術的な関係がある」という「接触の原理」に基づくものである。
つまり密着していたものにはその特性が「うつる」という考え方だ。
小学生の時の「ウンコ踏んだ奴はウンコ野郎、ウンコ野郎に触られた奴もウンコ野郎」、という謎ルールがコレにあたる。
しかしフレイザーは「感染呪術には類感呪術を含んだものも存在する」とも述べている。
例えば藁人形による呪いは「人の形をした藁人形に釘を刺すと対象者が苦しむ」という部分は類感呪術だが、「藁人形に相手の髪の毛を入れる」という部分は感染呪術と言える。
類似の「紙製のヒトガタに息を吹きかけてから神社に奉納するとヒトガタが身代わりになって病気や悪運を持って行ってくれる」という呪術も同様だ。
下着フェチにもまた両者が同居している。
つまり性器と接触していたパンツは性器の属性に「感染」しており、性器のシンボルとして扱える。
そしてそのシンボルという「類似」のものに対して行ったことは実物に対して行ったことと同じなので、下着をクンカクンカすることは性器をクンカクンカすることと同列、あるいはそれ以上に扱えるのだ。
本体をサポートする側が本体以上の評価を得るという、下着フェチ。
あるいは処女性のシンボルに過ぎない処女膜が処女(希望的観測)本人の代名詞化するという、「推し膜」における下剋上。
価値の逆転という意味でこれは紫衣事件に匹敵する歴史的転換点と言えるだろう。
呪術の本質はシンボル操作であり、シンボル操作をともなう性倒錯は呪物崇拝(フェティシズム)の名に相応しい。
話が逸れたので元に戻す。
処女厨は声優・アニメファンに多いとされている、と書いたが、実際には多くの普通の男性は処女性に拘る。
例えばこの辺を見ると、処女性に拘りすぎて自らを苦しめてしまっている男性がうじゃうじゃいる。
『ひでぶっ!!BOOKMARK』
「非処女」と、幸せな結婚を目指すスレ
http://hidebookmark.com/blog/funny/1350705048.php
(現在はリンク切れ)
しかも一人が非処女で妥協しようとすると、他の者が説得にかかったりする。
バケツに何匹ものカニを入れておくと必死で逃げようと這い上るが、お互いに脚を引っ張りあってどのカニも脱出できないという。
こういうのって誰も幸せにならないカニバケツだなぁ…。
これに比べると処女キャラが好きなだけのアニメファンの方がはるかにましに思える。
声優ファンはともかく、アニメファンはそのことで自分の好きな人を傷つけずには済む。
ネットの世界ではちょっとしたことが炎上につながる。
ここ10年ほどはアルバイターが職場で悪戯した画像をネット上にアップする、所謂「バイトテロ」が問題になった。
ああいうのはやらかした本人も不用意ではあるが、同時に叩く側の問題でもある。
他人の不幸を加速したいだけの物見遊山な人も多いが、真剣に怒っている人もそれなりの数がいるだろう。
叩かれる側は一応は悪いことをしているので、反論や擁護をしにくい立場にある。
狭量な正義感に捉われた人々は大義名分を手に入れ、安全な場所から存分に攻撃衝動を解放できるという訳だ。
そしてネット上の風潮はしばしば現実と乖離する。
特に不倫をめぐる問題がそうだ。
ネット上では不倫は大罪とされ、特に女性であれば「誰にでも股を開くビッチ」として異常な攻撃を受ける。
しかし現実社会においては不倫というのは「好ましくはないにせよしばしば陥るもので、好きな気持ちは止められないから仕方がない」程度の認識の人が多いのではないだろうか。【註3】
女性の不倫が現実から乖離するまでに異常な叩かれ方をするのは、女性が貞淑であることを多くの男性が望んでいるからだ。
女性は子供が自分の子であることを確信できるが、男性はそうではない。
したがって男性は自分の子でない子供の養育をさせれるリスクを背負っており、女性の「体の浮気」を嫌悪する傾向にある。
一方、女性は男性が浮気して外で子供を作っても自分の子供が減る訳ではない。
しかし男性が他の女性や子供の養育にリソースを振り分けると自分が不利になるため、女性は男性の浮気がいつのまにか本気になる「心の浮気」を嫌悪する傾向がある。
男性が若くて健康的で貞淑で処女の女性を好むのは、これから産むことのできるその男性の子供の数が最も多いからだ。
この傾向は世界中で普遍的に見られる。【註4】
イスラム圏では聖戦(ジハード)に参加した男性は死後、天国に行くとされている。
天国には72人の処女が彼を待ち受け、さらに決して悪酔いすることのない酒や果物、肉などを好きなだけ楽しむことができると言うのだ。
イスラム圏は一夫多妻制だが、男女の比率は世界中どこでもおよそ1:1。
ステイタスの高い男性は複数の女性と結婚するため、一部の男性が多くの女性を独占することになり、あぶれる男性が大量に出てくる。
イスラム圏では婚前交渉は禁止なので、独身男性はセックスを知ることもなく子孫も残せない。
そうなると彼らの命はおそろしく安くなる。【註5】
どうせ現世で女性が手に入らないのなら、天国の処女を当てにするしかない。
そこで彼らは航空機を乗っ取り世界貿易センタービルに突っ込むことになる。
実際、911のテロや自爆テロの実行犯はその様に説得されたらしい。
妄想上の処女のためにそこまでする人々もいる、ということを考えれば、声優やアイドルマニアの処女信仰など可愛いものだ、とも言える。
ここでイスラムの教えについて少し調べてみよう。
Wikipediaの『ジハード』の項にはかつてこう記されていた。
「性交を困難にし、それでもやり遂げられるかをテストするため」という説もあるが、これは「女性が意識的にそう目論んでいる」という意味ではなく、単に「処女膜のある女性は結果的にそういう男性の子を産み、『処女膜の遺伝子』と、『処女膜を破れる強い男性の遺伝子』を広げることになった」という意味。
モグラにも処女膜があるが、それは土の侵入を防ぐためらしい。
【註3:不倫】
ちなみにこれは「責任を負えるのは自分に選択権があるものについてのみ」であり、「恋愛感情はコントロール不能なので選択の埒外である」という暗黙の仮定に基づく。
これに対して不倫を許さない人は「人間は自らの行動に対してほとんど常に自由な選択権を行使しており、したがって大抵のことは自己責任である」と考えている。
これは結局のところ「人間に自由意思はあるのか」という数千年来にわたって決着をみなかった哲学的な問いかけであり、どちらも一応擁護可能ではある。
だが科学的知見から言えば、昔ながらの「人間には完全な自由意志が与えられている」という無邪気で素朴な考え方を続けるのは無理がある。
可能なのはせいぜいこの程度のものだろう。
「人に自由意思はないかもしれない。
仮にあったとしても常にあるわけではなく、その度合いも時どきによって高まったり低まったりするだろう。
だがそれでは誰も自らの行為に責任を追えず、犯罪にも責任を負わせられなくなり、社会を維持することができなくなる。
だから擬制として『人には多くの場合、自由意思が存在する』と仮定することにしよう」
【註4】
高名な文化人類学者マーガレット・ミードは1920年代、ポリネシア・サモア諸島でフィールドワークを行い、著書『サモアの思春期』においてサモアの原住民は性的に奔放で思春期のストレスもなく、処女性に拘ることもない、と記述した。
この研究は「氏か育ちか」、つまり人間を作るのは遺伝的要因なのか環境的要因なのか、という論争で環境説を支持するものとして喝采をもって迎えられた。
性の罪悪視やそれに伴う処女信仰はキリスト教世界が生んだ文化的なものであり、本来人間はタブラ・ラサ(白紙状態。ラテン語で「空白の石版」の意。英語ではブランク・スレート)で、後から何でも書き込めるのだ、という訳だ。
そのため、ミードの著作は現在でもジェンダー論者の著作に引用され続けている(男女の違いはあくまで環境要因のみ、ということになるためだ)。
だがデレク・フリーマンがミードの研究を詳細に調査したところ、その多くはでたらめであったことが判明した。
ミードがサモアに滞在したのは数か月に過ぎず、言語も判らず、地元の少女たちのホラ話を真に受けてしまっていた。
結局、サモアの人々も処女性には強いこだわりを見せることが判明。
世界中で行われた調査結果から、処女へのこだわりは人類に普遍的な形質、ヒューマン・ユニヴァーサルであるらしい。
【註5】
あぶれた男性が命を安売りする傾向については下記のエントリを参照。
『ヒトのやること大体同じ:ジョーカー事件はアモクだよ説』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/15038623.html
【註6】
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教については下記のエントリを参照。
『空飛ぶスパゲッティ・モンスター、クトゥルー神話の怪物としか思えない』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/15709640.html
【付記】
私自身は処女性に特にこだわりはない。
処女性はもともとは繁殖能力の指標に過ぎないので、セックスが繁殖ではなくコミュニケーションの手段となり、避妊法も発達した現代においてそこにこだわることにあまり意味はない。
だがそれを言い出せばセックスや恋愛だって突き詰めれば遺伝的なプログラムに過ぎない訳で、その線からの説得はあまり有効ではないだろう。
我々は生物的本性から自由ではないのだ。
世の中には逆に「処女は面倒くさい」とか言い出す人もいるが、こういう態度は処女の方に失礼だし、「俺はその気になれば処女も落とせるんだぜ?」みたいな自慢臭がして好きではない。
処女は「崇拝せず・嘲笑せず・忌避せず」の皮膜三原則で。
ただし、私も書籍などを買う時は商品の処女性にこだわる。
書店員・田北鑑生のエッセイによれば、書店の客はしばしばこれにこだわり、スカトロ雑誌『お尻倶楽部』を買う客でさえ表紙のちょっとした汚れにものすごくうるさかったりするらしい。
「写ってるのはウンコなのに」
とは氏の弁。
なお、今回のタイトルは映画『ヴァージン・スーサイズ』とその原作『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』のもじり。
イスラム絡みではこういうネタもあったが、ガセっぽい気もするので扱わなかった。
『なんでも評点』
死刑前夜の若い女囚たちから処女を奪う権限を与えられた18歳の看守 ― イランでは処女の死刑が禁止なので、このような方法が採られている?
http://rate.livedoor.biz/archives/50870951.html
しかしフレイザーは「感染呪術には類感呪術を含んだものも存在する」とも述べている。
例えば藁人形による呪いは「人の形をした藁人形に釘を刺すと対象者が苦しむ」という部分は類感呪術だが、「藁人形に相手の髪の毛を入れる」という部分は感染呪術と言える。
類似の「紙製のヒトガタに息を吹きかけてから神社に奉納するとヒトガタが身代わりになって病気や悪運を持って行ってくれる」という呪術も同様だ。
下着フェチにもまた両者が同居している。
つまり性器と接触していたパンツは性器の属性に「感染」しており、性器のシンボルとして扱える。
そしてそのシンボルという「類似」のものに対して行ったことは実物に対して行ったことと同じなので、下着をクンカクンカすることは性器をクンカクンカすることと同列、あるいはそれ以上に扱えるのだ。
本体をサポートする側が本体以上の評価を得るという、下着フェチ。
あるいは処女性のシンボルに過ぎない処女膜が処女(希望的観測)本人の代名詞化するという、「推し膜」における下剋上。
価値の逆転という意味でこれは紫衣事件に匹敵する歴史的転換点と言えるだろう。
呪術の本質はシンボル操作であり、シンボル操作をともなう性倒錯は呪物崇拝(フェティシズム)の名に相応しい。
話が逸れたので元に戻す。
処女厨は声優・アニメファンに多いとされている、と書いたが、実際には多くの普通の男性は処女性に拘る。
例えばこの辺を見ると、処女性に拘りすぎて自らを苦しめてしまっている男性がうじゃうじゃいる。
『ひでぶっ!!BOOKMARK』
「非処女」と、幸せな結婚を目指すスレ
http://hidebookmark.com/blog/funny/1350705048.php
(現在はリンク切れ)
しかも一人が非処女で妥協しようとすると、他の者が説得にかかったりする。
バケツに何匹ものカニを入れておくと必死で逃げようと這い上るが、お互いに脚を引っ張りあってどのカニも脱出できないという。
こういうのって誰も幸せにならないカニバケツだなぁ…。
これに比べると処女キャラが好きなだけのアニメファンの方がはるかにましに思える。
声優ファンはともかく、アニメファンはそのことで自分の好きな人を傷つけずには済む。
ネットの世界ではちょっとしたことが炎上につながる。
ここ10年ほどはアルバイターが職場で悪戯した画像をネット上にアップする、所謂「バイトテロ」が問題になった。
ああいうのはやらかした本人も不用意ではあるが、同時に叩く側の問題でもある。
他人の不幸を加速したいだけの物見遊山な人も多いが、真剣に怒っている人もそれなりの数がいるだろう。
叩かれる側は一応は悪いことをしているので、反論や擁護をしにくい立場にある。
狭量な正義感に捉われた人々は大義名分を手に入れ、安全な場所から存分に攻撃衝動を解放できるという訳だ。
そしてネット上の風潮はしばしば現実と乖離する。
特に不倫をめぐる問題がそうだ。
ネット上では不倫は大罪とされ、特に女性であれば「誰にでも股を開くビッチ」として異常な攻撃を受ける。
しかし現実社会においては不倫というのは「好ましくはないにせよしばしば陥るもので、好きな気持ちは止められないから仕方がない」程度の認識の人が多いのではないだろうか。【註3】
女性の不倫が現実から乖離するまでに異常な叩かれ方をするのは、女性が貞淑であることを多くの男性が望んでいるからだ。
女性は子供が自分の子であることを確信できるが、男性はそうではない。
したがって男性は自分の子でない子供の養育をさせれるリスクを背負っており、女性の「体の浮気」を嫌悪する傾向にある。
一方、女性は男性が浮気して外で子供を作っても自分の子供が減る訳ではない。
しかし男性が他の女性や子供の養育にリソースを振り分けると自分が不利になるため、女性は男性の浮気がいつのまにか本気になる「心の浮気」を嫌悪する傾向がある。
男性が若くて健康的で貞淑で処女の女性を好むのは、これから産むことのできるその男性の子供の数が最も多いからだ。
この傾向は世界中で普遍的に見られる。【註4】
イスラム圏では聖戦(ジハード)に参加した男性は死後、天国に行くとされている。
天国には72人の処女が彼を待ち受け、さらに決して悪酔いすることのない酒や果物、肉などを好きなだけ楽しむことができると言うのだ。
イスラム圏は一夫多妻制だが、男女の比率は世界中どこでもおよそ1:1。
ステイタスの高い男性は複数の女性と結婚するため、一部の男性が多くの女性を独占することになり、あぶれる男性が大量に出てくる。
イスラム圏では婚前交渉は禁止なので、独身男性はセックスを知ることもなく子孫も残せない。
そうなると彼らの命はおそろしく安くなる。【註5】
どうせ現世で女性が手に入らないのなら、天国の処女を当てにするしかない。
そこで彼らは航空機を乗っ取り世界貿易センタービルに突っ込むことになる。
実際、911のテロや自爆テロの実行犯はその様に説得されたらしい。
妄想上の処女のためにそこまでする人々もいる、ということを考えれば、声優やアイドルマニアの処女信仰など可愛いものだ、とも言える。
ここでイスラムの教えについて少し調べてみよう。
Wikipediaの『ジハード』の項にはかつてこう記されていた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
イスラームにおける「天国」はアラビア語で(جنّة jannah) と呼ばれ、『クルアーン』ではその様子が具体的に綴られているが、それによれば、緑なす木々に覆われ、果実は枝もたわわに実り、清らかな川が数多く流れて、快適な風がつねに吹きわたっている清浄なところであり、天国行きを許されたものに対しては、現世の酒とは異なり、いくら飲んでも酔わない美酒や最上の食べものがあたえられるという。『クルアーン』にはさらに、男性は天国で72人の処女(フーリー)と交わることができ、彼女たちは何回性交におよんでも処女のままである、と記している。
この「処女」の表現は、比喩的なものにすぎないという意見も多く、あるいはまた、実際は「処女」ではなく「白い果実」という意味であるという説もあるが、過激派組織が自爆テロの人員を募集する際に、年少の者などに対し、このような天国の描写を意図的に用いている場合が少なくないとされ、問題となっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
で、このフーリーというのは何かというと…
これまたWikipedia『フーリー』の項の以前のバージョンにはこうある。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フーリーは天国に来たイスラム信者の男性のセックスの相手をするとされ、一人につき72人のフーリーが相手をするともいわれる。彼女たちは永遠の処女であり、セックスを行い処女膜が破れても、すぐさま再生するとされる。
イブン・カスィールによれば、ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフは『天国では男性は一日100人の処女とセックスが出来る』と述べていた。また、『われわれは天国で処女とセックスが出来るのでしょうか?』と問いかけた信者に対して、『もちろん出来る。そしてセックスが終わった後には、彼女は清らかな乙女に戻るのだ。』と述べたともしている。
別の伝承によれば、 ムハンマドは『天国では信徒たちは女性に対してそれだけの強さを与えられるであろう』と述べたところ、アナスが『ああ、アッラーの使徒よ! そのようなことが出来るのでしょうか!?』と問いかけた、ムハンマドは『百人の男に匹敵する精力を得られるのだ』と答えたという。ムハンマドの教友の中には、ムハンマドが『天国の男たちは処女の花を散らすのに忙しくなる。』といったと伝えている者も居る。
イブン・カスィールはフーリーに関して、『彼女たちは陽気で、夫の前に誰ともセックスを行わなかった乙女たちである。』と述べ 、また『天国においては, 彼女たちが老いたならば, 明るく、若く、美しく、親切でかわいらしく、夫に対して情熱的な処女へと絶えず戻るのである。』とも述べている。
イマーム・スユーティーは『フーリーとセックスをするたびに、あなたは彼女が処女である事を知るであろう。加えて、勃起したペニスはなえる事がなく、永遠に勃ちつづける。あなたがセックスを行うときの感覚はすばらしく気持ちよく、この世のものとは思えない。この世でこれを経験してしまったならば、気絶するほどである。それぞれの(ムスリム男性)はこの世の妻に加えて、70人のフーリーを娶れる。そして彼女たちはみなあなたの欲望をそそるような名器の持ち主である。』と述べている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
うわぁ…読んでるこっちが恥ずかしい。
永遠に若いままで、再生する処女膜まで持ち、名器ぞろいで処女なのにエロい72人。
しかも男性も永遠に勃起できるて。
ナニそのご都合主義…。
そしてどうなってるねん天国の性比…。
フーリー、「処女にリセットする」というチート技が使えるので、同じフーリーが多数の男性を相手にしながら毎回「夫の前に他の男とセックスしなかった」状態にリセットしてる疑惑。
なお、コルドバのエウロギウスは9世紀に「こんな天国、ただの売春宿やんけ」と批判したらしい。
清々しいほど欲望に忠実なイスラムの天国だが、これに匹敵する教義を持つ宗教を発見した。
他でもない、われらが『空飛ぶスパゲッティ・モンスター教』である。【註6】
スパモン教の天国にはビール火山とストリッパー工場があるという。
なお、女性やゲイの信者のために男性ストリッパーも用意されており、しかもそれはストレートの男性信者には見えない仕様。
ついでに言えば、スパモン教の地獄は天国と変わりがないとされている。
ただしビールは気が抜けており、ストリッパーは全員が性病持ちであるらしい。
なんとも欲望に忠実な教義である。
無限の酒に多数の女性…イスラムと変わらんがな。
ちなみにトンデモ理論を批判する懐疑主義界隈の用語で「ポーの法則」というのがあってですね…
【忘却からの帰還】
『メモ「ポーの法則」』
処女性について、喪男の私はこう考えている。
「大抵の男性はダメなのであり、イケメンたちがそのダメっぷりを女性に教えてくれたからこそ、彼女たちは『イケメンもブサメンも結局はダメ』という悟りを得て、それゆえに私の様な非モテにもチャンスが巡ってくる。
むしろ、いばらをかき分け、道を切り拓いてくれたイケメンにありがとうやで!」
【註1:処女の証】
破瓜時に必ず出血があるわけでもなければ、出血があれば破瓜という訳でもない。
出血は破瓜の必要条件でもなければ十分条件ですらない。
ついでに言えば、付き合ってるからといって必ずセックスする訳でもなければ、セックスしていれば付き合っているという訳でもない。
したがってセックスは付き合うことの必要条件でもなければ十分条件ですらない。
【註2:処女膜】
その機能はいまだに不明である。
イスラームにおける「天国」はアラビア語で(جنّة jannah) と呼ばれ、『クルアーン』ではその様子が具体的に綴られているが、それによれば、緑なす木々に覆われ、果実は枝もたわわに実り、清らかな川が数多く流れて、快適な風がつねに吹きわたっている清浄なところであり、天国行きを許されたものに対しては、現世の酒とは異なり、いくら飲んでも酔わない美酒や最上の食べものがあたえられるという。『クルアーン』にはさらに、男性は天国で72人の処女(フーリー)と交わることができ、彼女たちは何回性交におよんでも処女のままである、と記している。
この「処女」の表現は、比喩的なものにすぎないという意見も多く、あるいはまた、実際は「処女」ではなく「白い果実」という意味であるという説もあるが、過激派組織が自爆テロの人員を募集する際に、年少の者などに対し、このような天国の描写を意図的に用いている場合が少なくないとされ、問題となっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
で、このフーリーというのは何かというと…
これまたWikipedia『フーリー』の項の以前のバージョンにはこうある。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フーリーは天国に来たイスラム信者の男性のセックスの相手をするとされ、一人につき72人のフーリーが相手をするともいわれる。彼女たちは永遠の処女であり、セックスを行い処女膜が破れても、すぐさま再生するとされる。
イブン・カスィールによれば、ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフは『天国では男性は一日100人の処女とセックスが出来る』と述べていた。また、『われわれは天国で処女とセックスが出来るのでしょうか?』と問いかけた信者に対して、『もちろん出来る。そしてセックスが終わった後には、彼女は清らかな乙女に戻るのだ。』と述べたともしている。
別の伝承によれば、 ムハンマドは『天国では信徒たちは女性に対してそれだけの強さを与えられるであろう』と述べたところ、アナスが『ああ、アッラーの使徒よ! そのようなことが出来るのでしょうか!?』と問いかけた、ムハンマドは『百人の男に匹敵する精力を得られるのだ』と答えたという。ムハンマドの教友の中には、ムハンマドが『天国の男たちは処女の花を散らすのに忙しくなる。』といったと伝えている者も居る。
イブン・カスィールはフーリーに関して、『彼女たちは陽気で、夫の前に誰ともセックスを行わなかった乙女たちである。』と述べ 、また『天国においては, 彼女たちが老いたならば, 明るく、若く、美しく、親切でかわいらしく、夫に対して情熱的な処女へと絶えず戻るのである。』とも述べている。
イマーム・スユーティーは『フーリーとセックスをするたびに、あなたは彼女が処女である事を知るであろう。加えて、勃起したペニスはなえる事がなく、永遠に勃ちつづける。あなたがセックスを行うときの感覚はすばらしく気持ちよく、この世のものとは思えない。この世でこれを経験してしまったならば、気絶するほどである。それぞれの(ムスリム男性)はこの世の妻に加えて、70人のフーリーを娶れる。そして彼女たちはみなあなたの欲望をそそるような名器の持ち主である。』と述べている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
うわぁ…読んでるこっちが恥ずかしい。
永遠に若いままで、再生する処女膜まで持ち、名器ぞろいで処女なのにエロい72人。
しかも男性も永遠に勃起できるて。
ナニそのご都合主義…。
そしてどうなってるねん天国の性比…。
フーリー、「処女にリセットする」というチート技が使えるので、同じフーリーが多数の男性を相手にしながら毎回「夫の前に他の男とセックスしなかった」状態にリセットしてる疑惑。
なお、コルドバのエウロギウスは9世紀に「こんな天国、ただの売春宿やんけ」と批判したらしい。
清々しいほど欲望に忠実なイスラムの天国だが、これに匹敵する教義を持つ宗教を発見した。
他でもない、われらが『空飛ぶスパゲッティ・モンスター教』である。【註6】
スパモン教の天国にはビール火山とストリッパー工場があるという。
なお、女性やゲイの信者のために男性ストリッパーも用意されており、しかもそれはストレートの男性信者には見えない仕様。
ついでに言えば、スパモン教の地獄は天国と変わりがないとされている。
ただしビールは気が抜けており、ストリッパーは全員が性病持ちであるらしい。
なんとも欲望に忠実な教義である。
無限の酒に多数の女性…イスラムと変わらんがな。
ちなみにトンデモ理論を批判する懐疑主義界隈の用語で「ポーの法則」というのがあってですね…
【忘却からの帰還】
『メモ「ポーの法則」』
http://transact.seesaa.net/article/156103598.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ポーの法則は、原理主義(より一般的には、任意の常軌を逸した理論)のパロディと本物は、いずれも同様に正気とは思えないので、パロディと本物を区別できないと指摘する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
つまり世界3大宗教のひとつに数えられるイスラム教は、パロディ宗教であるスパモン教と区別できないほど同様に正気とは思えない教義を持つトンデモ宗教なのだ。
というか、スパモン教の方がましですらある。
現代的な視点で見るとイスラムの男根思想っぷりには目を覆いたくなるが…
これは歴史上の出来事ではなく、現在起きていることなのだ。
しかも21世紀はイスラムの世紀、とまで言われる躍進っぷり。
大丈夫か人類。
ポーの法則は、原理主義(より一般的には、任意の常軌を逸した理論)のパロディと本物は、いずれも同様に正気とは思えないので、パロディと本物を区別できないと指摘する。
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つまり世界3大宗教のひとつに数えられるイスラム教は、パロディ宗教であるスパモン教と区別できないほど同様に正気とは思えない教義を持つトンデモ宗教なのだ。
というか、スパモン教の方がましですらある。
現代的な視点で見るとイスラムの男根思想っぷりには目を覆いたくなるが…
これは歴史上の出来事ではなく、現在起きていることなのだ。
しかも21世紀はイスラムの世紀、とまで言われる躍進っぷり。
大丈夫か人類。
処女性について、喪男の私はこう考えている。
「大抵の男性はダメなのであり、イケメンたちがそのダメっぷりを女性に教えてくれたからこそ、彼女たちは『イケメンもブサメンも結局はダメ』という悟りを得て、それゆえに私の様な非モテにもチャンスが巡ってくる。
むしろ、いばらをかき分け、道を切り拓いてくれたイケメンにありがとうやで!」
【註1:処女の証】
破瓜時に必ず出血があるわけでもなければ、出血があれば破瓜という訳でもない。
出血は破瓜の必要条件でもなければ十分条件ですらない。
ついでに言えば、付き合ってるからといって必ずセックスする訳でもなければ、セックスしていれば付き合っているという訳でもない。
したがってセックスは付き合うことの必要条件でもなければ十分条件ですらない。
【註2:処女膜】
その機能はいまだに不明である。
「性交を困難にし、それでもやり遂げられるかをテストするため」という説もあるが、これは「女性が意識的にそう目論んでいる」という意味ではなく、単に「処女膜のある女性は結果的にそういう男性の子を産み、『処女膜の遺伝子』と、『処女膜を破れる強い男性の遺伝子』を広げることになった」という意味。
モグラにも処女膜があるが、それは土の侵入を防ぐためらしい。
【註3:不倫】
ちなみにこれは「責任を負えるのは自分に選択権があるものについてのみ」であり、「恋愛感情はコントロール不能なので選択の埒外である」という暗黙の仮定に基づく。
これに対して不倫を許さない人は「人間は自らの行動に対してほとんど常に自由な選択権を行使しており、したがって大抵のことは自己責任である」と考えている。
これは結局のところ「人間に自由意思はあるのか」という数千年来にわたって決着をみなかった哲学的な問いかけであり、どちらも一応擁護可能ではある。
だが科学的知見から言えば、昔ながらの「人間には完全な自由意志が与えられている」という無邪気で素朴な考え方を続けるのは無理がある。
可能なのはせいぜいこの程度のものだろう。
「人に自由意思はないかもしれない。
仮にあったとしても常にあるわけではなく、その度合いも時どきによって高まったり低まったりするだろう。
だがそれでは誰も自らの行為に責任を追えず、犯罪にも責任を負わせられなくなり、社会を維持することができなくなる。
だから擬制として『人には多くの場合、自由意思が存在する』と仮定することにしよう」
【註4】
高名な文化人類学者マーガレット・ミードは1920年代、ポリネシア・サモア諸島でフィールドワークを行い、著書『サモアの思春期』においてサモアの原住民は性的に奔放で思春期のストレスもなく、処女性に拘ることもない、と記述した。
この研究は「氏か育ちか」、つまり人間を作るのは遺伝的要因なのか環境的要因なのか、という論争で環境説を支持するものとして喝采をもって迎えられた。
性の罪悪視やそれに伴う処女信仰はキリスト教世界が生んだ文化的なものであり、本来人間はタブラ・ラサ(白紙状態。ラテン語で「空白の石版」の意。英語ではブランク・スレート)で、後から何でも書き込めるのだ、という訳だ。
そのため、ミードの著作は現在でもジェンダー論者の著作に引用され続けている(男女の違いはあくまで環境要因のみ、ということになるためだ)。
だがデレク・フリーマンがミードの研究を詳細に調査したところ、その多くはでたらめであったことが判明した。
ミードがサモアに滞在したのは数か月に過ぎず、言語も判らず、地元の少女たちのホラ話を真に受けてしまっていた。
結局、サモアの人々も処女性には強いこだわりを見せることが判明。
世界中で行われた調査結果から、処女へのこだわりは人類に普遍的な形質、ヒューマン・ユニヴァーサルであるらしい。
【註5】
あぶれた男性が命を安売りする傾向については下記のエントリを参照。
『ヒトのやること大体同じ:ジョーカー事件はアモクだよ説』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/15038623.html
【註6】
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教については下記のエントリを参照。
『空飛ぶスパゲッティ・モンスター、クトゥルー神話の怪物としか思えない』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/15709640.html
【付記】
私自身は処女性に特にこだわりはない。
処女性はもともとは繁殖能力の指標に過ぎないので、セックスが繁殖ではなくコミュニケーションの手段となり、避妊法も発達した現代においてそこにこだわることにあまり意味はない。
だがそれを言い出せばセックスや恋愛だって突き詰めれば遺伝的なプログラムに過ぎない訳で、その線からの説得はあまり有効ではないだろう。
我々は生物的本性から自由ではないのだ。
世の中には逆に「処女は面倒くさい」とか言い出す人もいるが、こういう態度は処女の方に失礼だし、「俺はその気になれば処女も落とせるんだぜ?」みたいな自慢臭がして好きではない。
処女は「崇拝せず・嘲笑せず・忌避せず」の皮膜三原則で。
ただし、私も書籍などを買う時は商品の処女性にこだわる。
書店員・田北鑑生のエッセイによれば、書店の客はしばしばこれにこだわり、スカトロ雑誌『お尻倶楽部』を買う客でさえ表紙のちょっとした汚れにものすごくうるさかったりするらしい。
「写ってるのはウンコなのに」
とは氏の弁。
なお、今回のタイトルは映画『ヴァージン・スーサイズ』とその原作『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』のもじり。
イスラム絡みではこういうネタもあったが、ガセっぽい気もするので扱わなかった。
『なんでも評点』
死刑前夜の若い女囚たちから処女を奪う権限を与えられた18歳の看守 ― イランでは処女の死刑が禁止なので、このような方法が採られている?
http://rate.livedoor.biz/archives/50870951.html
(01:13)
2022年10月06日
キリスト教の様でキリスト教じゃない、ちょっとキリスト教な宗教が世間を騒がせていますね。
しかし本家キリスト教はカルトじゃなくて伝統宗教だから大丈夫かと言えば、特にそんなこともなく。
個人的には「海が割れた」とか「処女が妊娠した」とかいうファンタジーを信じてる人たちとはあまりお友達になれる気がしません。
という訳で、神様批判のエントリもすでに書いた訳ですが…
【驚愕のプロパガンダ映画『神は死んだのか』 前編】
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14981195.html
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14981234.html
むしろ信者さんサイドに信仰心が不足しているよーな…。
この人たち、神の力を舐め過ぎてないですか?
…という話を今回はしていきたいと思います。
あ、ここで言う「神」とは概ねキリスト教などのアブラハム宗教的な、全知全能の人格神のことです。
私は神のこともできるだけ公正に扱いたいので、例えば
「神は自分で持ち上げられないほど大きな岩を作れるか?」
みたいなイジワルなことは言いません。
コレは一見すると
・「作れる」→じゃあ持ち上げられないじゃん、全能ちゃうやん。はい論破!
・「作れない」→じゃあ全能ちゃうやん。はい論破!
…という、どっちに転んでも勝てる両面待ち戦法なのですが…
コレどっちに転んでも反論できない、『反証可能性のない議論』ですよね?
あと神が全能かどうかを巡って議論しているのに、その中に「神が持ち上げられないほど大きな岩」がある、などという前提が登場しちゃうのは、前提の中に結論を組み込んだ『論点先取』です。
懐疑主義者も神様ではないので(そもそも懐疑主義者なら神の存在に懐疑的ですが…)、時にはこういう雑な論法を持ち込むことがあります。
しかし懐疑主義者はそれらを自ら指摘し、放棄する自浄作用も持っているのです。
その辺が根拠レスなおとぎ話を無批判に受け入れ、何千年も信じ続ける宗教信者と異なる点です。
ついでにもうひとつ指摘しておくと、血液型占い批判によくある「ヒトの性格がたった4つに分類できる筈がない」という批判も的外れでは…。
例えば「食べ過ぎると太る」といった言及は、体型を「太ってる」と「そうでない」のたった2つに分類し、その因果関係をカロリー摂取量に求めている訳ですが、特に問題がある様には思えません。
…といった懐疑主義的批判を、信者さんに向けていきたいと思います。
【時間】
神様の最初にして最大の仕事といえば天地創造。
神といえども7日(だか5日半だか)かかったという難事業です。
神が本当に全知全能で無限の力を持つなら、どんなことでも一瞬で行える筈ですよね。
世界の創造に7日(だか5日半だか)かけるまでもなく、思いついた瞬間に完パケ納品。
いや、神ならば「原因&結果」などという因果律に縛られることもなく、思いつく前にすでに完成。
全知全能の神が実在するなら、プロシュート兄貴風にこう考えるのではないでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おいオメー さっきからうるせえぞ
「奇跡が起きる」「罰が当たる」ってよォ~~~
どういうつもりだてめー そういう言葉はオレたちの世界にはねーんだぜ…
そんな不完全な者の使う言葉はな………
「神の再臨は近い」… そんな言葉は使う必要がねーんだ
なぜなら神や 天使たちの仲間は その言葉を頭に思い浮かべた時には!
実際にやっちまって もうすでに 終わってるからだッ!
だから使った事がねェ―――ッ
信者 オマエもそうなるよなァ~~~~~~
オレたちの仲間なら… わかるか?オレの言ってる事… え?
『もう全部やった』なら使ってもいいッ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…そしてそもそも神が全知全能なら天使も奇跡も必要ない筈。
【天使】
天使というのは神の僕(しもべ)で、ヒトより強いけど神より弱い力を持つとされる存在。
強力な部下を多数従え、細かい仕事は使用人にやらせるというのは、どう見ても王や貴族など「ヒトの権力者」の豪華版でしかありません。。
全知全能ならそんなもってまわった間接的な方法ではなく、全て自分で一瞬で行えますよね。
そんなヒトの感覚に縛られたチンケな設定にしがみつくとか、神の「無限の力」を舐めてるでしょ…。
あと一神教とか言うけど、結局のところ天使という「ショボめの神」がいる多神教疑惑。
【奇跡】
奇跡を起こすのも神の能力の様ですが、コレもよくよく考えると変。
全知全能の神による世界運営は完璧なのだから、わざわざ奇跡によって介入する必要などない筈。
それとも信者さんは「神の作った世界に奇跡による改善の余地がある」とでも思ってるのでしょうか…?
信仰心が足りませんね。
【祈り】
祈るという行為も訳が分かりません。
アンブローズ・ビアスは『悪魔の辞典』において、「祈る」をこう書いています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
はっきり言えば取るに足りないたったひとりの請願者の利益のために万物の掟を捻じ曲げるように求めること。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…というか、神の全知全能と無謬性を信じている筈の信者が、
「おお神よ、私にはあなたのプランより良いアイデアがあります。予定を変更して母の病気を治してみるというのはいかがでしょうか?」
とアドバイスするってどういうこと?
信者さんは一体何様のつもりなんですか?
神の前にひざまずく気あんの?
奇跡や祈りなどというものが必要とされるのは、神がしばしば無慈悲で、信者が救済を求めたくなるような世界だからです。
全知全能なら、どうして理不尽なことが起きない様に世界をデザインしなかったのですかね?
私が神なら絶対そうしますけど。
こういう時の信者の言い訳の定番は
「神には何かお考えがおありなのだ」
「神の深遠な計画は人間には理解できない」
というもの。
この手の「説明になってない説明」は宗教に溢れています。
信者は良いことがあると「神のおかげ」と感謝し、悪いことがあると「悪魔の仕業」や「神の計画」に逃げがち。
都合の良いダブスタですね…。
しかも、その悪魔を創造したのも神でしょ…。【※註1】
製造物責任という概念は神にはないのでしょうか。
そもそも神の意図が我々には理解できないのなら、神が善なる存在かどうかも分からないですよね?
めちゃめちゃ悪い奴で我々を騙しているのかもしれないし、善悪など超越しているのかもしれません。
そもそも神が善なら、なぜ悪が存在するのでしょう?
エピクロスはこう言っています。
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もし神が悪を妨げる意思はあっても力が無いなら全能ではない。力はあるが意思が無いなら邪神である。力も意思もあるなら悪はどこから来るのだろう。力も意思もないなら、なぜ神と呼べるのだろう
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…そしていろいろ不干渉の割にシモの話にはうるさいですよね神。
新無神論botがこんなこと言ってました。
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神:飢餓を無くす力を持ちながら、かわりに、マスターベーションを覗き見してる。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ドーキンスbotも。
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宇宙の創造主が、(男性器の)包皮を作る際に大変苦労し、あなたにそれをカットしろと主張している。筋の通った話だ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ドーキンスbotはこうも言ってます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『旧約聖書』の神は、おそらく間違いなく、あらゆるフィクションのなかでもっとも不愉快な登場人物である…血に飢え、民族浄化をおこなった人間。女嫌い、ホモ嫌い、人種差別主義者、幼児殺し、大虐殺者、実子殺し、悪疫を引き起こし、誇大妄想で、サドマゾ趣味で、気まぐれな悪さをする弱い者いじめだ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…旧約聖書の神はなぜか卑小な人間如きに崇められたがるという承認欲求の塊で、やたら嫉妬深い…
もうこれ半分、職能が「嫉妬」の悪魔やろ。
結局、神とは2000年前の人の空想の産物…
なので「無限」や「全知全能」という設定の詰めが甘く、感情的だったり多くの部下を従えたり崇められたがったりと権力者風味で、やたら人間臭いのですね。
いかにも昔の人の「ぼくのかんがえたさいきょうの神さま」って感じ。
そんなに崇められたいなら実在する証拠を作っておけば良いのに、そうはしないのは何故…?
「証拠なしに信じることが大事」だから?
それは信仰ではなく盲信ですよね。
証拠のないモノを信じないことで誰かを非難することなんて、論理的にも道義的にもできる筈ないやん。
新無神論botにこんなのがありました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(死後、神の前に立たされ、なぜ神を信じなかったのか問われたとしたら)「証拠が十分でなかったのですよ。神様、十分な証拠がなかったからですよ」 ― バートランド・ラッセル
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…まぁ昔の人が考えることには限界があったのです。
昔の人が描いた「聖ゲオルギオスのドラゴン退治」の絵とか、ドラゴンが犬くらいの大きさで「羽根の生えたツチノコ」みたいなやつだったりしますよね…

世界の猛獣や化石の恐竜、映画の怪獣などの図像に触れてない人が想像する「すげーヤバいドラゴン」はそのあたりが限界だったのでしょう。
それみたいなモン。
ちなみに私は「いつの時代もヒトの発想や行動はあまり変わらない」と思ってます。
しかし積み上げられた知識の質と量に関しては現代に圧倒的なアドバンテージがあることは否定できません。
我々は先人たちという「巨人の肩に乗って」物事を見るという特権を与えられているのですから。
信者さんの中にもこの様な現代的な考え方を導入し、生物は「神が個別に創造した」のではなく、「最初に神が法則をプログラムし、後は放っておいても自動で進化する様にしたのだ、何しろ神は全知全能なので全て効率良くなされるのだ」と解釈する一派もいます。
まぁ努力は認めますが、やはり詰めが甘い…。
神は無限の力を持つのですから、節約や効率などという、有限のリソースに縛られたヒトの様なセコい考え方をする理由はどこにもありません。
勿論、ここで「神はきまぐれに効率や節約に興味を持たれるのだ」と言い抜けることもできなくはありません。
しかしそれは「神がそうしたければ能力的には可能」というだけで、動機は全く説明してないですよね。
これも先述の「説明になってない説明」に過ぎません。宗教の得意技。
『レリジュラス』という宗教ドキュメンタリー映画にこんなシーンがあります。
旧約聖書には「安息日に仕事したやつ死刑」的なことが書いてあるため、厳格なユダヤ教徒は安息日には機械操作することも禁止。
電気仕掛けのものを操作することは電気火花を生み、「火を灯す」という仕事をすることになるからです。
なのでエレベーターのボタンも押せません。
そこで信者は「ボタン型に穴の開いたボード&スティック」を持って搭乗。
ボードをコントロールパネルに被せ、穴にスティックを通してボタンを押します。
「これは操作した訳ではなく、穴に棒を挿しただけ」ということらしいのですが…何ともはや。
電気車椅子も操作できません。
そこで信者は安息日の1日をなんとかしのげる様に、圧搾空気で動く車椅子を開発。
…何ですかこの「僕は彼を殴ったんじゃない、拳を突き出しただけ」みたいな言い訳は。【※註2】
ていうかこの人たち、神様が
「あっコイツ安息日に電気車椅子操作してるンゴ! 死刑にするンゴ! でもこっちの奴は圧搾空気のやつだからセーフ!」
とか考える、って本気で思ってんの…?
こんなん神の裏をかこうとする不正行為やろ…それでも信者か!?
そして神をこんな杓子定規で条文主義のお役人みたいな存在だと考えるとは…不敬にも程があるやろ。
無神論者の私から見ても、神が不憫でなりません。
まぁ信者さんの方もたいがい不憫なんだけど。(ヒント:ヨブ記)
そんなこんなで、宗教信者の皆さんには「全知全能」という概念を、現代的な考え方にアプデしてから来てほしいです。
【後日付記】
↓こんなの発見。
【Wikipedia】
『全能者の逆説』
『また、神を全能者とする場合、伝統に反した答えが導かれる[10]。例えば神が全能者として存在しているとすると、神は一切何も必要とせず存在可能なため、神にとって世界や被造物は必要でなく、何かを愛する必要もない[10]。』
【※註1:悪魔を創造したのも神】
こういう話をすると信者さんはすぐに「神は自由意志をお与えになった」みたいな話を始めるのですが、大抵、自由意志に関する哲学的な議論は踏まえません。
【※註2:「僕は彼を殴ったんじゃない、拳を突き出しただけ」】
ちなみにウィリアム・O・ダグラス最高裁判所判事はこう言ってます。
『私の拳を素早く動かす自由はあなたの顎の近くでは制限されなければならない』
…ついでに言えば、コレは表現の自由を巡る議論でも重要な視点です。
表現の自由戦士の言ってることって
「自分には好きに振る舞う自由があるんだから、拳が当たって痛い思いをする奴がいたって知ったこっちゃない」
みたいなコトよね…
(00:25)
2022年09月08日
『実話BUNKA超タブー』最新号表紙がこんなです。

しかもいつもの数ページの特集ではなく、殆どのページが「世界の陰謀のすべて」。
完全にコンビニ売りの陰謀論本。
そして
「茨城県牛久市でプテラノドンが目撃」
とかとともに
「統一教会と戦っていた安倍晋三を殺した闇の組織」
なる見出しも…
この見出しに対応するのが
「安倍晋三を殺した山上は闇の組織の捨て駒だった」
という4ページに渡る記事なのですが、その主張は要約すればこう。
◉かつて統一教会の苦境を救ったのがフリーメイソン、中でもロックフェラー家の一派
◉統一教会はフリーメイソン・ロックフェラー傘下としてイルミナティやCIAとも関係を深める
◉安倍晋三の「日本を、取り戻す」は祖父・岸信介が持ち込んでしまった統一教会・フリーメイソン・ロックフェラーから取り戻す、の意
◉日本を取り戻そうとした安倍は闇の勢力に狙われた、これが真相
◉ではなぜあのタイミングで消されたのか? 戦争で儲けているアメリカの支配層(闇の勢力)が戦争を終わらせないためにロシア・ウクライナ両方と話ができる安倍を消した
◉闇の組織は安倍の死で憲法改正の機運を盛り上げ、日本を戦争に参加させて米中戦争に巻き込もうとしている…こう考えると一本の糸につながるのでは?
◉山上容疑者は操り人形。本人は自力でやったつもりだろうし指示した人もいないが、そうなるべくして仕向けられていた可能性が高い。警備を甘くしていたことも考えられる。
◉だが希望はある。「日本を取り戻す」という意思を継ぐ者が育っている。戦いを誤解させたところはトランプに似てるが、トランプにQアノンがいる様に、安倍には「アベニマス」が存在し、活動している。
◉メディアが安倍叩きをした結果、悲劇が起きた。だがメディアに騙されず真実を見極めようとする国民は増えており、今後に期待。
…フリーメイソンにイルミナティ…完全にいつもの陰謀論。
しかもJアノン寄り。
お仲間のトンデモ説とともに陰謀論本に収められて良かったね、他に行く場所ないもんね。
表紙には「人気YouTuber&芸人が世界の真相を解説」とあり、実際、殆どの記事はその手の人物が解説。
この記事にも「おみそちゃんねる」のプロフィールが付されてます。
…が、その割に記事の最後には「取材・文/黒岩悠」とも表記が。
なお、「黒岩悠」でぐぐっても競馬の騎手しか出てきません。
ちなみに牛久のプテラノドンの方は
「牛久にプテラノドンが現れた!? 7400万年前に絶滅したはずの古代生物」
というタイトルで、要約すると↓こんな。
◉牛久でプテラノドンらしきUMAが撮影された
◉凧だった可能性もあるが、全幅9mもある凧が販売されてるという話は聞かない
◉牛久では20年前にも「7mある鳥」が目撃されてる
◉茨城は自然が豊かでUMAの宝庫。妖怪伝説も多い
◉県内にはつくば市があり、最先端の科学技術が集まっている
◉今回のプテラノドンが翼竜の生き残りとは考えにくい
◉可能性は2つ。ひとつは「プテラノドンの幽霊」
◉動物の霊は珍しくない
◉ネッシーにも幽霊説がある。捕獲されず、はっきりした写真すらないことと辻褄が合う
◉もうひとつは遺伝子組み換えなどで「蘇らせた」説
◉蘇ったプテラノドンが逃げた。あるいは国民がどれくらいパニックを起こすか実験するためわざと放った──こういった可能性が考えられる
うわぁ…
翼竜の生き残りでないなら「茨城は自然とUMAと妖怪伝説の宝庫」の話いらんやろ。
あと空にある物体は比較対象がないため大きさを見誤りやすいもの。
「7mの鳥」は眉唾です。
凧だとすれば9mという実寸である必要はなく、また自作だとすれば市販されてる必要もないよね。
あとわざわざプテラノドンを蘇らせておいて、やることが「パニック実験」てナニよ…
普通に発表すれば世界が驚く科学成果やろ。
続いて同じ人物が「政治利用されたUMA黒歴史 でっちあげのために創作されたオカルトの数々」なるタイトルで、↓こんな記事も書いています。
以下要約。
◉メディアでオカルトへの規制が強まっている
◉理由のひとつはQアノンや反ワクチンなど「陰謀論」の広がりとトンデモ化
◉UMAには陰謀論に利用されてきた歴史がある
◉キリスト教右派の人物が「ローペン」という翼竜型UMAの情報を拡散している
◉これは「古代生物が生き残っていた→進化論は間違っていた」と主張するため
◉Qアノンにも多いキリスト教右派は創造論を信じ、進化論を否定している
◉オーパーツにも同様の理由で捏造されたものがある
◉獣人系UMA「モノス」は、「白人と有色人種は別起源」とする白人至上主義者が捏造したもの
◉「モノス」写真の発表者は発見者の知人で人種差別主義者の人類学者ジョージ・モンタンドン
◉モンタンドンは「白人はクロマニヨン人から、アジア人はオランウータンから、黒人はゴリラやチンパンジーから進化した」と考えた
◉アメリカ先住民の祖先にあたる類人猿が存在しないため、クモザルの「モノス」を新種のアメリカ類人猿に仕立てた
◉オカルトは「謎とロマン」、陰謀論は「捏造」で別モノだが、「非科学的」という意味で混同されがち。
◉実際、両方信じてる人もいるし、オカルトは陰謀論に利用されたりもしてきた
◉だが両者は似て非なるもの。『ムー』は公式Twitterで反ワクチンに苦言を呈してる。「一緒にするな」と言いたかったのだろう
…こちらは牛久のプテラノドンとは打って変わってわりと冷静。
とはいえツッコミどころはありますが。
「ローペン」は本物認定しないのに牛久のプテラノドンはするんかい、とかね。
あと『ムー』は反ワクそのものは否定してないんよね。
それにQアノンが流行った時に編集長が
『検証するとすぐにおかしいと分かる事柄が組み合わさっていて、ムー読者からするとまだまだ甘いと思うのでは』
とムーでは扱わないっぽい発言してた癖に、その後2021年5月号は「総力特集 Qアノンと闇の政府ディープステートの陰謀」だったし。
さすがオカルト誌、節操なし…!
いつ手のひらクルンクルンするかわかったモンじゃない。
「ローペン」や「モノス」の裏事情は初めて聞いたので何とも言えませんが…
『未確認動物UMAを科学する モンスターはなぜ目撃され続けるのか』という本に「UMA探検の資金源が創造論者」という話が載っているらしく、そちらと整合的ではあります。
この本、発売当初に買ったものの、積読してるうちに腐海に飲み込まれ行方不明になりましたが…
出版は化学同人(※別に同人誌を出してる訳ではなく、しっかりした科学系出版社です)、翻訳は松浦俊輔、序文は懐疑主義者として名高いマイケル・シャーマー、と大変真面目そう。
内容は↓こんな感じらしいです。
【 Bunjin's Book Review】
『未確認動物UMAを科学する』
https://www.bunjinbookreview.com/2020/10/24/uma/
ネトウヨさんはよく「五毛党ガ―!」「日当ガ―!」「捏造ガ―!」「不正ガ―!」とか言いますが、実際にやってたのは大体ネトウヨさんの方。
それと同じで、創造論者は「始祖鳥化石ガ―!」「ピルトダウン人ガ―!」と進化論サイドの捏造を言い立てるのですが、実際に捏造するのは大体創造論者なんだよなぁ…。
サンダル跡付きの三葉虫とかね。
なお、この2つの記事を書いたのはUMA研究家の中沢健。
ご尊顔はこんな。

(画像は安斎レオのTwitterより)
ちなみにメディアに出る時は大体この恰好。
この中沢健の2つの記事といい、『ムー』といい、言ってることの振れ幅がすごいのですが、それはこれらの記事が載ってる『実話BUNKA超タブー』も同じですよね。
『格差社会は許さない「日本死ね」マガジン』を標榜し、姉妹紙『実話BUNKAタブー』と共に「紙の嫌儲」とまで呼ばれる本誌。
しかし『実話BUNKAタブー』では「ネトウヨさんの考える韓国人」像まるだしの『テコンダー朴』を連載し、逆張り記事なら何でもアリでウヨサヨが呉越同舟。
『タブー』2022年6月号の特集が「デタラメで害悪な陰謀論大全」だったのに、『超タブー』同年10月はこの「世界の陰謀のすべて」ですからね…。

安倍元首相も批判してたのに、陰謀論特集になると途端に「安倍は統一教会から日本を取り戻そうとしてたが闇の組織に消された」なんだな〜…。
(00:30)
2022年08月28日
モーリー・ロバートソンのこんな記事を発見。
【週プレNEWS】
『反共、スシ、ライフル。統一教会とその分派はアメリカでどう広がったか?』
https://wpb.shueisha.co.jp/news/politics/2022/08/01/116936/
文鮮明は80年にニューヨークで演説し、「水産物で世界の食料問題を解決し、食の救世主になる」と宣言しました。大きな物語をぶち上げるのは実に"カルトっぽい"ですが、統一教会がすごいのは、実際にストラテジックに事業を回していく点にあります。
文が設立した食品商社「トゥルー・ワールド・フーズ」は全米に生鮮魚介の流通網を構築し、同時にすしレストランを多店舗経営。流通から販売までグループで担うことで、都市部だけでなく田舎でもすしが食べられる環境を整備しました。アメリカで「スシ」が一般的な食事になった最大の理由に統一教会の存在を挙げる見方もあるほどです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ネトウヨさんはよく「海外で日本人のフリして寿司屋やってるのは韓国人!」とか言って差別を正当化しようとするけど、やってるの統一教会でしたね。
寿司屋やるのが何かの罪になるのならその責任は統一教会にあるので、ちゃんと壺批判してね。
そして文鮮明、『水産物で世界の食料問題を解決』と発言。
なるほど、だから昔から干物とかを訪問販売してたのか~…
昔、友達んちに遊びに行ったら友人とその両親の3人がかりで創価学会の素晴らしさを説かれたのですが、背後でばーちゃんがたまたま来た訪問販売員にスルメを一袋5000円で売りつけられてて心の中で大爆笑。
一家でチョロすぎるやろ…。
記事が消えた時に備え、全文を保存しときます。
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反共、スシ、ライフル。統一教会とその分派はアメリカでどう広がったか?
政治・国際2022年08月01日
当初は左派・共産主義への対抗勢力として米政界に近づいた旧統一教会。その役割が減退した1980年代以降、アメリカで教団の勢力拡大を担ったのは「スシ」と「日本人信者」だった! 『週刊プレイボーイ』で「挑発的ニッポン革命計画」を連載中の国際ジャーナリスト、モーリー・ロバートソンが解説する。
■スシ戦略を支えた日本人の献金と労働
安倍晋三元総理の銃撃事件以降、自民党と旧統一教会の関係に注目が集まっています。
最初の契機は、創設者・文鮮明(ムン・ソンミョン)が反共産主義の政治活動団体「国際勝共連合」を1968年に設立したこととされています。
実際、60年代から70年代の保守政界には、過激な革命思想や労働組合の拡大を抑え込むためならどんな勢力でも利用するという安直な考えもあったでしょう。さまざまな勢力や団体が(与野党問わず)政党に食い込もうとし、政治の側もそれを受け入れた時代でした。
一方、社会が豊かになった80年代には、「思想」で人が動かない時代が到来。急進左派の活動はしぼみ、その対抗勢力と位置づけられていた統一教会も政治的には"冷戦構造の残滓(ざんし)"に成り下がるかに見えました。その統一教会と自民党の間にどのような関係が続いていたのかについては、今後明らかにされていくことを期待します。
本稿で取り上げたいのは、アメリカにおける統一教会の拡大戦略です。米政界でも70年代までは保守の共和党が「反共」の統一教会を積極的に取り込んでいたのですが、その時代が終わった80年代以降はどのような方法で勢力拡大を図ったのでしょうか。
文鮮明は80年にニューヨークで演説し、「水産物で世界の食料問題を解決し、食の救世主になる」と宣言しました。大きな物語をぶち上げるのは実に"カルトっぽい"ですが、統一教会がすごいのは、実際にストラテジックに事業を回していく点にあります。
文が設立した食品商社「トゥルー・ワールド・フーズ」は全米に生鮮魚介の流通網を構築し、同時にすしレストランを多店舗経営。流通から販売までグループで担うことで、都市部だけでなく田舎でもすしが食べられる環境を整備しました。アメリカで「スシ」が一般的な食事になった最大の理由に統一教会の存在を挙げる見方もあるほどです。
そして、このプロジェクトを支えたのが従順に寄付金を上納し、教団の手足として働く日本人信者たちであるともいわれています。
統一教会は日本で集めた献金(いわゆる霊感商法の売り上げも含まれるでしょう)をアメリカでのビジネスの原資としつつ、優秀な信者たちに海を渡らせ、合同結婚式でアメリカ人とマッチングさせることで市民権を取得させ、輸入、流通、店舗経営などの仕事に従事できる態勢を構築したのです。
文鮮明が「食の救世主」になるために寝る時間も惜しみ、薄給もしくは無給で献身的に働き続ける日本人の「勤勉の美徳」、教団の上意下達(かたつ)カルチャーを支える儒教精神、そしてカルトのマインドコントロール。
従業者の人件費や労働時間を気にする必要すらない垂直統合型の水産ビジネスが、資本主義市場で勝ちを収めるのはある意味、必然だったのかもしれません。
■日米でまったく別の顔を見せる七男
米ニューヨーク・タイムズが昨秋発表した特集記事「The Untold Story of Sushi in America」によれば現在、トゥルー・ワールド・フーズ社は全米のすしレストランの7、8割に食材を供給し、年間売り上げは500億円に及ぶそうです。
また、旧統一教会のビジネスは水産業だけでなく自動車、メディアなど多角展開で90年代、2000年代を通じて巨大化し、布教のエンジンとなっていきました。
一方、文鮮明が死去した2012年以降には教団に分派騒動が勃発。妻・韓鶴子(ハン・ハクチャ)が率いる本流の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)から分かれたのが、七男・文亨進(ムン・ヒョンジン/アメリカでの通称はショーン・ムーン)が設立した「サンクチュアリ教会」です。
ショーンは銃を聖書に登場する「鉄の杖」であるとして神格化し、合同結婚式にも銃の持参を呼びかけ、銃規制反対を訴えてNRA(全米ライフル協会)などの保守勢力に食い込んでいます。トランプ支持者とも結託し、昨年1月の連邦議会襲撃事件では議事堂前でショーン自ら生配信を行なっていました。
銃弾を連ねた金の王冠を頭にのせたショーンの姿は滑稽な印象さえあり、日本のネットでもイジられているようですが、彼はただの道化(ピエロ)ではありません。例えば、デジタルメディア「VICE(ヴァイス)」のインタビューでは非常に雄弁で、上院議員のような頭脳明晰(めいせき)さを見せています。
支持者へのメッセージはQアノン的な陰謀論(世界を牛耳る影の政府だとか、新型コロナは生物兵器だとか)が満載ですが、思想の背景に対する基礎知識や警戒心がない人なら、ショーンのことを「ダイバーシティを体現するアジア系の優秀な若きリーダー」だと思っても無理はありません。
しかも、ショーンは銃器製造会社を経営する兄と組み、ガンライツ(銃保持の権利)と極右思想をベースにして支持基盤をフランチャイズ化しようとしています。父・文鮮明がすしを利用したのと同様に、そこには明確な計画性、戦略的な視点があります。
さらに注目すべきは、ショーン自身のキャラクターの使い分けです。ちょうどこの6月から7月にかけて、ショーンは来日布教ツアー中でしたが、公開された動画を見る限り、彼が日本の信者に語りかける口調はまるで"説教オヤジ"。
母である韓鶴子と旧統一教会に対する恨み事ばかりの次元が低い演説で、アメリカで見せる切れ者の顔は一向に見せません。ただ、これは間違いなく意図してやっていること。おそらく、それぞれの国・地域で最も布教やマインドコントロールに適したキャラクターを演じ分けているのだと思います。
政財界や社会の特定層に食い込むことにかけては、旧統一教会もサンクチュアリ教会も非常に長(た)けています。「入信する人の気が知れない」とか、「無知だからだまされるんだ」といった声も聞こえてきますが、問題はそんなに単純ではないし、解決も容易ではない。そのことは強調しておいてもいいのではないかと思います。
●モーリー・ロバートソン(Morley Robertson)
国際ジャーナリスト。ミュージシャン。1963年生まれ、米ニューヨーク出身。『スッキリ』(日テレ系)、『報道ランナー』(カンテレ)といったレギュラー番組などメディア出演多数。昨年はNHK大河ドラマ『青天を衝け』、TBS日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』への出演でも話題に!
★『モーリー・ロバートソンの挑発的ニッポン革命計画』は毎週月曜日更新!★
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