千葉麗子
2024年12月05日
『絶望に効く薬ーONE ON ONEー』という漫画がありまして。
漫画家の山田玲司がいろんな著名人にインタビューし、その人生について語ってもらって最後に一言「希望の言葉」を引き出す、という構成。
その中に竹内久美子や千葉麗子がゲストになってる回があることをキャッチしたので、入手してみました。
チバレイは2005年刊の5巻、竹内久美子は2006年刊の7巻に載ってます。

(※画像は『絶望に効く薬ーONE ON ONEー』5巻より引用)

(※画像は『絶望に効く薬ーONE ON ONEー』7巻より引用)
お二人がまるで悟りでも開いたかの様に描かれてて素敵〜(素で敵)。
チバレイはネトウヨ仲間である加藤清隆にセクハラされちゃってた人ですね。応援してるぞがんばれ。
かつては「ゲームやパソコンに詳しくコスプレもしちゃう」というサブカルチャー系アイドルの嚆矢としてオタクにバカウケ。
政治的には当初は左寄りで反原発運動に関わってましたが、突如としてネトウヨ化しちゃいます。
「左出身の右」というのは「右出身の左」である雨宮処凛と対照的。
そしてチバレイ、「パヨク」という言葉の成立に深く関わってるんよな。
【ハンJ速報】
『ネトウヨ「パヨクの語源は千葉麗子が左翼活動家時代に付き合ってた男が言った「ぱよぱよちーん」から来てるんですよw」俺「お、おう」』
https://nanyade.livedoor.blog/archives/30703392.html
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16 :番組の途中ですがアフィサイトへの\(^o^)/です :2021/08/15(日) 00:03:11.22 ID:I1zB5R450.net
反レイシスト運動やってたIT関連の久保田というオッサンが昔、千葉麗子と付き合ってたんだけど、その時に千葉のことを「ぱよちん」とか呼んだり
「おはぱよー」とか声をかけてたわけ。馬鹿ップル会話てとこな。
千葉麗子は当時は左派運動や反原発運動に関わってた
で、千葉とオッサンはその後別れたわけだがそれが理由かはわからんが、千葉は紆余曲折あってその後、ウヨ側に鞍替えした。
ここまでの経緯でまずネトウヨは「一方的に千葉が好意をよせられてた」というデマを流しているで注意な。
しかし、実際には、別れ話で千葉がおっさんの実家におしかけたりしている。千葉がストーキングしてたんだよ。
また、大人の恋愛で自由ではあるけど、一応、オッサンと千葉は不倫関係だった。
で、時は流れ、はすみとしこって言う幸福の科学関係者のレイシストのイラストレーターが、シリア難民差別の作品を公開したんだけど
それなりに騒動になったんだよ
これに、「いいね」をしてる人達の情報を、反レイシスト側がまとめる運動をしてた。
で、そん時に、その反レイシスト側に、千葉と付き合ってたオッサンもいた。
で千葉がそのオッサンの個人情報を私怨もあって漏らした。で、当然のようにウヨ側が報復で、そのオッサンの個人攻撃を徹底的に始めた。
そこから、そのオッサンの過去の「はずかしい、馬鹿っプル語」を揶揄して
ネトウヨ側が「ぱよぱよちーん」と連呼を始めた
で、ネトウヨは「ぱよぱよちーん」と「サヨク」をくっつけて「パヨク」て言葉を作って左派側や、反レイシスト側を「パヨク」と呼びだした
ほんとにアホらしいけど「アホみたいですよ」と言ってもウヨ側は「効いてる!効いてる!」とかで続けてるわけだ
まぁ案の定、世の中で表舞台では広まらないけどな
ハセカラ語みたいな、「単なるネット苛めの言葉」だからね
(後略)
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左翼に対する謎の蔑称「パヨク」、震源地はチバレイの痴話喧嘩やないか!
この件はネトウヨさん側の見解でもチバレイが絡んでいる点ではおおむね一致。
【ピクシブ百科事典】
『ぱよぱよちーん』
https://dic.pixiv.net/a/ぱよぱよち〜ん
それにしても何故くみっふぃーやチバレイなんぞがゲストに選ばれたのやら。
まず第一の理由としては、山田玲司・竹内久美子・千葉麗子、全員メンがヘルになったことがあること。
そもそもこの連載自体、メンタルいわした山田玲司が復活するために、絶望のドン底から這い上がった人や、逆に飄々と生きている人たちに「希望の言葉」を聞いて周る、みたいなコンセプトだし。
くみっふぃーとチバレイは「メンヘル乗り越えた枠」な訳ですね。他に大槻ケンヂとかもこの枠で登場。
そしてこのコンセプトからも分かる通り、この連載は単なるインタビューではなく、山田玲司の個性が強く打ち出されています。
まぁタイトルも『絶望に効く薬ーONE ON ONEー』なので、インタビュアーは舞台の黒子役ではなく、ゲストと本気でぶつかり合う主役なのです。
で、くみっふぃー&チバレイ起用の謎、この山田玲司の側を深掘りすることで割と理解できる様になるのですよね…
私、昔は結構な山田玲司ファンだったし。
『絶薬』も3巻くらいまではリアタイで買ってたり。
ただいろんな人へのインタビュー集なので、「是非読んでみたい!」と思えるゲストは1冊につきせいぜい1人か2人くらいしかおらず、あとは「…誰?」という感じになってしまうので、何となくフェードアウトしちゃいましたが。
山田玲司の代表作は90年代に連載していた『Bバージン』。
いやもうホントに、この作品がなかったら私なんて一生DTでしたよ。
今も精神的にはDTのままですが…僕は精神的DT貴族に属するッ!(魔少年DT)。
だって『Bバージン』、非モテの生物オタが一念発起して自分を改造し、意中の女性と付き合うまでの話やで?
しかも女性の心理や口説き方まで解説されてるし、それでいて女性を単なる獲物やターゲットとして捉えてる訳でもなく純愛を貫くし。
作者の山田玲司は生物好きが高じてグリーンピースを絶賛したり、温暖化問題を扱った本を書いたりと割と政治的な人物。
チバレイ回の載ってる5巻では辻元清美にもインタビューしてます。
環境問題に興味があってリベラル寄りなのは良いのですが…
作品もそうなんですが、この人、冷静に分析とかしてるけど根が熱血なんですよね。
それ自体はむしろ美点なんですが、やっぱ最後には精神とかを優先させちゃうので、スピリチュアル系に弱い一面も。
で、作中でガイア理論がどうのこうのと言い出したりもしてたり。
ガイア理論というのはですね、ジェイムズ・ラヴロックという人が言い出した、
「地球って温度やら一定に保たれてるやん?
コレって生物みたいじゃね?
もしかして地球って生き物なんじゃね?」
というおもしろ仮説。
ガイアというのはギリシャ神話に出てくる地母神の名前です。
アニメ『六神合体ゴッドマーズ』にガイヤーというロボがいましたが、これもガイアの表記揺れでしょう。
他のロボもいろんな神話に出てくる神から名を採ってるし。呉越同舟。
コイツは男性的デザインでしたが、ガイアは本来、女神です。
まぁ大地を司る神は大体そうよね。
胸を強調したアニメ絵ポスターが「性的搾取だ」としてちょいちょい炎上しますが、『のうりん』だけは許したれよ、農業に地母神的な巨乳キャラが出てくるのは仕方なくないですか?
ただし温泉娘、テメーはだめだ。
そしてガイア理論が浸透するにつれて何やら妙な誤解が広がり、ガイアはスピリチュアルめいた人たちの玩具に。
「もし巨大隕石が衝突しようとしても、ガイアがそれを許さないだろう」
みたいなコト言い出す人まで現れちゃいました。
どう許さないのかガイア。
地球パンチで砕くのか、地球がひゅるっと身をかわして避けるのか。妖星ゴラス。
このガイア仮説をめちゃ批判してたのがおなじみドーキンス先生です。
そもそもドーキンスは「生態学」を表すエコロジーという言葉が「ちきゅうにやさしい」みたいに扱われるのにおかんむり。
なのでそっちの方のエコロジーを嫌味で「ポップ・エコロジー」(俗流エコロジー)と呼んだりしてたのですね。
そしてその筋から
「じゃあお前はポップ・エソロジスト(俗流動物行動学者)やんけ」
と嫌味で言い返されてみたり。
あんたら子供か?
そういや竹内久美子も山田玲司に「ポップスター」と呼ばれてましたね(冒頭で引用したコマを参照)。俗流スター。
そしてポップ・エコロジーの教祖に祭り上げられたラヴロックとの間で
ド「星は繁殖せーへんから生物ちゃうやろ」
ラ「ほーう、ほなお婆ちゃんは生物ちゃうねんな?」
みたいな泥試合。
お互い大人気なさすぎやろ。
まぁドーキンスは「自然選択を通じた進化」で全てを説明する人なので、生物の様に複雑なものが説明もなくにょいにょい生えてくるというガイア仮説を嫌うのも理解できます。
「自然選択がはたらく」とは平たく言えば「繁殖率に差がある」ということ。
星は自身のコピーを作らないので繁殖率もクソもなく、自然選択が働かないですからね…。
ただしラヴロック自身はポップ・エコロジーからは距離を置いてたり、ドーキンスの『利己的な遺伝子』を好意的に評価してたり、という一面も。
また、ラヴロックは「デイジー・ワールド」という仮想的な例で、どの様にして惑星が「温度を保つ」といった生物の様な恒常性を獲得するかの説明モデルを提出してはいます。
コレはどういうものかと言うと…
デイジー(ヒナギク)に覆われた惑星を想像してみましょう。
さらに「気温が上がり過ぎると、デイジーは白い花を咲かす」と仮定します。
すると太陽光線が多い時は白いデイジーが増えて光線を反射させ、惑星の温度は上がり過ぎずに一定を保つ…という訳ですね。
しかしよく考えるとコレはちょっとおかしい気が。
そもそもこのデイジーは何故暑いと白くなるのでしょうか?
例えば「太陽光線を反射させることで自分が暑くなるのを防ぐため」だとしたら…
ソレは地球の温度調節のためではなく、自分自身のためにやってるだけです。
だったら惑星の温度を下げるのはデイジーの目的ではなく、単なる副産物ということになります。
たまたまの副産物なら、むしろ環境に対してダメージを与えることだって同様にありえるのでは…
実際、酸素がそうです。
現在の我々は酸素がないと生きられませんが、もともとは酸素は生物にとって猛毒でした。
そこへ新登場したシアノバクテリアが光合成の副産物として毒性物質である酸素を環境中に撒き散らしたおし、おかげで多くの生物が絶滅。
そんな中、逆に酸素を利用する生物が現れて、その子孫が我々という訳。

(※画像は
https://x.com/boketejp/status/992962155103309825?s=46
より引用)
そうではなく、「デイジーは自分は得しないのに惑星全体のために白くなるのだ」とするなら…
わざわざ白くなるには何らかのコストが発生する筈です。
それを行うことは惑星全体のために行う「利他行動」ですね。
では白くなる「利他的なデイジー」の中に、白くならない「利己的なデイジー」が現れたとしたら…?
利己的デイジーはコストを支払わない分、利他的デイジーより有利となってびちびち増え、「白くなるデイジーの惑星」はやがて「白くならないデイジーの惑星」に変わってしまいます。
コレは当ブログではお馴染みの「群選択」の問題点と同じですね。
『「国益を考えろ!」←は?』
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/18477246.html
そうなるとそもそもこの惑星が一旦は「白くなるデイジー」に覆われた理由も怪しくなってきます。
群選択では、自己犠牲を厭わない「利他的な個体の群」はわがままな「利己的な個体の群」より有利だから選択されたのだ、と説明します(このロジックには先述の欠点があることに留意)。
じゃあこの惑星は、利己的なデイジーに覆われた惑星との間の繁殖競争に勝って進化したんか、という話になり、ここでドーキンスの「星は繁殖しねぇだろ」という指摘が効いてきます。
という訳で、デイジー・ワールドという都合の良い仮想的な例を持ち出したところで、ガイア仮説はやはりおかしい、ということにしかならんのよ。
このガイア仮説、今は割と忘れられてますが、80年代〜90年代には結構さわがれたものです。
あの名作漫画『寄生獣』は、作中にドーキンスの「利己的な遺伝子」は登場しちゃうわ、パラサイトたちは徹底して利己的だわで、そっち系の話だと思われがち…
しかし、あのパラサイトって作品の冒頭で
『地球上の誰かがふと思った』
『人間の数が半分になったらいくつの森が焼かれずにすむだろうか……』
『地球上の誰かがふと思った』
『人間の数が100分の1になったらたれ流される毒も100分の1になるのだろうか…』
『誰かがふと思った』
『生物(みんな)の未来を守らねば…』
という理由でいきなり誕生してるんですよね…。
この
「地球全体のバランスを取るための仕組みが存在する」
「バランスを取るためのその仕組みがどうやって出来たのかは全く説明しない」
というあたりはむしろ完全にガイア理論なんよな。
ついでに言えば、『寄生獣』のパラサイト…
革新的なアイデアだと思われがちですが、実は
「人間や犬を襲って同化し、外見上は見分けがつかない」
「寄生された人間は会話などもでき、行動から見破ることも難しい」
「いきなり変形して頭がばっくり割れたり触手とか出す」
「体のごく一部を本体から切り離すことで見破ることができる」
など映画『遊星からの物体X』(ジョン・カーペンターによるリメイク版)に激似。
話を戻しまして。
山田玲司は『Bバージン』の後、『ドルフィン・ブレイン』という作品を描いています。
これはイルカの脳を移植された少年が地球環境を破壊する巨悪と戦う物語なのですが…
コレって公害や開発で棲家を追われた妖怪がよくやるムーブよね。
あと後発ながら映画『アバター』も、原住民の肉体(アバター)を手に入れたおっさん…つまりは「自然派な肉体に変わっちゃった男」が環境破壊する企業と戦う