2025年07月02日
NHKがめためた良記事を出してるので紹介しときまーす。
【NHK NEWS WEB】
『「外国人優遇」「こども家庭庁解体」広がる情報を検証すると…』
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250628/k10014845481000.html
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「外国人優遇」「こども家庭庁解体」広がる情報を検証すると…
2025年6月28日 15時19分
参議院議員選挙を前に、政府の「お金の使い方」に注目が集まっています。
SNSで多くみられるのが、「外国人」や「こども家庭庁」に関する投稿で、「優遇されている」とか「解体すべきだ」とする声も増えています。
中には、誤った数字がひとり歩きした情報や、全体の中の一部だけを強調したような情報も。
広がっている背景には何があるのか。実際はどうなのか、取材して検証しました。
目次
•「中国人留学生に1000万円」実際は…
•「留学生に月15万円を支給」は全員ではなく…
•日本の学生への支援 予算は7000億円規模
•東京大学は「留学生優遇」を否定
•「外国人の国保未納は年4000億円」は誤情報
•外国人の医療費は全体の1.39%
•こども家庭庁「7兆円予算」の大半は…
•こども家庭庁「ほとんどが外部委託で中抜き」は「事実誤認」
東京都議会議員選挙や参議院議員選挙といった、注目される大きな選挙が続くいま、SNSでは「政府のお金の使い方」に関する投稿が広がっています。
なかでも「外国人が過度に優遇されている」「こども家庭庁は無駄だから解体すべきだ」などという声が目立つ状況になっています。
NHKとJX通信社が6月20日と21日に、インターネットで実施した調査ではこのような結果が。
▽「日本社会では外国人が必要以上に優遇されている」という質問に「強くそう思う」か「どちらかといえばそう思う」と答えた人は64.0%
▽「財務省やこども家庭庁は予算を無駄遣いしているので廃止すべきだ」という質問に「強くそう思う」か「どちらかといえばそう思う」と答えた人は58.4%
インターネットでの調査で、実際の人々の状況とは異なる可能性もありますが、一定の割合の人がそのように感じていることを示す結果でした。
また、こうした声に関連して、SNSでは不正確な情報や、誤解に基づいた情報も拡散されています。街頭やSNSを通じて訴えている政治家もいました。
取材や公開されている資料をもとに、広がっている情報を検証していきます。
「中国人留学生に1000万円」実際は…
「外国人留学生、特に中国人留学生を日本人学生より優遇している」という主張。
具体的には「返済不要の1000万円を渡している」、「留学生は毎月15万円支給されていて、優遇だ」というものが広がっています。
「日本人は奨学金で借金しているのにおかしい」というXの投稿には、1000万回以上見られているものもありました。
「1000万円の支援」は、博士課程後期の学生に向けた文部科学省の支援制度「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」のことを指しています。
生活費や研究費など年間最大290万円を支援する制度で、最大3年間(4年制の場合は4年間)支給されるため、「約1000万円」として広がっています。
ただ、この制度で支給されるのは留学生だけではなく、日本人の学生も対象です。
2024年度の実績では対象となった1万564人のうち、およそ6割にあたる6439人が日本の学生でした。
そして、およそ4割にあたる4125人が留学生、そのうち3151人と最多だったのが中国籍の留学生でした。
この点は国会でも取り上げられ、文部科学省は生活費の部分については、日本の学生のみとする制度に見直す方針です。
文部科学省人材政策推進室によると、制度の主な目的として日本の学生を支援することを明確化した一方で、優秀な留学生の支援も重要であることから、研究費の支援は留学生に対しても続ける方針だということです。
「留学生に月15万円を支給」は全員ではなく…
もう1つ、広がっているのが「留学生に毎月15万円支給」という主張です。これは、国費留学制度のことを指しているとみられます。
政府による支援制度で、旅費の支給や学費の免除のほか、留学先に応じて月11万7000円から14万5000円(地域加算あり)が支払われます。
国費留学制度は、海外から優秀な留学生を受け入れることで、国際交流や友好親善の促進、各国での人材育成、日本の大学の国際化や教育研究力の向上、日本と世界の発展に寄与することなどを目的としています。
文部科学省留学生交流室によると、支援を受けられるのは、各国の日本大使館で行われる試験に合格したり、それぞれの大学で優秀な成績を取っていたりする人に限られています。
留学生33万人のうち国費は2.8%
日本にいる33万6708人の留学生(2024年度)のうち、大半が私費で来ている留学生で、国費留学生は9304人と留学生全体の2.8%です。
(日本学生支援機構「外国人留学生在籍状況調査結果」より)
国費留学生は国籍別に、多い順にインドネシア(1163人)、ベトナム(619人)、タイ(618人)、中国(617人)となっています。
国費留学制度に関わる予算は2025年度で177億円です。
(文部科学省「高等教育の国際化に関する施策」より)
日本の学生への支援 予算は7000億円規模
一方で、日本の学生に対する返済不要の奨学金などの支援制度(最大で年間160万円)もあります。
こちらの予算は、2025年度で授業料等減免に4578億円、給付型奨学金に1954億円、あわせて7025億円(地方分含む)となっていて、今年度は、84万3000人が対象になると想定されています。
(金額は財務省広報誌『ファイナンス』令和7年5月号より)
文科省留学生交流室の担当者は「優秀な留学生を受け入れることは、日本の大学の国際化や社会の発展につながる。日本の学生にとってもプラスで、今後も多様な国から受け入れていきたい」と話しています。
東京大学は「留学生優遇」を否定
日本国内で留学生を最も多く受け入れている大学の1つ、東京大学には留学生が5000人余りいます。
全体の学生数は2万9000人余りなので、およそ17%が留学生。そのうちのおよそ67%は中国人です。
これについても、「中国人の留学生が優遇されている」などとする主張がSNSで広がっていますが、東京大学の林香里理事・副学長(国際、ダイバーシティ&インクルージョン担当)は明確に否定しています。
林理事・副学長
「とても大きな誤解だと思っています。どこかの国の留学生を優遇することはしておらず、きちんとした入試で、同じ条件で受けていただいて入学を許可している。日本人よりも外国人留学生を優遇していることも全くありません」
そのうえで、留学生とともに学ぶ環境が重要だと指摘しています。
林理事・副学長
「研究の高みを目指していくということでは国際化はいま、必須条件になっています。高等教育の国際化が、日本の国力や日本人の学生のためにも非常に重要だということをご理解いただきたい。さらに活発な多様性のあるキャンパスを作っていきたいと思っています」
「外国人の国保未納は年4000億円」は誤情報
外国人の「国民健康保険」に関する情報も広がっています。
病気やケガをしたときに、医療費の一部を公的な機関が負担してくれる公的医療保険。このうち、国民健康保険には3か月を超えて在留する外国人も加入する義務があります。
主に留学生や自営業者などが対象で、支払う額は収入に応じて決まり、収入がない場合でも支払いが発生します。
この中で「外国人による国民健康保険の未納が年間で4000億円」とする投稿が広がっています。Xでは150万回以上見られているものもありました。
厚生労働省がまとめているデータによると、日本人も含めた国民健康保険全体の未納額は年間で1457億円(2022年度)です。
(厚生労働省「令和4年度国民健康保険の財政状況について」より)
外国人による未納があるのは事実ですが、未納額は全体でも年間1457億円なので、「外国人の未納額が年4000億円」という数字は誤っていることがわかります。
ただ、外国人による未納がどの程度なのかについて、国は把握できていないとしています。
外国人の未納の割合は?
厚生労働省が、外国人による収納状況を把握している全国およそ150の市区町村について調べたところ、日本人も含めた全体の収納率は93%で、このうち外国人の収納率は63%でした。
厚生労働省は全国で外国人による未納の状況を把握できるようにするとともに、出入国管理庁と連携して、未納の状況を在留審査に反映させることも検討しているということです。
ただ、保険料の納付期限から1年たっても、災害などの特別な事情がなく納付されない場合には、医療機関の窓口での医療費負担が10割になります。
新宿では12.7億円が未納? 日本人も…
さらに詳しいデータが分かっているところもあります。
東京・新宿区は国民健康保険の収納率(納付率)がほかの自治体と比べても低く、外国人は53%が未納で、その額は年間およそ12.7億円です。
日本人では24%が未納で、額は年間およそ26.3億円となっています。
(「新宿区国民健康保険の現状と取組み(令和6年度)」より)
新宿区は未納の額を減らせば一般財源からの補填(ほてん)も減らせるとして、外国人に対して多言語で案内するなどしていて、収納率は改善してきているということです。
ことし4月には「滞納対策課」を新設し、対応を強化しています。
滞納対策課の担当者は「外国人については、自分の国で医療保険の制度がなく、日本の国民健康保険について理解できていない人も多い。日本人も外国人も同様に、支払いの必要性を伝えて収納率を上げていきたい」と話しています。
外国人の医療費は全体の1.39%
では、国民健康保険の全体に占める外国人の割合は。
厚生労働省によると、国民健康保険の被保険者のうち、外国人はおよそ97万人(2023年度)で、日本人も含めた全体のおよそ2378万人に占める割合は4.0%です。
国民健康保険の医療費は、日本人を含めた全体がおよそ8兆9268億円(2023年3月~24年2月の診療分)。
このうち、外国人の医療費は1.39%にあたるおよそ1240億円でした。
外国人の被保険者は20代と30代の若い世代が半数以上で、医療機関を受診する人が少ないため、医療費全体に占める外国人の割合が低くなっているとみられます。
専門家 ”制度全体を見て議論を”
医療制度に詳しい一橋大学の高久玲音教授は、次のように指摘しています。
高久教授
「社会保険料が上がる中で、ある種のスケープゴートとして外国人の医療費が非常に高いんじゃないかという議論が起こってきていると思います。未納にしっかり対処するのはもちろん必要ですが、医療費に占める外国人の割合はわずかで、外国人への給付をなくしたとしても、日本国民全体の保険料を抑えられるという話ではありません」
そのうえで、制度の全体像を見た上で正確なデータに基づいて議論を深めていくべきだと指摘します。
高久教授
「外国人にどれだけの医療費が使われているか、ほとんどの国民はあまり知らないのではないでしょうか。知らない中で話すと自分の思い込みによって、過大に数字が評価されてしまう可能性もあると思うので、政府が正確な情報を素早く開示することが非常に求められる分野だと考えています」
こども家庭庁「7兆円予算」の大半は…
さらに、「こども家庭庁」の予算に関する情報も広がっています。
「解体すれば新生児1人に1000万円ずつ配れる」とする情報で、Xでは500万回以上閲覧されている投稿もありました。
こども家庭庁の予算は7兆円余りあり、新生児の数およそ70万人で単純に割ると1000万円になりますが、そのようなことが可能なのか。
こども家庭庁によると、2025年度の予算額は7兆3000億円で、内訳は以下の通りです。
▽保育所や放課後児童クラブの運営費などが2兆4600億円
▽18歳までの子どもに配られる児童手当が2兆1700億円
▽育児休業などの給付金が1兆600億円
▽児童虐待や障害児、ひとり親家庭の支援に8500億円
▽大学などの授業料減免や給付型奨学金に6500億円
▽妊婦への10万円給付に800億円
▽管理費や調査研究に600億円
保育園、児童手当や育児休業の給付金、授業料減免や奨学金などの関連費用が予算の大半を占めていて、「解体」できるような性質のものではありません。
こども家庭庁も「こどもや若者、それをサポートする方々のため、質の高い施策に取り組むための予算だ」としています。
こども家庭庁「ほとんどが外部委託で中抜き」は「事実誤認」
また、「7兆円のほとんどが外部委託で中抜きされている」とする投稿も広がっています。
これについては、こども家庭庁から外部に委託される事業の費用「委託費の割合は0.06%と全省庁の中でも最小」だとしており、こども家庭庁の担当者は、広がっている投稿の内容は「事実誤認だ」と否定しています。
こども家庭庁は公式の「note」で詳しい予算の情報を掲載し、「引き続き丁寧に説明をさせていただきたい」としています。
関連する投稿は増加傾向に
こうした政府の予算に関する投稿について、NHKが分析したところ、Xでは「外国人優遇」に関する投稿が増加傾向にあり、リポストを含めて、去年だけで120万件だったものが、ことしはすでに130万件を超えています。
また、「こども家庭庁解体」に関する投稿も去年末ごろから急増し、ことしだけで110万件を超えています。
拡散されている投稿をどのようなアカウントが発信しているのか分析すると、
▽ふだんからロシアを支援する立場の情報を発信していたり
▽移民に反対する投稿を繰り返したりしている
匿名インフルエンサーやまとめサイトが多くなっていました。
また、一部の政治家による発信も上位を占めていました。
同様の投稿は、Xだけでなく、スレッズやインスタグラム、YouTube、TikTokなどでもみられています。
情報の“調べ方”に注意
ネットで広がる言説に詳しい成蹊大学の伊藤昌亮教授は、社会の分断が可視化されているとも見ています。
伊藤教授
「いま、生活苦があるなかで、自分たちが社会のなかで大事にされていないと感じる人たちが、これまでにないくらい増えています。税金や社会保険が何に使われているのかということに、ものすごくセンシティブになっていて、これまで再分配で助けようとされてきた社会的弱者に対する反発が生まれているのではないでしょうか」
「誰が誰を助けるのか、どう再分配すればいいのか、どうやって人々が共生していくのかという本来的な問題も議論されにくくなってしまう。合意が取りにくくなり、社会的にはどんどん分裂し、後退してしまう危険があります」
こうした中で伊藤教授は、SNSで拡散される際には、一部の事例や誇張したデータをもとにした主張が拡散しやすくなっているとも指摘します。
さまざまな情報の中から、自分の主張に合う数値や一部の事実だけを引用し、ほかの事実を無視する行為は、サクランボの中から熟したものを選ぶことにたとえて、「チェリーピッキング」と呼ばれます。
伊藤教授
「恣意的につまみ取られたエビデンスをつなげて、自分たちの意見を作っていくということがなされています。最初から解釈の道筋を決めて、そこにデータを合わせてくるようなことがなされています」
「一方でこれまでも、いわゆる言論人とか知識人、ジャーナリズムも含めて、どちらかというと数字よりも自分たちの意見を言ってきていて、根拠は何なのかみたいなことをあまり語ってこなかった部分もある。メディアも含め、情報との付き合い方を総合的に見ていく必要があると思います」
「加えて、SNSでは能動的に調べているように思えても実は誘導されていて、よりはまり込んでしまうということがあります。感情的な判断をせず、自分が触れている情報がどこに位置しているのかを見極めることが肝心で、わからないという気持ちも大切にしながら、情報との付き合い方を考えることが大切なのではないでしょうか」
(機動展開プロジェクト・籏智広太、経済部・岡谷宏基)
【配信はこちら】外国人優遇?実態は
サタデーウオッチ9「デジボリ」
伊原弘将アナウンサーがプレゼン解説
サタデーウオッチ9「デジボリ」(6月28日)
配信期限:7月5日(土)午後10時まで
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(02:38)
この記事へのコメント
1. Posted by 秋本敏雄 2025年07月03日 16:56
スマホでの見やすさを優先しました?
こども家庭庁「ほとんどが外部委託で中抜き」は「事実誤認」ネタも某表現の自由議員によると
2025年1月以降は、こども家庭庁がNPOや広告代理店などに委託した事業について、発注金額・入札方法・随意契約の有無・応募者数・落札者・再委託・多重下請けの実態・選定基準など、全件を報告させ、1件ずつ精査を進めています。狭義の広告代理店への発注は把握しているだけも約12億円と巨額です。これらもしっかりと精査する必要があります。
また、今回の調査で2次3次と多重下請けの構造が常態化していることも分かり、新たな規制の必要性も訴えています。
https://x.com/yamadataro_CF/status/1939967520041062868
こども家庭庁「ほとんどが外部委託で中抜き」は「事実誤認」ネタも某表現の自由議員によると
2025年1月以降は、こども家庭庁がNPOや広告代理店などに委託した事業について、発注金額・入札方法・随意契約の有無・応募者数・落札者・再委託・多重下請けの実態・選定基準など、全件を報告させ、1件ずつ精査を進めています。狭義の広告代理店への発注は把握しているだけも約12億円と巨額です。これらもしっかりと精査する必要があります。
また、今回の調査で2次3次と多重下請けの構造が常態化していることも分かり、新たな規制の必要性も訴えています。
https://x.com/yamadataro_CF/status/1939967520041062868
2. Posted by ブログ主 2025年07月06日 01:39
>>1
ブログの背景色が白だとXからの引用画像と色がほぼ同じなので、記事本文と画像の区別が付きにくいなぁと感じていまして。
なので背景にうっすら色が付いてる設定に変更してみました。
しかしPCモードだと効果がある様ですが、スマホモードだと画面左右に色が付くだけであまり意味がなかったよーな。
ブログの背景色が白だとXからの引用画像と色がほぼ同じなので、記事本文と画像の区別が付きにくいなぁと感じていまして。
なので背景にうっすら色が付いてる設定に変更してみました。
しかしPCモードだと効果がある様ですが、スマホモードだと画面左右に色が付くだけであまり意味がなかったよーな。