言論プラットフォーム『アゴラ』というサイトがありまして、ココは妙にウヨい言説を大量生産しています。

例えば当ブログで以前に取り上げた↓コレもアゴラに載ってたやつ。


《ネトウヨさん「日本学術会議が税金で赤旗を購入してる、許せん!」←は?》
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/17622101.html


あと↓ココで取り上げた右寄りファクトチェック系ブログ『事実を整える』ですが…


《右寄りファクトチェック系ブログ『事実を整える』、ウヨちゃんの望むカタチに事実を整形し放題》
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/26745951.html


あそこに載ってる記事は何故か大量に『アゴラ』に転載。


そのアゴラを作ったのが池田信夫です。


Wikipedia『池田信夫』の小見出し「主張」には↓こうあります。

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橋下徹が消費税の地方税化を訴えていることに関して「冗談でなければ無知としか思えない」などとする批判記事を掲載したところ、逆に橋下から「池田信夫はモノ知りレベルで官僚機構の課長レベル。この程度なら次長、部長、局長は無理で、何よりも細かな知識を述べるだけで事の本質を突いていない。これは行政をやったことがないから」と批判を受けた[8]。2012年5月、橋下が大飯原発の再稼動を容認したため、「君子豹変す」と橋下に対する評価を改め、同年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙の投開票を目前に控えたツイートでは、独自に算定した「IQ」値による各政党トップのランク付けを発表し、橋下を第一位にした[9]。
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「反原発はすべてバカである。これほど便利な目印はない」とし、原子力発電に反対する人は「全て馬鹿」と結論づけている。また企業への就職の面接の篩に使えると主張している[25]。

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地球温暖化については地球温暖化懐疑論を唱えており、また民主党の二酸化炭素25%削減政策をポピュリズムと呼んで批判している[30]。

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人は生まれながらにして基本的人権を持つという考え方は「根拠のない迷信」と述べている[31]。

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偏った意見をやたら強い言葉で主張する人だなぁ…。

また同じくWikipediaによれば著書には
◉『朝日新聞 世紀の大誤報 慰安婦問題の深層』
◉『戦後リベラルの終焉 なぜ左翼は社会を変えられなかったのか』

などがあり、特に
『原発「危険神話」の崩壊』
という本は、このタイトルなのに東日本大震災から1年経たない2012年2月発売。ナイス度胸。



あと『新!脱「愛国カルト」のススメ』でもつい最近池田信夫批判記事が。


【新!脱「愛国カルト」のススメ】
『【差別デマ】「生活保護世帯には保険証の使いまわしが多い。彼らは日共の集票基盤」はデマである【池田信夫】』
https://stopaikokucult.blog.jp/archives/1082078823.html




そんな池田信夫が↓こんな本出してましたー。



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タイトルからして『平和の遺伝子』、帯には「進化心理学や歴史学の最新の研究を用いて」とあります。
コレは私がチェックせねばー!


先にちょろりと巻末の「注」を見てみると、ソース元の文献がズラリ列挙されてます。
いずれ劣らぬ名作揃い。
あれ…?
意外とマトモなのか…?

しかしやけに専門的な用語を持ち出して進化論に詳しそうな雰囲気を醸しつつ、何か勘違いしてるのが池田信夫の持ち味。

という訳で、進化関係の話が集中する第1章を読んでみたのですが…
期待通りのトンデモー!


まず感じるのが文章のへたっぴさです。
例えば…

p.25
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その成果としてわかったのは、文化も進化すると言
いうことである。これは
文化が遺伝形質を変えるという意味ではない。遺伝的な突然変異はランダムに起こり、偶然それが環境に適応して遺伝形質が変化するのは一万年単位である。文化は一生の間にも大きく変化し、その影響は個体変異なので、これが遺伝形質を変える事はありえない。文化は遺伝形質の制約の中でしか変化できないのだ。
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↑コレ読みながら
「はぁ?
文化も遺伝子に影響を与えますけど?
文化と遺伝子は共進化するし。
ボールドウィン・ウォディントン効果をご存知ない?
乳糖耐性の獲得は?」

などと突っ込んでたのですが…

池田信夫はこれらを知らない訳ではなく、後々自分でちゃんと触れてます。
なら先に書いとけよ、文章ド下手か?

例えて言うなら、
「タラバガニというカニがいる。
鱈の漁場にいるのでタラバガニというらしい。
美味しいカニである」

とか延々と書いてあるので
「はぁ? タラバガニはカニじゃなくてヤドカリの仲間ですけど?
そんなことも知らんのかコイツ」

と思ってたら、3ページ先にそのことが書いてある、みたいなコト。
そんなん最初に
「タラバガニはカニの様な見た目だが、実はヤドカリの仲間である」
とか書いときゃええやん…

とかくこの手の悪文・構成のへたっぴさが多く、読みにくい。
あとおよそ生物畑の人なら使わないであろう表現が多く、正確なんだか不正確なんだか判断しづらいのも読みにくさの一因。


では読みにくいだけで内容的にはちゃんとしてるのかというと…
第1章が始まってからわずか半ページのトコに↓こんなトンデモが。


p.25
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だが結果的には、キリンが目的をもって首を伸ばしたように見える。ランダムな突然変異で、首があれほど長くなるとは考えにくい。それは時計のバラバラの部品から偶然、時計ができるほど確率の低い事象である。これは遺伝的な進化では、いまだに解けない謎だが、文化の進化では答えは明らかだ。親は子供に自分と同じ行動をさせるという目的を持っているので、文化はラマルク的に進化するのだ。そのスピードは、遺伝的な進化よりはるかに早い。
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うわぁ…
いきなり総合説を否定かよ、さすがトンデモさんだな
現代進化論の根幹やぞ。
こんなん、航空力学の本の1ページ目に
「大体、空気より重いモンが飛ぶ筈ないし」
とか大真面目に書いてある様なもんやで?

適応的な進化はランダムな突然変異だけで起きる訳ではなく、必然的な形質の保存とセットで起きるものです。
頼むからドーキンスの『盲目の時計職人』くらい読んで下さい…

ところが池田信夫は他のトコでは割とまともな説明もしていたり。
なんでこんな奇妙なコトに?
と思ったのですが…

実はコレ、「物知りお爺ちゃん構文」なんですよね。
読書家で物知りなお爺ちゃんって町内に1人くらいいるじゃないですか。
そういう人はいろんな分野の断片的・トリビア的な知識を文脈無視で身に付けているため、しばしばトンデモが混入してるのです。
読書家のお爺ちゃんが知識を一所懸命ツギハギしてるので、例えば歴史について博学な一面を披露したかと思えば、いきなり
「知ってたか? 義経は大陸に渡ってジンギスカンになったんだぞ」
とか言い出したりする。

それ。
池田信夫がやってるのはそれ。
そら橋下徹にも『物知りレベル』言われますわ。
普通はその分野の常識に従って、「あ、コレはトンデモだな」などと自分で仕分けをして、おかしな知識の流入を防ぐものなんですけどね。


ちなみに
「ランダムな突然変異で適応的な進化を説明するのは、バラバラの機械が偶然の力で組み立てられる様なものである」
といった言説の誤りについては以下のエントリを参照。


『パンスペルミア説に群がる人々』
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/9352753.html



↑このエントリは当ブログごく初期のものですが謎に人気があり、今でもわざわざ検索して読みに来て下さる方がちょこちょこいます。


そんな池田信夫の「物知りお爺ちゃん構文」は他の面でも遺憾なく発揮されています。

池田信夫、何故か猿disが酷い
少しでも生物かじった人なら霊長類、わけても類人猿を舐めプしたりはしないもの。
ヒトが自分たちだけの固有の能力だと思い込んでるモノって、大抵は萌芽的な形で類人猿も持ってたりするので〜。
ところが池田信夫は本書でこう書いてます。


​p.27
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他人の行動を学習する能力はごく一部の類人猿にしかなく、人間の記憶能力は霊長類の中で最大である。
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​p.27
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他人を信じる能力は、人間に固有の遺伝形質で、子供が親の行動をまねて身に付ける能力は類人猿には見られない
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え、他者の行動を模倣、なんて類人猿でなくても普通にあると思いますけど。
幸島のニホンザルとか知らないんですかね?
芋を海水で洗う行動を模倣することで有名ですけど。
まぁそこから「100匹目の猿」というトンデモ伝説が生まれたりもしましたが、それはまた別の話。


​p.28
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人間は常に他人と話していないと落ち着かない。おしゃべりのほとんどは他人の噂で、実用的な意味はないが、互いに同じ人を知っていることを確認している。これは類人猿の毛づくろい(グルーミング)とよく似ている。
 猿は起きている時間の二〇%近くを毛づくろいに費やす。これ自体は無意味な行動​​だが、自分の弱点である背中を他の個体に見せて仲間だと言うことを示し、集団への帰属を確認しているのだ。
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いや、毛づくろいには「外部寄生虫を除去する」というめちゃめちゃ大事な役割があるやろ…生存率に響きまくり。
背中とかは自分ではできないけど、仲間と相互に行えば双方お得。
ここに互恵的利他主義が進化するルートが開けるんやないのー!
あまり好きな言葉ではありませんが、Win-Winというやつ。

ちなみに保険のおばちゃんが勧誘に来た時、
「でも保険は保険会社が儲かる様に出来てますやん」
と言ったら、
「そこはWin-Winで」
と返されて驚愕。
保険は片方が得すれば片方が損するゼロサムゲームなので、Win-Winは絶対ねーよ


あとついでに言えば、ヒトの噂も実用的な意味はあります。
部族内で誰がどんな行動をしたか、どこに抗争の火種があるのか、どの派閥に付くべきか…といった情報を得る方法は、かつてのサバンナでは噂話しかありませんでした。
今でもそれらは社内やママ友サークル内などでの重要な情報源ですよね。


​p.31
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ゴリラやチンパンジーは群れを作らず、絶えず争っている。個体が自分で戦って生きる能力を持っているので、他の個体と協力する必要がないからだ。
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ゴリラは一頭の雄と多数の雌がハーレムを形成して集団生活してます。
チンパンジーも群を作り、他個体と共同して隣の群に戦争を仕掛けたりしますけど。


​p.31
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狩猟技術は、遺伝的なものではないので、現代人は忘れているが、霊長類の中では人類だけが持つ特技だった。
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チンパンジーは共同でアカコロブス等の狩猟を行いますが?


​p.32
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チンパンジーに原始的な言語を教えると命令は聞くが、他の個体の気持ちを推測することはできない。親と子を結びつけるのは遺伝子を共有する血縁度だから、親が子を守るために「利他的」に行動する事はあるが、家族を超えて協力することは無い
 それは類人猿には「心の理論」(theory of mind)が欠けているからだ。
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心の理論、類人猿にもあるやろ…。
Wikipedia『心の理論』にも↓こうあります。

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心の理論(こころのりろん、英: Theory of Mind, ToM)は、ヒトや類人猿などが、他者の心の状態、目的、意図、知識、信念、志向、疑念、推測などを推測する直観による心の機能のことである[1]。
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また小見出し「動物における心の理論」は↓こう。

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他個体の行動に合わせて自分の行動を変えることや、他個体を操作することを示唆する証拠が霊長類を含む多くの動物で見られる。例えば霊長類学者リチャード・バーンは、下位のチンパンジーが餌を発見した際、上位のチンパンジーに餌を横取りされないように、餌から目をそらして、通り過ぎるのを待つ、という「欺き行動」が見られたことを報告している。ただし、「心の理論」を最初に提案したデイヴィッド・プレマックは論文「チンパンジーは心の理論を持つか?再考」('Does the chimpanzee have a theory of mind' revisited)において、人間以外の霊長類が「心の理論」を持つことを示す証拠は未だ乏しいことを認め、チンパンジーは多くの点で限定的な「心の理論」しか持たないとしている
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…つまり最も懐疑的な学者でさえ、「チンパンジーは心の理論を全く持っていない」とは考えてないやん。


​p.34
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人間と似た集団レベルの競争は、社会性昆虫のコロニーには見られるが、類人猿は集団で戦う事はほとんどない。強い敵からは逃げればいいからだ。
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だからチンプは戦争するって。


​p.34
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類人猿は他の個体に命令できるが、協力できないので巣が作れない
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チンパンジーの協力については研究が進んでいます。
例えば↓ココ参照。


【J-Stage】
『チンパンジーの協力行動』

https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj/25/2/25_2_55/_pdf/-char/ja


あとチンパンジーはほぼ毎日、寝床を単独で作ってます。
自力で作れるので特に協力の必要はなく。
この寝床は気持ちよく、それをヒントに開発されたベッドも市販されてたり。


【IWATA KYOTO】
『チンパンジーのベッドをヒントに作られた人類進化ベッド』

https://www.iozon.co.jp/jinruishinkabed


↑たっか…!
でもめちゃ気持ち良さげ。


…という訳で池田信夫、サルをみくびりすぎ。
「我々は特別なのだ」というウヨちゃん特有のエスノセントリズム(自民族優越主義)が種の壁を超えて発揮されとる。
やたらと猿を不必要に見下してますが…猿に親でも殺されたんか?
ちなみに橋本琴絵は完全にネアンデルタール人に親を殺されてるよね。


『あまりにアレな橋本琴絵』
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/9991922.html



猿dis以外にもトンデモ部分はいろいろあります。
例えば…


p.29
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子供は親の遺伝子を1/2持っているので、親が自分を犠牲にして、二人以上の子供を救うと、失われる遺伝子より多い遺伝子を残せる。社会性昆虫では、働きには生殖能力がないが、女王の生殖を助ける。ここでは働きは、自分と半分遺伝子を共有する女王蜂に子を生ませることで、遺伝子を増やしているのだ。
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社会性昆虫は蜂だけちゃうやろ…シロアリは無視ですか?
あと蜂の多くは半倍数性という特殊な性決定システムを持っていて、働き蜂と女王蜂は『半分遺伝子を共有する』​どころか共有率は3/4に達します。
コレは「ちょっとした例外に過ぎず、たまたま池田信夫が言及し忘れただけ」とかで片付くものではありません。
この遺伝子共有率の高さが「働き蜂は自分の子孫を残さないのにコロニーのために奉仕する」という利他行動の進化を促しており、ココはめちゃくちゃ重要かつ基本中の基本。
ソコを間違うとかありえへんで…!



p.35
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 これは遺伝的な進化と似ているが、メカニズムは全く違う。DNAのゲノムは固定されたハードウェアだから、突然変異はランダムであり、環境が変化したとき、それに適応できない個体が淘汰されるという形でしか遺伝的な進化は起こらない。これには長い時間がかかり、急激な環境変化があると種が絶滅してしまう。それに対して、人類は大きな脳が発達し、文化や言語を長期記憶にソフトウェアとして記憶できる。
 文化は肉体より変化の幅が広く、突然変異とは違って目的を持つので、
進化はランダムではない。たとえば人間の手で動物を殺すことはできないが、石器を使えば可能になる。このような技術は子供に教えることができるので、文化的進化は蓄積できる。このように文化の進化は目的をもつため、スピードは遺伝子よりはるかに早い。これが人類が短期間に驚異的に繁殖した最大の原因である。
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ゲノムは進化的なタイムスケールで見ればどんどん変化していくものですよ?
ゲノムは通常、書き換わっていくソフトウェアと見做され、ハードウェアと捉える人はあんまおらんやろ…。
例えば『ゲノム編集』という言葉にもソレが表れてますよね。

あとやはり『突然変異はランダム』という点を妙に強調したり、(遺伝的な進化と違って、文化的な)『進化はランダムではない』と述べたり、自然選択を誤解してる感。

​あと『文化の進化は目的をもつため、スピードは遺伝子よりはるかに早い』​とありますが…。
まぁ速いのは確かなのですが、『目的をもつため』かどうかはちょっと。
文化的なアイデア(ミーム)も結局、「脳内に様々なバージョン違いのアイデアを並べてシミュレートし、上手く行きそうなやつを採用してる」ので、自然選択の「突然変異と保存」と仕組みは同じだという意見もあります。

そもそもこの人、進化論における「目的」という言葉の使い方━━テレオロジー(目的論)的なソレではなく、テレオノミー(適応の科学)的な意味━━を理解してるかめちゃ怪しいんですけど。



p.37
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進化は保守的なので、ほとんどの突然変異は淘汰され、普通は特定の器官が一方的に巨大になる進化は起こらない。ところが動物の脳の大きさは過去四億年で一〇〇倍になり、しかも脳の大きい動物ほど繁殖している。そこには脳を一方的に大きくするフィードバック・ループがあった。
脳の巨大化に目的はなかった
が、結果的には長期記憶の容量が大きくなり、文化を共有できるようになった。
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『動物の脳の大きさは過去四億年で一〇〇倍になり、しかも脳の大きい動物ほど繁殖している』
は違うやろ。
大きな脳を持つ動物では100倍になったかもしれませんが、今なお動物の大半は脳自体を持っていないか、ごく小さな脳しか持ってません。
脳の大きい動物はおおむね生態的地位が高く(つまり生物ピラミッドの上方に位置していて)、環境が許容する個体数はごく少ない上、少産少死の傾向にあります。
なので特に『脳の大きい動物ほど繁殖している』ということはなさげ。

現在を「脳が大きい動物の時代」だと考えるのは、実にウヨちゃんらしいハイパー化したエスノセントリズム(自民族優越主義)ですね。

動物界全体から見れば、巨大な脳を持つ動物なんて種数でも個体数でもごくごく一部に過ぎません。
我々が我々に似たサイズや形(ボディ・プラン)の動物にばかり目を向けるから、そう感じないだけです。
例えば動物園で飼育されている動物の大半は脊椎動物ですが、確認されている動物137万種に対して、確認されている脊椎動物は7万種もいません。
およそ5%に過ぎひんがな。


という訳で池田信夫流の進化論、もうめちゃくちゃです。
しかしここまでは単に進化論をちゃんと理解してないだけ
ココからウヨい思想を進化論で正当化しようとして失敗するという、ものすごカッコ悪いムーブに出はります。
…が、もう既に充分長くなったので皆さんもお疲れでしょう。私も疲れましたー。

という訳で本日はここまで〜。
この続きはまた明日、という紙芝居システム。
水飴買わない子は見るんじゃないよ!(昭和中期)