『陰謀脳: 私たちが真実から目をそむける理由』
という本を読みましたー。

(※書影は本書より引用)
もっそい面白かったです!
しかし翻訳がもごっそ荒い。ゴリゴリの鬼おろし。
もごっそ超えてえげっちょ悪いと言っても過言ではなさげっちょ。
「機械翻訳をちょちょっと整えた程度」と覚悟しておいた方が良さげっちょ。
しかしフィンランド語からの翻訳っぽいので、邦訳が出るだけでありがたい。
著者はユッカ・ハッキネン…何だか速そうな名前(小並感)。
この人は実験心理学系の人らしく、内容的には
◉様々な心理学実験の紹介
◉陰謀論に対する進化心理学的な説明
◉世界のおもしろ陰謀論
をバランス良く組み合わせて話が進んでいきます。
という訳で今回は本書に載ってる世界のおもしろ陰謀論をご紹介。
◉「ジョン・レノンを殺したのはスティーヴン・キング。
計画にはニクソンとレーガンも加わってた」
という陰謀論がある
…やっぱビッグな人物が亡くなると
「コレがただの死である筈がない、そこには何か深い理由がないと」
ってなるんやなぁ…
そもそも「陰謀論」(conspiracy theory)という言葉が使われ出したのはケネディ暗殺からだし。
日本でも聖帝ロスから「スナイパー小屋ガー!」言うてる人いるでしょ?
◉90年代にニューヨークで
「あるソフトドリンクメーカーがKKKと共謀し、製品に黒人男性の生殖能力を低下させる物質を入れてる」
という陰謀論が流行。
このドリンクの売り上げが落ち、市長がTVでこのドリンクを飲んで安全宣言
ちなみに日本でも昭和期から「コーラを飲むとインポになる」「メンソールの煙草を吸うとインポになる」などの都市伝説があり、清涼感とインポテンツを結びつけたくなる何かがあるのか、みたいなコトを昔、唐沢商会(先日死去したネトウヨおじさん・唐沢俊一と唐沢なをきの兄弟コンビ)が言ってましたー。
不仲になる前。
◉インドネシアで
「ポケモンGOの目的はイスラム嘲笑とユダヤ賞賛。『ポケモン』とは古代言語で『私はユダヤ人です』、『チャーマンダー』(ヒトカゲ)は『神は弱い』という意味」
という陰謀論が広まる
ポケGOはともかく、『ポケモン』というタイトルは日本発なんですが。
『私はユダヤ人です』という意味の古代言語をタイトルに付けたのは日本人…!
こらぁ日ユ同祖論が捗るで!
ちなみに「ポケットモンスター」だとエロい意味があるので、海外ではあくまで「ポケモン」。
なので「タイトルに変な意味がある」という点では間違ってないのですが…
意味を込めた訳ではなく、図らずも意味があっただけ〜。
◉「P&Gのロゴには『666』という悪魔の数字が書かれている」
という陰謀論が。
82年にはP&Gに悪魔崇拝関連の手紙が1日500通届く事態に。
結局、ロゴが変更される

(※画像は https://www.corporate-eye.com/main/the-procter-gamble-logo-then-and-now/ より引用)
陰謀論者ってこういうの好きよね〜…
仮にP&Gが悪魔崇拝してるとして、じゃあ正体がバレない様にしなくちゃなんないのに、なんでわざわざ自社のロゴに悪魔の数字を忍ばせてヒント出すんよ?
◉陰謀論者アレックス・ジョーンズによれば、
「現実は12次元のホログラム」
「イルミナティは世界を支配するためにトカゲ人間と同盟を結んでいる。オバマ、バイデン、ヒラリーはトカゲ人間」
高次元宇宙とかホログラフィック原理とか自体は科学的な仮説としてちゃんとあるのですが…
もちろんアレックス・ジョーンズは理解してなさげ。
科学からソレっぽい用語をパチるのはトンデモさんあるある〜。
「次元」はその常連さん。
他には「波動」とか「量子(クォンタム)」とか。
◉エジプトでピラミッドと光を組み合わせてショーアップしたコンサートが企画されるも、陰謀論者デビッド・アイクらが
「これイルミナティのシンボルやん」
と言い出し、文化省がイベントを中止に。
「悪魔の力の儀式やろ」
「フリーメーソンの悪魔的儀式で太陽フレアを起こして地球を破壊、トカゲ人間の天下にする気や」
とか言われる
ナチス・ドイツは
「医学はドイツ人の健康を弱体化させるユダヤ人の陰謀。ワクチンは頭蓋骨の形を変え、骨格を狭く小さくし、扁平足を引き起こす」
とか主張してた
ええ〜…「我がドイツの医学薬学は世界一ィィィィーーーーッ」思てたんとちゃうんか…
◉新聞社に送りつけられた手紙120年分10万通を精査したところ、900通近くの陰謀論が。
陰謀論に関する投書は19世紀後半から連綿と続き、225の組織やグループが陰謀を行なってるとされた。
その中にはサッカリン反対活動家、精神科医、市の職員、教師、配管工、作家、ジャガイモ会社、平和主義者も。

(※画像は同書より引用)
今でも見かけるパターンのやつがいっぱい。
19世紀「大統領選で選挙結果が盗まれたぞ!」
21世紀「大統領選で選挙結果が盗まれたぞ!」
やってること一緒〜!
進歩しないな人類。
一見すると目新しい陰謀論も、こういう古いネタの化粧だけ直して再登場、ということはよくあります。
復活怪人大集合。
◉ある陰謀論者は、自分が信用されないなら「小惑星よ、この邪悪な人種を滅ぼせ!」の看板を掲げると宣言
【欧州原子核研究機構(CERN)関係』
◉CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が「ブラックホールを生み出す」「地球を異物質に変える」可能性があるとして訴訟に
◉さらに
「CERNのロゴに『666』と書いてある」
という主張も。
実際は粒子加速器とジェットをデザイン化したもの。

(※画像は https://en.m.wikipedia.org/wiki/CERN より引用)
また悪魔の数字か…
◉さらにさらに、CERNが開発したワールド・ワイド・ウェブについて
「『W』はヘブライ語で数字の6。
つまり『WWW』は『666』で悪魔の数字だ」
と話が発展
「獣の数字666」が記述されてるのは新約聖書の『ヨハネの黙示録』。
コイツはだいぶ後から正典に編入されましたが、元々は外典扱いが関の山のトンデモ本。
なんか気まずい薬物でもキメてたんか? というラリパッパな内容で知られてます。
ソレはソレとしても、ギリシャ語で書かれた『ヨハネの黙示録』に登場する「獣の数字」を、何で旧約聖書時代よろしくヘブライ語で忍ばせるねん。
【マンデラ効果関係】
◉あるブロガーが
「作家Berensteinの綴りはBerenstainだった筈。
いつの間にか世界が変化してる!」
と言い出す。
◉さらに2013年にネルソン・マンデラが死去した時、作家フィオナ・ブルームが
「あれ? マンデラって20年くらい前に獄死してなかったっけ?
もしかして2つの世界線が混じってる…?」
となってコレを『マンデラ効果』と命名。
◉「他にもあるで、昔は南米はもっと東にあったし、心臓はもっと左にあった、ヒトラーの目は茶色かったのが青に変わった! これ全部マンデラ効果や」
…心臓は「ほぼ中央、やや左」という微妙な位置にあるため、「左胸やで」とか「中央やで」とか人によって表現が違います。
まぁ地球だって「球体」とも「洋梨型」とも言えますが、どっちも間違ってませんよね。
ソレみたいなもんで、別に矛盾はしてないのです。
あと肺動脈だけ受け持つ右心系より、全身に血液を送る左心系の方が鼓動が目立つので、昔は「左」が強調されがちでした。
「マンデラ効果で心臓や南米の位置が変わる」というのは、よく考えると無茶苦茶な気が。
臓器はパズルの様に収まってるので、心臓がズレたら他の臓器の位置もズレるよね。
マンデラ効果って「別の世界線から来た人がいる」っちゅーモンやんな?
「内臓の位置がズレまくってる世界線から来た人」ってコレもう別の進化を遂げた人らやろ。
そんな人たちが普通に会話したり交配できたり出来るモンなんすか?
南米の位置もそう。
「南米の位置が違う世界線」って何億年も前にこの世界と分岐したってコトになるやん。
めちょっぱ小さな違いでも、バタフライ効果によってもがっさ大きくなっていくのに、何億年も前から大陸の位置がズレた状態の世界線って…
もう人類が存在するかどうかも怪しいレベル。
マンデラ効果についてのあれやこれやどげらもげらについては以下のエントリを参照。
《「正しいのは俺、間違ってるのは世界の方!」傲慢な陰謀論『マンデラ・エフェクト』》
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/10239865.html
《『マンデラ・エフェクト』の論理に従うと…》
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/10239874.html
◉陰謀論者が
「マンデラ効果はCERNの仕業や!」
と言い出す。
「根拠はCERNがYouTubeに上げた動画や。
動画ではCERN職員が踊りたくったり笑顔で映ってたけど、その1人が首に『Bond#1』『Mandela』と書かれた段ボールを下げてたんや。
ジェームズ・ボンドを演じた役者にはベリー・ネルソンがいる。
つまりCERNは『ネルソン』『マンデラ』というメッセージを送ってるんや!
それに動画に写ってるゲーム画面には『4664』という点数が表示されてたで。
マンデラの囚人番号は466、投獄された年は64年…これで決まりや!」
…うん、何言ってんのかビタイチわからん。
◉「CERNの目的は地獄へのポータルを開き、悪魔か異教の神を呼び寄せること。
多分、インドの破壊神シヴァかCERNの名を冠するケルトの神ケルヌンノス(Cernunnos)やろなぁ…」
科学ってそういうオカルトの対極にあるって分かってる?
◉PCR法の開発者、マリス博士はノーベル賞を受賞(やや重言)するも、あらゆる分野の専門家になっちゃう、という「ノーベル病」を発症。
「気候変動、オゾン層の破壊、エイズとHIVの関連は捏造」と言い出す。
オゾン層の欺瞞を数行で否定し、
「基本的な物理学や数千ドルの装置で偽りを証明できる」
と主張。
そんなマリス博士ですが、ある日「山小屋で光り輝くアライグマに話しかけられる」というアレな経験をしてからというもの、「宇宙人やぁ!」とビビって森を恐れる様に。
しかしライフルを持ち歩き、潜む影に向かって撃ちまくった結果、宇宙人は出てこなくなった模様。
マリス博士のご尊顔。

(※画像は https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_column141231&doorSlug=dr より引用)
ちなみにマリス博士は日本国際賞の授賞式で来日。 美智子妃に「かわいこちゃん」(sweety)と話しかけたりしてます。 粉屋の娘に粉かけとる。 私なみに皇室への敬意が欠けてますね。
まぁノーベル賞受賞時の晩餐会でもスウェーデン国王の長女がスキャンダル起こしたのをイジり、国王に
「お相手にうちの息子なんかどないでっか?
代わりに領土の1/3くれたらよろしおまっせ」
とか言っちゃう人だしなぁ…。
…といった話や本書で取り上げられた素敵エピソードの数々は↓こちらに載っています。

(※書影は当該書籍より引用)
【ヒトは合理化しようとして妙なコトを信じちゃうよの話】
◉1954年、ミシガン州の主婦キーチが
「いついつに世界が滅ぶが、我々の教団だけは宇宙人が迎えに来てくれて助かる」
みたいな終末予言をしちゃったけど、もちろん何も起こらなかった。
しかし
「あなた方の信仰心のおかげで破滅は回避されました♡」
とかテキトーにフカふかしたところ、信者は大喜び。
結局何も起きなかったのに何故か大成功扱いとなる。
…この人らチョロすぎひん?
◉1976年にはカナダの『応用形而上学研究所』なる団体のバートンが同様の予言を行う。
これまた何も起きなかったが、多くの信者は心の中でUFO着陸を体験(意味不明)。
ただし、信者の半分はアホらしくなって去った。
なお、残った信者は全財産を差し出し、男性はパイプカット手術を受け、割り当てられた「陰陽パートナー」と結婚、親や親戚とは絶縁するのが掟。
「UFO来るはず」
というテーゼと、
「現実に来てないじゃん」
というアンチテーゼ。
ソレを両立させるための斜め上の発想が
「ちゃんと来たよ、心の中にね…♡」
という解釈な訳ですね。
最悪のアウフヘーベン。
…そして「陰陽パートナー」って何だろう。
人生で初めて接する言葉なんですが。
こういうUFOカルトってすぐに「世界が終わる」という終末論にはしるよね。
そして「自分たちだけは救われる」という選民思想。
この辺はキリスト教終末論の「ラプチャー」(空中携挙)の影響が見られます。
コレはキリスト再臨の際、クリスチャンがいきなり空中に引き上げられて神と会う、というビッグイベント。
やっぱ目新しいようで実は焼きなおし。
UFOや宇宙人自体が割とそうで、例えば宇宙人のことを「リトル・グリーン・メン」と呼んだりしますが…小っちゃい緑色の変なやつ、ってソレは昔からある妖精さんのイメージやろ。
実際、第三種接近遭遇の事例には
「宇宙人からパンを貰ったが、そのパンには塩気がなかった」
という奇妙なやつがあるのですが…
実はその地方には
「妖精の作るパンには塩が入ってない」
という伝承があったり。
この様に、オカルトや陰謀論には「伝説の語りなおし」としての側面があったりするのですね。
そしてこの手の、何も起きなかったのに信者が
「ホラ、ちゃんと起きたやろ?」(ドヤァ
する例はごく最近も起きてます。
◉2021年ダラスではQアノンが
「死んだ筈のジョン・F・ケネディ・ジュニアが、パパケネディが暗殺されたダラスに現れ、トランプを返り咲かせる」
と信じ、100名程がパパケネディ暗殺現場に集結。
彼らは
「ケネディ・ジュニアはQその人で、Qが現れると民主党の悪魔崇拝者たちは逮捕され、トランプがアメリカ指導者に永遠に就任、神王としての予言が成就する」
と勝手に予想。
わけても強火の信者に至っては、
「104歳になるパパケネディがジュニアと共に現れてトランプを大統領に任命する。
ダイアナ妃、マイケル・ジャクソン、ロビン・ウィリアムズも来るかも」
とか考えてた模様。
彼らは仕事や家族をうっちゃらかし、何ヶ月もダラスでダラダラ…当然、何も起きません。
しかし彼らは気付きます。
「あれ?
最近トランプさんの身長、縮んでね?
ていうかアレ、トランプさんじゃなくね?
うわぁ、よく見たらトランプさんだと思ってたの、実はケネディ・ジュニアやんけ!
思てた通り、復活しよったー!
こらぁケネディ・ジュニアが副大統領候補になるまであるで!」
…トランプ本人どこ行った?
こんな与太話、聞いてるだけで頭がキューっとなって前頭葉が乳酸発酵しそう!
コメント
コメント一覧 (8)
wsogmm
が
しました
↑トランプが連日似たようなことしてますね
凄いことやるぞ→やっぱや~めたてな感じで
wsogmm
が
しました
https://www.sankei.com/article/20250410-YVB6ML6KJVAG7K6M6GPSYM47DM/
青山 透子 (著)『日航123便墜落事件 隠された遺体』他
https://tenku123.hateblo.jp https://www.youtube.com/watch?v=8zkopptAWLA
「自衛隊が関与したなら関係者全員に箝口令が必要だが現実的に不可能」だから陰謀論で事故だったとは考えますね。
wsogmm
が
しました
反ユダヤ主義や背後の一突き、戦後日本が左翼や在日に支配されていたとする妄言、文化マルクス主義や文化共産主義、在日特権(これについては米軍特権が明確にありますが保守から批判の声が聞こえませんね)、ホモフォビアやゼノフォビアやイスラモフォビア、Qアノンやディープステート、アメリカやブラジルにおける不正選挙陰謀論と議会への襲撃事件、、弁護士への懲戒請求、暇空のデマ吐き、等と陰謀論は往々にして右側から来てますからね。
そして決まって、弱者やマイノリティが攻撃され弾圧されるのがパターンなんですよね。
やっぱり、右は洋の東西に関係なく毒物ですね。
wsogmm
が
しました