2024年10月08日
NHK朝の連続ドラマ『虎に翼』が無事に終了しましたね。
いや〜素晴らしい作品でした!
が、そのリベラルな内容にネトウヨさんはごまめの歯ぎしり。
6月にXでこんなポストを発見しました。

https://x.com/akasayiigaremus/status/1797931204043473184?s=46
『虎に翼』において、世論誘導が行われているとの主張。
親切にも動画付き。
早速確認してみると…
『このころ 戦前の民放を改正する作業が行われていました。
婚姻は双方の合意のみによって成立すること。
配偶者の選択や 離婚 財産の相続 住所の選定などに関しても 夫婦は同等の権利を持つことなど。
個人の尊厳と 両性の本質的平等を基本にして
多くの改正を施そうとしていたのです。』
…ん?
言うほど変か…?
ココって、尾野真知子によるナレーション部分ですよね?
別にヒロインの伊藤沙莉が台詞として「憲法を読み上げてる場面」という訳でもなく。
じゃあココは
「一言一句まで憲法通りじゃないとダメ!」
ってコトちゃうやん。
別に要約で良くね?
しかも「両性」というのは日常的に使う言葉ではありません。
憲法24条以外で聞くことはまずないでしょ…
ナレーションとして耳で聞くにはちょっと分かりにくい。
一方、「双方」は他でも聞きますよね。
時代劇でもよく「双方、面を上げぃ」とか言うじゃないですか。
だから視聴者に伝わりやすくしただけでは…?
「いやダメだ、あくまで逐語的に憲法を踏襲しろ」と言うなら、
【憲法】
『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し』
【虎に翼】
『婚姻は双方の合意のみによって成立する』
…と、ほかの細部が変更されてるのは良いのですか?
それにそもそも、直後に「両性」という言葉もちゃんと使われてますやんか?
ソコだって文脈的には婚姻にあたっての話なので、ことさらに「婚姻は両性の…」という言葉を避けた様には見えないんですけど。
で、「両性」ではなく「双方」だと何故けしからんのかと言うと…
「双方」は同性婚を認める方向への誘導だ、ということみたいですね。
しかし『虎に翼』がどう言おうが、憲法の条文が変わる訳でもなく。
LGBTが今後『両性』という文言と戦わなければならないことには何の変わりもないのでは?
『両性』というのを必ずしも「男女」と解釈する必要はなく、男男でも女女でも『両性』と捉えることは可能じゃないですか。
そもそも『両性』の「両」とは「一組となるものの双方」という意味です。
男男や女女でも一組になりうると考えれば全然問題ないやん。
こんなん政府がお得意の解釈変更を閣議決定すれば済む話やろ…
…で、このポスト主のプロフィールと固定ポストを見ると…




…うわぁ。
差別行為があることは否定しないのに、何故かそれを『誤解』『間違った先入観や偏見』とする不思議な論理〜!
そして自分は『具体例を含め、このような事例がそれぞれ何件あって、どのような形で報告を受けたのかを明示してください』と要求するのに、『川口市民の多くの皆さんが日々恐怖を感じておられるのが実態』と根拠レスに主張。
だったら自分がまず川口の件を『具体例を含め、このような事例がそれぞれ何件あって、どのような形で報告を受けたのかを明示』するのが筋なのに、そこはあまあまのダブルスタンダード。
そして
『いわゆるLGBTの方や外国人の方や障碍者の方やアイヌの方を行政等で差別したことは僕の知る限りありません』
て…岸田総理(当時)は『雇用や入居などの場面やインターネット上において』差別がある、と言っただけで、行政による差別の話なんてしてませんが?
それとも行政が差別しなければセーフで、民間による差別は『誤解』『間違った先入観』の範疇だとでもおっしゃるのでしょうか?
『1919年のパリ講和会議で世界で初めて人種差別撤廃を提案したのは日本です』
…これはネトウヨさんがよく持ち出すやつ。
差別撤廃の提案がそんなに立派なことだと思うなら、自分も差別撤廃を実践すればいいのに何故ソレをしないんですかね…?
あと人種差別撤廃条約は1965年採択・1969年発効なのに、日本の加入は1995年…30年遅れなんですけど。
が、この人より先に同様のポストをしている人が。
…コミュニティーノート付いてるやん。

なるほど〜、憲法と民法では文言が別で、『虎に翼』は民法の方だから、条文自体に「両性」ではなく「双方」とあるのですね。
知らんかったー。勉強になるなぁ…
で、この人のプロフィールが↓コチラ。

この日本政策研究センターというのは自民党の国会議員等に政策アドバイスを行っている民間のシンクタンク。
代表の伊藤哲夫は聖帝のブレーンを務めた人物にして日本会議の常任理事、しかも新宗教「生長の家」出身だそうで。
あ〜、日本会議事務総長の椛島有三とか、政策委員の高橋史郎(トンデモ案件「親学」で有名)とかと同じルートね。
ソースはWikipediaと↓コチラ。
【かもがわ出版】
『ありがとう日本会議・1』
https://www.kamogawa.co.jp/~hensyutyo_bouken/?p=3507
そしてここで自民の和田政宗サンギンギン登場。
小坂実の主張を引用リポストし、この件をNHKに質問したと発言。

和田政宗の方にもコミュニティーノートが付いてますね。
内容はほぼ同様。
この辺りの話は↓コチラにもまとめられています。
【ハンJ速報】
『自民党・和田政宗議員、朝ドラ「虎に翼」ケチをつけ圧力』
https://nanyade.livedoor.blog/archives/41732707.html
そして和田政宗のポストに付いたリプライが↓これら。
表示順に紹介します。








…と、九郎政宗3連発。
この人は昔からネット界にいるリベラル。
かつてあったブログは反ウヨ情報の少ない当時としては貴重で、愛読したものです。
奇しくも政宗 vs 政宗。
さらに「脱『愛国カルト』のススメ」管理人も↓参加。
お世話になっております、裁判頑張って下さい。
寄付する前に締め切られちゃいましたが、次に支援募集があれば是非。





キリがないのでこの辺で。
皆さん、冒頭で披露した私の見解とおおむね同じことを言ってて何だか安心。
という訳で和田政宗議員、
①そもそも条文を読み上げているシーンではないので「逐語的に条文通りじゃない」とか言われましても。
②「虎に翼」は民法の話をしているので、憲法の話を
持ち出すのは筋違い。
という二重の意味で間違っているのですが…
それでも無反省のまま、『Hanadaプラス』のWEB連載にこんな記事まで書いちゃってましたー。
《NHK朝ドラ『虎に翼』、「婚姻は、双方の合意のみ」は歴史の捏造に近い》
https://hanada-plus.jp/articles/1554
捏造だと断言できるほどの話でもないと自覚しちゃってるせいか、『歴史の捏造に近いという指摘をやはり否定できない』などと若干ソフトめな表現になってたり。
和田政宗議員の主張は要約するとこんな感じ。
青字部分は記事からの引用。
◉「両性の合意」を「双方の合意」と改変したのはほぼ歴史捏造やん
◉当時は同性婚のことは考慮に入ってなかったやろ
◉「同性婚訴訟」の2021年札幌地裁判決、「同性婚を認めないのは違憲」とした2024年札幌高裁判決でも、昭和22年当時は同性婚は考慮に入ってなかったことを認めてるやん
◉ナレーションは憲法24条を下敷きにしたものやろ
◉『「このナレーションは憲法についてではなく民法の改正作業についての指摘であり、和田氏の主張はおかしい」などという人たちが出てきたが、上記の札幌地裁判決文では「昭和22年民法改正に当たっても同性婚について議論された形跡はない」としており、であるならば、ナレーションを「両性の合意」ではなく「双方の合意」とする理由がない。』
◉民法に、婚姻届は「当事者双方」が署名とあるので適切なナレーションだ、という指摘も。
けど当該の条文は旧民法と同じで、戦後に内容改正は行われていない。
しかもソコ手続きについて定めたトコやんけ。
なので「両性の合意」ではなく「双方の合意」でもおかしくないとの論拠とはならない。
それに新憲法発布を受けての民法改正なんやし、憲法ベースになるのは当たり前。
しかし直接には民法改正の話なので民法の文言が混じるのも当たり前。
逆に、ちゃんと憲法と民法から言葉を抜き出して使ってるのに、ドコに文句が…?
そりゃココに自民の改憲案とか全然関係ないモンからの単語が滑り込ませてある、とかだったらご批判も理解できますけどね。
あとNHKは別に「当時から同性愛を考慮してた」とか1ミリも言ってないやん。
和田政宗がそう言い立ててるだけ。
そして和田政宗は「ナレーションがああなる理由、ないやん」と言いますが…
ああなってはいけない理由もまたないですよね?
和田政宗が主張しているのは「ナレーションが絶対にああならなければいけない、という必然性はない」というだけのことであって、「ああなるのは絶対おかしい」とはちゃうやろ…
どう表現するかの文言は普通に作り手の裁量ですやん。
そしてNHKの選んだ言葉は別におかしなものでもなく。
それを一字一句に至るまで政府与党の議員がおかしなアヤ付けてくるのはこれもう半分、検閲やろ…。
ネトウヨさんはちょっとでも自分が気に喰わないと「全力で攻撃する正当性を手に入れた」と勘違いしがち。
で、すぐに「停波ガー!」とか「外患誘致ガー!」とかの強い言葉で非難してくる…どんだけ自分の感情最優先やねん。
結局、いろいろ言うけど和田政宗、自分への批判に対して有効な反論は何一つ出来ないまま。
そして和田政宗は
『これらを踏まえ、私はNHKに対し以下の質問を行った。』
と言うのですが…はいダウトー。
例のポストを見ると、和田政宗はNHKに質問をしてからXにポストしています。
つまり質問を書いた時点では、後にポストに付くコミュノートは読んでない訳です。
なのにコミュノートへの反論を書いて『これらを踏まえ』質問をした、というのはおかしいやろ。
タイムリープでもしたん?
で、記事に和田政宗がNHKに送った質問が載ってるので引用。
【質問】
『○6 月 4 日放送の「虎に翼」で、「この頃、戦前の民法を改正する作業が行われていました。婚姻は双方の合意のみによって成立すること・・・を基本として、」とのナレーションがありましたが、「双方の合意のみによって」は、改正過程におけるどのような条文検討や作業においてどのような文言で出たものなのか、その根拠を具体的に示して頂きたく存じます。
○インターネット上では、NHK が視聴者からの質問に対し「このナレーションは、民法の改正内容を説明」と回答した、と発信しているアカウントがありますが、この回答の内容は事実でしょうか。
事実とするならば、民法の改正内容のどの部分に該当するのか具体的に示して頂きたく存じます。』
…この質問、ちょっと面白いですよね。
先述の様に、この質問を書いた時点では和田政宗はコミュノートの内容を知りません。なので、「双方の合意」という言葉が『改正過程におけるどのような条文検討や作業においてどのような文言で出たものなのか』を気にしてますね。
この時点では、まさか「双方の合意」が憲法ではなく民法に書いてあるとは思ってもみなかったのでしょう。
だから
「憲法には『双方の合意』なんて一言も書いてない、だったらこの言葉はどこから来たのか示してもらおう。それが出来なきゃNHKの捏造確定だー!」
とブチ切れる気まんまんだったのですね。
そして民法に『双方の合意』とあることを知った後も、アレコレ難癖を付けて何とか元の
「NHKが捏造してまで『双方の合意』という言葉を滑り込ませた」
という路線を維持したい、そんな和田政宗の気持ちが伝わってきます。
振り上げた拳のやり場に困って、元の予定地に振り下ろすしかなかったんやろなぁ…。
だからあんなに反論を受けても苦しい言い訳で続行してたんか。
そうなると、もう一つの質問の意味も見えてきます。
こちらでは和田政宗は例のナレーションが「改正問題を(引用ではなく、言葉を変えて)説明したもの」かどうかを気にしてます。
まだコミュノートを読んでない和田政宗は「双方」という言葉はどこにもなかったのにNHKが勝手に作って入れたと思い込んでます。
なので、NHKから「そやで。条文通りではないやで」という言質を取ったら、
「ほら見ろ、NHKが憲法にない語句を使って捏造してたぞ!」
という風に持っていきたいところ。
実際、NHKはこう回答しています。
【NHKの回答】
『ご指摘のナレーションは、民法の特定の条文や、改正過程で検討された文言などを引用したものではありません。民法改正をめぐる当時の状況やその内容を、視聴者の皆さまに分かりやすくお伝えするために表現しました。
なお、視聴者からの問い合わせには、同様の趣旨の内容をお答えしています。』
…しかしコレ、NHK的には
「えっ、もちろん条文を直接引用するのではなく、わかりやすく再構成してありますよ?
(でも語句は基本的には憲法や民法から引っ張ってきてるから別にいいよね…?)
視聴者にもそう伝えてます」
くらいの意味ですよね。しかし和田政宗は
「はい、条文を直接引用せず、こちらで好き勝手な語句に変更しました。
変更は事実だと素直に認め、視聴者にもそう説明しております」
的に解釈して、
「NHKが勝手な変更を認めたぞ!
歴史の捏造だー!」
とブチ上がってはる訳ですね。
話が噛み合ってないやん。
コレはアレですわ。
創造論者「進化論は(充分に立証された訳でもない、ただの)仮説ですよね?」
↓
科学者「ええ、(勿論、あらゆる科学理論は仮説なので、それと同様に)仮説ですよ」
↓
創造論者「おい聞いたか、科学者が『進化論は仮説に過ぎない』と認めたぞ! やはり進化論は充分な根拠のないデタラメだったんだ!」
ってなるのと同じやつ。
しかし和田政宗は寄稿記事を書いた時点では、コミュノートの中身を知ってる筈…
でもアレコレと理由を付けてコミュノートの指摘を却下しちゃってるので、その内容が反映されておらず、話が噛み合わないまま勝手な思い込みで鼻息を荒げるという、大変カッコ悪いことに…。
その結果、和田政宗はNHKの回答にこう言い出します。
◉『皆さんもこの回答を読んで愕然とすると思う』
◉『民法の特定の条文や改正過程で検討された文言は根拠としておらず』
◉『婚姻は「両性の合意」であって「双方の合意」とする理由はなく、歴史の捏造に近いという指摘をやはり否定できない』
◉『根拠もないことがさも歴史的事実かのように公共放送で伝えられることは極めて危険なこと』
◉『NHKはあえて歴史的事実を改変し、何か流れを作ろうとしているのだろうか』
◉私はこの解釈を読んで愕然としました。
◉憲法・民法の特定の条文に出てくる文言を根拠として文章を再構成しただけなのに…
◉婚姻は「両性の合意」であって「双方の合意」ではないとする理由はなく、問題の捏造に近いという指摘をやはり否定できません。
◉根拠もないことがさも事実かのようにメディアで伝えられることは極めて危険なことです。
◉和田政宗はあえて事実を改変し、何か流れを作ろうとしているのでしょうか?
という訳で壮絶なブーメラン。










