武田邦彦といえば
「環境問題? そんなん、何もせんでも構へんかまへん!」
という芸風で有名になった元・大学教授。
この番組に出てる人は大体トンデモという『ホンマでっか!?TV』や、この番組に出てる人は大体ウヨいという『そこまで言って委員会』で有名な方ですね。
その後いろいろあって参政党から参議院議員に立候補&落選、さらに除籍と華麗な人生を歩んでおられます。
まぁ
「環境保護のために推奨されてるあれやこれやは全てウソ。
な〜んにもする必要はない」
というお気楽な主張は
「かつて日本がしたというあれやこれやの悪いことは全てウソ。
な〜んにも謝る必要はない」
というネトウヨさんの主張と親和性ありまくりなので、こうなるのもむべなるかな。
そして巨星・竹田恒泰と並ぶ「ネトウヨ界二大タケダ」の一角。
もしくは竹内久美子も入れて「ネトウヨ界タケ三羽烏」。
トンデモウォッチャー界隈に『工学博士「ひでお」の法則』というのがありまして、工学博士号を持ってるトンデモさんには何故か「ひでお」という名が多いのですが…(糸川英夫とか関英男とか内田秀雄とか早坂秀雄とか)
ネトウヨ界にも「タケの法則」があるのかも。
武田邦彦も専門は工学で、そもそも環境問題の専門家でもなく。
環境問題に関する主張のアレコレを「と学界」会長(当時)の山本弘自らにツッコまれ、『“環境問題のウソ”のウソ』という、『買ってはいけないは買ってはいけない』みたいな本まで出される始末。

なお↑この本によれば、武田邦彦は山本弘からの質問にはじめは「何でも聞いて下さい」的に答えていたのに、そのうちスルーする様になった模様。
会長から直々に批判されちゃうという点でも竹内久美子と並ぶ破格の扱いで、「と学界公認トンデモさん」と言えましょう。
ちなみにWikipedia「武田邦彦」ページの「主張内容」と「批判」がバチクソ面白いので是非。
ボリュームたっぷりでめちゃ楽しめます。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/武田邦彦
私が個人的にばかうけ(Befco栗山米菓)したのは↓このへん。
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・今回の遺伝子ワクチンの長期的な副作用として、女性が子供を産もうとした時に不妊になる可能性が否定できず、そして、長期的には体に変調をきたし死亡する場合がある。さらに長期的になると接種された人の遺伝子の中に接種されたウイルス遺伝子が入り込み、それが表に出てくる。例えば子供を産むと子供の手先がウイルスの形をしている場合があると主張している[34]。
・インドでは糞口感染を引き起こしている新型コロナウイルスが蔓延しているので、強力な生ワクチンがガンジス川にある。ガンジス川の水を汲んできて日本でその水をワクチンとして売る方法もあるとパンデミック収束に対しての解決案を提示した[35]。
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…感染源そのままはワクチンとちゃうやろ。
そんな武田邦彦の最新作が
『理系思考で読み解く 歴史の大ウソを打破する日本文明の真実』
です。

帯に『古来、日本人同士はテレパシーで文明を築いていた‼︎』と大書してありますね。
この「テレパシー」、意味は一度も説明されないままなのですが、どうやら「綿密な打ち合わせとかしなくても自然にそれぞれ分業しだす」程度の意味であるらしく。
なんじゃそら。
まぁガチ超能力を主張するという、石川幹人みたいなムーブではない模様。
…ですが、それならトンデモ案件ではないのかと言うとさにあらず。
例えば↓こんな記述が。
p.20
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テレパシーを利用している日本語の特徴を科学的に言うと、日本人の遺伝子は非常に混ざり合っていることに由来します。私が旧石器時代における日本人の遺伝子の混ざり方を計算したところ、80回以上は混ざっていることがわかります(あくまでも概算ではありますが)。
同類交配という交配のパターンがあります。「類似の表現型を有する個体同士が、任意交配で予想されるよりも、頻繁に相互に交配する」という性的選択の一形態です。日本人というものが形成されていく旧石器時代の過程において、すでにこれを80回繰り返しているようなのです。つまり婚姻状態、親戚状態が80回も重なっているのです。ですから、日本人同士の思考体系が非常に似ているわけです。
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…うん、何も分からん!
一体何をどう仮定し、どういう計算をしたのか全く書いてありません。
しかし…
「あの、これさ…『日本人は近親相姦しまくって成立した』ってことを言った…? もしかしたら…」
「ほぼそれに近い」
「とんでもねぇ話だなぁこれぇ!?」
え、ネトウヨさんはしばしば
「韓国人は近親相姦を繰り返してきたから異常な遺伝子を持っている」
と主張…
韓国版ネトウヨであるクッポンさんは逆に
「日本人は近親相姦を繰り返してきたから異常な遺伝子を持っている」
と主張してるんですが。
ええんかクッポンさん側の主張を認めて。
『韓国版ネトウヨさんの遺伝子デマ』
なお、以下のサイト↓には…
【京都大学 生態学センター】
『集団遺伝学 重要な用語 遺伝子』
http://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~tsubaki/Tsubaki/Lecture_Note_files/PopulationGenetics.pdfこうあります。

ちなみに武田邦彦の同類交配についての記述はWikipedia「同類交配」と妙に似通っているのですが、これはきっと武田邦彦がWikipedia執筆者とテレパシーで通じ合ったせいです。
日本人の遺伝子すごい。

しかし武田邦彦の珍説、ちょっと訳が分からなすぎ。
一体どうしてこんなことに…!?
と思ってたら、たまたま最近手に入れた『と学会誌38』に…

『国民を騙す錯覚フレーズの正体』
という記事が載ってました。
コレは武田邦彦の
『政府・マスコミは「言葉の魔術」でウソをつく 国民を騙す錯覚フレーズの正体』
という著作を批判したもので、
執筆はGという方。
記事には↓こうあります。
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この本の内容はいつもの武田氏です。最近の武田氏は、主張のために資料をねつ造することもあまりなくなったように思います。単に資料出さずに思いついたことを書いてるだけという気もしますけど。そのせいで、少々ツッコミにくくなっていますが、とりあえずそんなことはもうどうでもいいです。
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あ〜なるほど、「遺伝子が80回以上混ざってる」もそういうコトだったんですね。
大納得です。
あと以前、武田邦彦の著作表紙や帯に踊るコピーが自己言及的で秀逸、という話をしましたが…
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/19558055.html

タイトルや帯に
「ウソをすべて話そう」
「武田先生、本当のことを教えて!」
「ぜんぶウソ!」
という自己言及的な文が踊ってて味わい深い。
…が、このと学会のGという方はそれ以前に同様の現象に気付いておられた模様。
と学会誌38の記事によれば、『政府・マスコミは「言葉の魔術」でウソをつく 国民を騙す錯覚フレーズの正体』の帯には…

「武田邦彦 あなたの常識は間違っている!」と書かれていたり。

さらに帯の背表紙部分には「ウソをつく 武田邦彦」という文が!
(※元記事の画像はモノクロで不鮮明なのでこちらで拾い物に差し替え)
さらに武田邦彦センセー、おなじみ「Y染色体論」も。
竹田恒泰・竹内久美子・武田邦彦と三タケ全員がコレ唱えてるやん。
p.47
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当時の日本人の自然観察力の高さは瞠目に値します。血筋として継続するのは男系男子だけだということに気がついていた。現在の遺伝学的な解析からわかっている事実と一致した見解を持っていたのは驚くべきことです。
(中略)
天皇家は男系によって継承されてきました。つまり男しか持たない性染色体Yを、ほぼそのままの形で継承してきたのです。息子は父からYを譲り受ける都合上、父のXは受け継がず、Xは母由来のもの受け継ぎます。
性染色体であるXと、性別とは関係のない常染色体は、生殖細胞ができる際に「交差」という現象を起こします。染色体に切れ目が入り、中身を一部交換されるのです。X染色体は、この交差によって、遺伝子がそのまま継承されることが少なくなるのです。つまり、X染色体や常染色体は、次第に薄まっていくわけです。
ところがY染色体には交差は起きません。父から息子へ、そのまた息子へと、全く薄まらずに継承されていくわけです。
したがって父親の考え方ーー父親がどういう風に物事を考えるかと言うことは、その父親も、またその父親も、という具合に何千年も継承される。それを古事記の時代に、世界の古代人の中で日本人だけがわかっていたわけです。
これは、世界の中でも日本人の観察力が、優れて鋭いと言うことの証左であると思います。
権力ではなく男系男子相続で天皇をつないでいった。それで日本は2000年間にわたって、ひとつの王朝が継続するという稀有の国家になったわけです。
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え、「父親の考え方」に関する遺伝子ってY染色体上にあるんですか?
そんなん聞いたコトないな〜…
Y染色体はごく小さく、「体を雄にするスイッチを押す」のが主要な役割で、あとは耳毛を生やす遺伝子とかショボいのがいくつかのってるだけだと思うんですが。
そしてその代々天皇に伝わる「考え方」とやらは、常人の考え方と比べてどう違うんでしょうか?
天皇のY染色体上にある遺伝子は対立遺伝子に比べてそんなに凄いんですか?
あと重箱の隅つつきになりますが、交差の説明があまり正確ではない感じ。
交差は必ず起きる訳ではなく、減数分裂の時に父親由来と母親由来の染色体がコピーされて2組に増え、そのうちの1組の間で起きます。
つまり交差が起きるのは各染色体のコピーのうち半分だけ。
あとY染色体とX染色体の間でも交差は起きます。
「こっから先は無理」という領域があって、そこ以外は大丈夫。
さらに『権力ではなく男系男子相続で天皇をつないでいった』というのもイミフ。
男系男子相続で権力を継承したんですよね…?
大体、権力者というものは自分の男系の子孫に権力を継がせたがるもの。
それは日本に限らず、多くの国でそうだったのでは…。
『2000年間にわたって、ひとつの王朝が継続するという稀有の国家になった』
というのも何だかな〜…
継体天皇のあたりとかかなり怪しくないですか?
それに万世一系とか言うけど、南北朝とかあったし。
あと日本は「天皇という旧来の支配者が打倒されるのではなく、名目上は存続させて実際の権力は幕府が握る」というシステムが稀有なのでは。
よくネトウヨさんが↓こういうの言い出しますが…。


瞬殺されてました。




【電脳塵芥】
『日本だけが長い「世界史年表」の話』
https://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2019/10/26/145551
さらに武田邦彦は記紀を持ち出しホルホル。
p.44
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争いで解決しない「天岩戸神話」
日本では、天皇陛下という存在を作ったわけです。そしてその天皇陛下がしらす国の由来を説くために記紀神話というものを作った。
しかも皇室の神様のはじめは天照大御神という女神です。皇帝が支配する中国とは正反対で、現に、天照大御神を描いた絵画や図などを見ると、女の人が中心に立っていて、そして軍隊の横に男の神様がひざまづいています。
中国の組織とは、全く逆の構図になっているわけです。男が支配する世界においては、トラブルが起きると力ずくで封じます。ところが天照大御神は須佐之男命が暴れた際に力で解決するのではなく、雨の岩戸に隠れてしまう。
(中略)
かくして太陽は元に戻り、須佐之男命を高天原から追放するわけです。
つまり世を荒らすような悪いことをすると、太陽が欠けるーー天変地異のような悪いことが起こる、ということを示している。そうなるとみんな困るから相談して、踊りでも踊って、天照大御神が顔を出すように仕向けるのです。これが日本のトラブル収拾法であり、天岩戸の物語なのです。
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ええっ、男系男子で天皇を継いでいくことのスバラシさを熱弁してた筈なのに、今度は「中国みたいに男が支配するのはダメ」とおっしゃる。
Y染色体論によれば、皇室にはアマテラスの遺伝子は受け継がれてないことになるんですが大丈夫ですか…?
あと男性が支配したのは中国に限らず、多くの国でそうだったのでは…?
しかも↑先ほどの「(中略)」部分にはいろいろユニークすぎる話が載っててですね…
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そこに天児屋命と布刀玉命が鏡を差し出すと、天照大神は鏡に映る自分の姿をその尊い神だと思い、もっとよく見ようと岩戸をさらに開けたところを力の強い天手力男神がその手を取って岩戸の外へ引き出した。
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…いや、結局は力で解決してるやん。
しかもアマテラス、ちょっとアホの子やん。
その前の部分も何だか変。
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須佐之男命が、機家の屋根から皮をはいだ血まみれの馬を落とし入れたところ、驚いた天の服織女は織機の杼が陰部に刺さって死んでしまった。このことで天照大神は大変お怒りになり、天岩戸に引きこもってしまう。
それでも効果がないので、岩戸の前に伏せた桶の上で天宇受売命がトランス状態になって、胸や陰部をあらわにして踊り狂った。
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…ゴッドファーザーもビックリなドッキリの上、陰部出てきすぎじゃね?
まぁ古事記はしょっぱなからイザナギとイザナミが
「私、なんか体できたけど足りないトコある〜」
「俺もなんか体できたけど余ってるトコある〜。
コレ合体させたら国とか生めるんじゃね?」
とかイっちゃってますからね(トリプルミーニング)。
あとそのイザナミは火の神・カグツチを産む時に陰部を焼かれて死んでるし。陰部にダメージ負って死に過ぎでは?
イザナミはその後、ゾンビ返って「帰るまでこっち見ちゃダメ」と言い出しますが、イザナギが約束破ったせいでババギレし、鬼の形相で追撃&デストロイ。
コレを「3つのマジックアイテムで追跡者を妨害する」という三枚のお札システムで捲く訳ですが、中には「放尿したらそれが川になってイザナミを足止めする」というバージョンもあったり。
さらに排泄物の話を広げとくと、オオゲツヒメに至ってはお尻から穀物をひり出してます。
さすが大尻姫やで!
(※そういう意味ではありません)
武田邦彦センセーは神話から日本人の美点を学ぶなら、こういう面白部分からも日本人のトラブル解決法とかを学ばなくていいんですかね?
こういう部分は都合よく無視し、教訓を引き出せそうな部分だけに注目する…
そんな恣意的な読み解き方なら、どんな結論でも自由に引き出せるでしょ。
ちなみに
◉イザナミが「こっち見ちゃダメ」と言ったのは『見るなのタブー』(メルシナ型)
◉3つのマジックアイテムが追跡者を妨害する、というのは『呪的逃走譚』
◉栽培植物の起源を「お尻や死体から生じた」とするのは『ハイヌウェレ型神話』
と呼ばれる物語の類型で、世界各地に類話が見られます。
神話というのはこの様に、人類の多様性と共通性を同時に感じさせてくれる愉快なフィクションです。
決して実話と混同したり、そこから自民族の優越性を導き出すためのものではありません。
そして環境問題は「放っときゃいい」とする武田邦彦にとって、環境問題を声高に叫ぶグレタは勿論、不倶戴天の敵。
ボロカスに書きますが、その批判ポイントが何だか妙↓です。
p.172
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彼女がスウェーデンの街角で環境の大切さを訴えるなら真実があるかもしれません。ところが国連総会と言う大舞台で一少女が演説をする事はありえない。当然、その背後に"闇の勢力"があると考えなければならないでしょう。
ここで「闇」と表現したのは、グレタさんが政治的背景も、選挙のような公正な手続きを踏んでいないからです。朝日新聞はそれをどう考えたのだろうか?
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はえ〜、ただ意見を述べて共感を得て注目を集める時に、そんなに選挙のような公正な手続きって大事なんや…
ところでココに選挙のような公正な手続きによって選ばれた知事をリコールしようと、何ら選挙のような公正な手続きを経てない人たちばかりが集まってホテルで会見を開いてる画像があります。
武田邦彦はそれをどう考えたのだろうか?

是非とも答が知りたいところですね。
コメント
コメント一覧 (1)
https://youshofanclub.com/2024/05/29/a-very-private-school/
チャールズが送り込まれた名門校は、校長を筆頭に教師、世話役の女性などすべての大人がサディスティックな児童虐待加害者だった。
特に校長は小児性愛者であり、生徒のミスをあら捜しし、その罰として身体的虐待を与えたうえで性的虐待も与えていた。
その校長に雇われた教師たちも虐待の共犯であり、子供たちには逃げ場はなかった。
皇族が通われる日本国内の大学附属中学校・高等学校の名門校はどうなんでしょうかね。
wsogmm
が
しました