斜陽なわー国ですが、こういう時ほど無理くりなホルホルによって自らのアイデンティティーを保とうとする人たちが出てくるもの…
YouTube等ではそれが常態化し、特段リベラル寄りでもない一般サイトでまでそれが物笑いの種になってたり。
【暇人速報】
『【悲報】“日本人の特殊能力”ガチで凄すぎて全世界が嫉妬してしまうwwwwwwwwwwwwww』
http://himasoku.com/archives/52225783.html


…いや、特定の能力の欠落まで「日本人ヤバすぎ」の具にしてるやん…!
そんな先鋭化が進むホルホル動画ですが、ガセネタも目立ちます。
一昔前の日本凄いネタと言えば「日本には四季がある」。
コレは流石に「同緯度地域なら季節変化はドコでもだいたい一緒やん」という当たり前の事実が広まりましたね。
そんな感じのガセが他にもあるのでご紹介。
《海苔を消化できるのは日本人だけ》
これも有名なやつ。
しかし、ネタ元になった論文をきちんと読んだSF作家の柞刈湯葉(いすかり・ゆば)によると…
【note】
『海苔(のり)を消化できるのは日本人だけという論文を読んでみた』
https://note.com/yubais/n/n50c8297ec3fc
…だそうです。
まとめると、
◉海苔の消化能力というのは腸内細菌の話で、日本人が自力で消化する訳ではない。
◉腸内細菌による消化を確認したのは海苔に含まれる一種の多糖類についてであって、他の物質についてはシラネ。
◉サンプルは日本人13人と北米人8人で、他の国については調べていない。
◉消化能力のある腸内細菌を持っていたのは日本人13人のうち4人で1/3以下。
…思てたんと違うー!
という訳で、実際は極めて限定的な話でしかないのがメガ盛りにされてる模様。
《虫の音が聞こえるのは日本人だけ》
これまた有名ネタ。
昔、角田忠信という人物が「西洋人には虫の音が聞こえない」ことに気付いて研究し、「日本人は虫の音を左脳で言語として処理するが、西洋人は右脳で雑音として処理する」ことを発見、みたいな逸話があるのですが…
右脳と左脳とか出てくる時点でもう神経神話の匂いしかしないよ!
もし結果が逆で、日本人が虫の音を右脳で処理してたらそれはそれで
「虫の音を情緒を司る右脳で処理し、音楽として聞くなんて日本人はスバラシイ!」
とか言ってそう。
あと西洋人は右脳で処理するから虫の音が聞こえない、というのもちょっと変では…
例えばアメリカの周期ゼミの声が全く聞こえないってことはないみたいだし。
【Gigazine】
『大量発生したセミがうるさすぎて住民が「この音は何?」と保安官事務所に通報する事態に』
https://gigazine.net/news/20240424-noisy-cicadas-south-carolina-police/
あと角田忠信の主張によれば、中国人や韓国人も虫の音を右脳で処理する「西洋人型」なのですが…
え、昔から中国には虫の音を楽しむ文化があるのに!?
【JATAFF】
『虫を聴く文化』
https://jataff.or.jp/konchu/listen/listen.html
…いろいろおかしいけどどうなってるんでしょうか?
その答は普通にWikipediaにありました。
『虫の音』の項に『虫の音と雑音、騒音』という章があり、その中に↓こんな部分が。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
母語の違いによる虫の音の反応
1978年に、角田忠信の『日本人の脳 脳の働きと東西の文化』が出版されるとベストセラーになり、「日本人には虫の声が聞こえ、外国人には雑音として聞こえる」という説が広く知れ渡った[124][4]。角田の説が発表されたのは1966年のインドの耳鼻咽喉科学会の雑誌であり、その後は学術雑誌にツノダテストによる実験研究は発表されていない[3]。角田は、日本語母語話者は虫の音や川のせせらぎなど自然音を、言語を処理する左脳で聞き、非日本語母語話者は雑音を処理する右脳で聞くとする[125][3]。しかしこの角田の説を導いた独自の実験手法は不明瞭で再現性がなく、1981年に行われた検証実験でも否定されている[3][126]。雑誌『科学朝日』1990年3月号で立花隆は、脳画像測定装置において日本人と西洋人との脳機能に違いは見出せなかったという実験結果を紹介し、角田の説が脳の専門家の間で支持されていない状況について言及した[5][124]。これに対して『科学朝日』1990年6月号に角田からの反論が掲載され[127]、続く7月号[128][129][130]、8月号[6][131]にも論争が掲載された[124][3]。1990年代にfMRI(磁気共鳴機能画像法)やPET(陽電子放出断層撮影)により、リアルタイムに脳の活動を調べることが可能になったが、日本人だけが左脳で虫の音を聞くことを証明した研究はない[132]。角田の説は科学的な手続きや検証を十分経たものではなく、現在、支持する脳科学者はほとんどいないが、日本人は自然音への異なる感性を持つという神話は、広く一般に浸透している[3][124][132]。
『「左脳・右脳神話」の誤解を解く』(化学同人)でこの件を取り上げた八田武志は、「日本人の脳神話」を育てたのはメディアと受け手の双方であるとする[3]。検証なくメディアが発信する「科学情報」は、誤りが指摘されても修正されることなく、世代交代して再び目新しい情報として取り上げられる[3][133][134]。受け手は、メディアが取り上げた「科学情報」を確かめることなく真実として受け取り、雑談の場で知的な話題として披露し蓄積されていく[3]。
「角田忠信#論争」および「角田忠信#ツノダテスト」も参照
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
で、その「角田忠信#論争」「角田忠信#ツノダテスト」にはどうあるかというと…
↓Wikipedia 『角田忠信』より。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
論争
1978年に『日本人の脳』が出版されると30万部を超えるベストセラーになり、「日本人には虫の声が聞こえ、外国人には雑音として聞こえる」という説が広く知れ渡った[11][12]。角田は、「自然音への特異な感受性を持つ日本人は、情緒的で繊細なため、非論理性や感性が必要とされる創造的な活動で世界の文化に貢献できる」とする[13][14]。しかし脳の専門家たちからは批判され[3][15]、欧米諸国からも日本人優越論を主張する愛国主義者だとして猛反発があった[8][16]。
「虫の音#母語の違いによる虫の音の反応」も参照
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
↓もいっちょ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ツノダテスト
角田は、日本語母語話者は虫の音や川のせせらぎなど自然音を、言語を処理する左脳で聞き、非日本語母語話者は雑音を処理する右脳で聞くとする[13][3]。
左右の脳の機能差の測定は、国際的な手法ではなく、独自の実験手法「ツノダテスト(角田法)」で行う[3][17]。ツノダテストでは、被験者に指先で一定のリズムを刻んでもらい、左右の耳それぞれに同期音と妨害音を聴かせ、どちらの耳が妨害音を無視して正確にリズムを刻めるかを比較する[3][17]。この方法で、右脳と左脳の機能差を測定できるとする根拠は無いが[5][15]、日本語母語話者は「言語音、自然の音、邦楽楽器など」は左脳が優位になり、「機械音、ホワイトノイズ、西洋楽器など」は右脳が優位になったとする[8]。
厳密な必要条件
このツノダテストを行うには厳密な必要条件があり、被験者の側にかなりの熟練が必要とされる[17][13]。条件を満たさないと優位性は容易く逆転するため、他の研究者が追試をしても再現性はない[5][15]。
最も重要なのは、両足裏を床に接地させて地殻から地磁気等の影響を脳機能に受けとることであり、もし足裏が床から離れると、音を左右に振り分ける脳幹スイッチ機能は正常に機能しなくなる[8][17]。
また、実験前は情感刺激や外国語の刺激(短時間でも聴く、話す、読む、書いたあとに長く復唱すること)を避けることが必要とされる[3][18]。角田は、「英語に支配されてしまった現状では、健常な被験者を選ぶのに慎重でなければならない」とする[8]。
その他にも、会話音を聴く、数を唱える、連続で加算する、香水やアルコールや煙草の臭いをかぐ、睡眠剤や鎮痛剤を飲む、息をこらえる、頸動脈球を圧迫する、射精をする、頭を温める、などを行うと非言語脳の優位性は右脳から左脳に逆転する[8][3]。右手と右足は同時に強調させて打鍵するなんば式で行い、手を交差すると優位性は左右で逆転する[8]。また、ツノダテストの研究中に地殻ストレスの歪みが強くなると優位性が逆転する現象が起きた[8][19]。
小宇宙、地震予知
ツノダテストでは、40・60ヘルツと、40・60の倍数ヘルツで優位性が逆転し、この逆転は満月と新月でも起こる[8][19]。また満55歳の人は55ヘルツの音に特別の反応をし、それは誕生日で正確に切り替わる[8]。そのことにより、角田は脳幹スイッチ機能が太陽系の運行(地球の公転、自転、月齢など)と正確に同期して動くことを見出した[8]。さらに地球の自転と同期する日輪系と十八日周期で被験者が一斉に1ヘルツずつ繰り上がる十八日系を見出しているため、人の脳の中心には宇宙の運行と正確に同期する小宇宙が存在することが明白になったとする[8][20]。
また、人の脳幹スイッチ機能は地殻の歪みに対して敏感に反応する人脳センサーして働き、足下の地殻のストレス強度に応じてセンサーにゆがみが生じるため、地殻の異常である地震を予知できるとする[19][21]。そのため、人脳センサーで日本中を走査することで、日本全体の地殻ストレスの強度分布を描くことが可能であるとする[8][19]。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…いやどう見てもトンデモー!
強火というか烈火の炎、インフェルノ・ナパームでございます。
再現性がなく、当人にしか出来ないとかほぼSTAP細胞か椋平虹。
科学としての条件を全く満たしてません。
『フジテレビさん、トンデモの古典「椋平虹」を復活させてしまう』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14861770.html
まぁ再生回数稼ぎのために「日本は凄い」という結論を先に置き、それに合う様に中身を作ると、こういう怪しげな話に飛びつくことになりがち。
ネトウヨさんの主張が検証抜きでトンデモになるのと同じ理由ですね。
事実より願望優先の話には気をつけましょう。
コメント