2023年05月29日


さて前回、『月刊WiLL』で竹内久美子と黒川伊保子が対談していることをお伝えし、黒川伊保子のトンデモっぷりをご紹介しました。


『ネトウヨ雑誌『WiLL』、トンデモ女王・黒川伊保子と竹内久美子を対談させてしまう』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/20166941.html


…が、肝心の対談の内容については触れてなかったので今回はその話。
取り上げるのは
『月刊WiLL』2022年12月号
「女女問題は生殖本能のなせる技」
という記事です。
ではまず前半の要約から。


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誰よりも気にかけてもらい、よりよい資源をもらうための戦い


1人勝ちの女性を許さない

竹内
女性は「比べる」「マウントする」「愚痴っぽい」…… 。なぜそんなことをするのか理解できませんでしたが、『女女問題のトリセツ』を読み、目からウロコでした。

黒川
ありがとうございます。女性は自分よりも優秀な人にも、劣っている人にもイラつくので、なかなか大変です。
ヒトは群れで子育てをしなければなりませんが、その中で自分がいかに大切に思われ、優先されるか。誰よりも気にかけてもらい、より良い資源をもらえること。それが生殖を完遂させるステップの第一歩です。
だからこそ優秀で綺麗、ちやほやされて、1人勝ちしている女性を許しておくわけにはいきません(笑)。

本音を言ったら終わり

竹内
私自身は女同士の群れがすごく苦手で……。会話にもついていけないし、女の組織に属しても、必ずいじめられる。つい本音を口にしてしまう。それで嫌われて終わりです(笑)。

黒川
私もそういう女子の会話のプロトコル(表面的な儀礼)が五十歳になるまでわかりませんでした。私も竹内さんも理系脳で、正しいこと(真理)を言うのが正義だと思っていましたから。
息子の高校でPTAの副会長をしていたのですが「黒川さんが謝恩会に出るなら、私たちは出ません」とボイコットされたことがあります。会議で、卒業式の来賓へのお茶出し係のお母様たちが「大変なんです」と言うので「そんなこと、PTAがしなくて良いのでは? 生徒にやらせればいいじゃないですか」と言ったら係のお母様たちは黙り込むことに。
後にPTA会長から「やっちゃったね、黒川さん。あなたが言うべき言葉は『そんな大変なことをされているんですか。でもそのおいしいお茶があるからこそ卒業式が始まるんですね』というねぎらいです」と言われました。ちなみに、その会長は男性です(笑)。

どうしてイラつく?

竹内
本音を言ったら嫌われてしまうわけですね。黒川さんは奈良女子大学のご出身ですけど、中学高校はどうでしたか。

黒川
女子大は楽でした。
理系の女子たちは、パジャマの上に白衣を着たり、スッピンでも平然としていました(笑)。
生活水準や偏差値もほとんど均一で変わりませんから。

竹内
ところが、差が生じると、激しいマウントの取り合いになるでしょう。

黒川
ええ。例えばママ友グループの会話の中で「あなたもやったほうがいい」と勧めてくる場合があります。「ゼロ歳児からの英語教育、あなたのところの始めない?」と。

竹内
余計なお世話だと思ってしまいますよね。

黒川
「いいわねぇ」とか言いながら、一向に始めようとしない人に、女性はイラつきます。自分が高いお金を払ってやっている「ゼロ歳児からの英語教育」が、「どうでもいいことにされた」気がするから。そのため、本気のマウンティングに転じてしまうこともありますから厄介です。
時には、ママ友グループ内でイジメが発生することだってある。

竹内
それは恐ろしい。

女性同士の会話はデリケート

黒川
だから、無視してはいけません。
「参考になるわ。情報、ありがとうね」と笑顔で、気持ちだけで即座に受け止めるのが正解。
女性同士の会話はここまでデリケートに水面下の戦いをしています。
なのに、そんな女性(妻)相手に、男たちは、実に無頓着に会話をしているな、と恐ろしくなります(笑)。

竹内
うらやましい面もありますけど。

黒川
もう一つ対処法として、そのグループに無理して留まり続けるのではなく、別のグループに行くか、新しいグループを作ることも選択肢に入れるべきです。

竹内
なるほど、上手なやり方です。

黒川
常々、女性の心理で不思議に思っていたのが、自分より劣っている女性にイラっとすること。劣っている女性は敵じゃないのに。
その理由が『女女問題』を書くまでわかりませんでしたが、孫ができたことで、理解できるようになった。ある日、我が家に来た知人が、孫の頭の上を通過するように、熱々の味噌汁のお椀を手持ちで運んだんです。
そのとき、私の脳には、強い警戒信号が流れ、この方を、育児の現場に置いておけないと感じました。
で、これだな、と。
子育ては常に不測の事態とともにありますから、「とっさの判断」に不安のある人=劣った人が群れにいたら、子どもの身が危ういと思ってしまう。

竹内
それ、つまり、危険因子です。私もそうかな(笑)。

黒川
私だって同じですよ(笑)。
「本当に危険」かどうかじゃなく、「劣っている」と思えば危険なんです。英語教育熱心じゃないなんて愚かだ、これは危険因子だ、となる。
私たちはちょっとものの見方が変わっているから、即、危険因子扱いされる。
でも、思い込みの評価軸で人を阻害する女性グループを一概に責めることができなくなったのも確かです。母性のなせる技なのです。

生理もうつる

竹内
『女女問題』では脳科学研究家の黒川さんらしく、女性の問題を脳科学的に分析されていますが、「ミラーニューロン」についても言及されていますね。

黒川
脳の中にある細胞ですが、他者の表情や所作を自らの神経系に、鏡に映すように移しとってしまう能力があります。

竹内
超美人と一緒にいると、ミラーニューロンによって自分も超美人であるかのように余裕綽綽に振る舞って、むしろ、関係性が円滑になりませんか。

黒川
ええ。美しい表情の人と一緒にいるとつられます。
さらに、表情は脳神経信号を誘発するので、気持ちも明るくなります。
だから、「嬉しげな表情の美女」は、周囲を幸せにします。それと不思議ですが、生理もくしゃみと同じでうつりますよね。

竹内
ええ、「ドミトリー(寄宿舎)効果」、あるいは研究者の名から「マクリントック効果」と呼ばれます。
寄宿舎でなくても一緒に住んでいる家族でも、べったりとくっついて行動することが多い友達同士でもそうなります。

黒川
私は大学時代、四人部屋の女子寮で暮らしていましたが、一緒に布団を並べている友人と月経周期が揃うのは、寮内の常識でした。

竹内
『女女問題』でも言及されていますけど、マクリントックらの研究によると、女性2人にお互いの脇の下の匂いを染み込ませたコットンパッドを鼻の下に貼ると、両者の月経周期が互いに自分の方へと引き寄せることで、何ヶ月後かに同期します。
腋の下は性フェロモンが分泌される部位です。フェロモンは嗅覚の一部が無意識のうちに感知する臭い物質で、生殖ホルモンの分泌に伴ってその量を増減させます。

黒川
ええ、要するに生殖ホルモンの分泌を知らせる臭いと言う事ですから、お互いのフェロモンに感応し合って脳が月経周期を揃えているという訳です。

竹内
では、それは女性の体型にも関わっているのかも気になるところです。ボン・キュッ・ボンのメリハリボディの女性は、排卵をほう助する女性ホルモンのエストロゲンのレベルが高いと言われていますが、そういう魅力的な女性といると、フェロモンの恩恵があるのかどうか。

黒川
私の推測ですが、四人部屋で暮らしていると月経周期が揃うのは、その中にエストロゲンをしっかりと出している女性がいて、そのエストロゲンの周期にみんながつられてしまうからではないでしょうか。

竹内
なるほど、そういうこともありますね。

黒川
だから、女子力の高い女性のそばにいた方が体調も整うことを本能的に察知しているのかもしれません。
エストロゲンの分泌が悪く、体の調子も悪くて愚痴が多く、落ち込んでばかりの女性と一緒にいるのと、絶好調で女子力が高い女性と一緒にいるのでは、どちらが得かと言ったら、後者に決まっています。
圧倒的な美女にみんな惹かれるのは「一人勝ち」への心配よりも、心身の体調が整うことが大きい。さすがにメリハリボディまでは獲得できないと思いますけど(笑)。


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前半はこんな感じ。
ええ~…黒川伊保子、冒頭では
『女性は自分よりも優秀な人にも、劣っている人にもイラつくので、なかなか大変です』
言うてたのに話変わってるやん。
一応、
『圧倒的な美女にみんな惹かれるのは「一人勝ち」への心配よりも、心身の体調が整うことが大きい』
とフォローしてますが…
そもそも美女のエストロゲンによって『心身の体調が整う』云々については黒川伊保子自身が『私の推測ですが』って言うてたやん。
何しれっと事実みたいに書いてんだか。

というかですね、「ドミトリー(寄宿舎)効果」「マクリントック効果」自体が否定されてるんですけど。

【WIRED】
『「女友達と生理の周期が重なる」はウソだった:英大学が検証』

https://wired.jp/2017/10/04/period-sync/

Wikipedia「フェロモン」の項にもこう書かれてます。

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以前[いつ?]より修道院や女子寮のルームメイトなどの月経周期が次第に同調してくること(寄宿舎効果、ドミトリー効果)が知られていたが、その原因となるフェロモンであろうと考えられている[1]が、実際には人間の月経周期が同居を原因として同調する事は無いと判明している[2]。
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そのソースになってるのが↓コレ。

【ナショナルジオグラフィックス】
『ライオンのメスは排卵を同調、ヒトの生理と異なる』

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/082500315/

↑この記事にはこうあります。


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 人間でも、一緒に暮らしている女性の生理が同調するという根強い都市伝説がある。この話は、寮などに暮らす女性たちの生理周期が重なるというマーサ・マクリントック氏による1971年の研究に端を発して流行したが、その後に発表されたいくつかの研究によって、いまでは信用されなくなっている。(参考記事:「ヒトは無意識に異性を「嗅ぎ分ける」」)

 2006年にゼンウェイ・ヤンとジェフリー・C・シャンクの両氏は、マクリントック氏らの研究結果も含めて統計的な検証を行い、一緒に住んでいる女性2人の生理周期が重なる確率は、他のどの女性と重なる確率とも変わらないことを明らかにした。

 生理周期の長さは女性によって少しずつ違うので、2人の女性の周期を長いこと追っていれば、いずれは重なることもある。

「不規則なリズムと、周期が異なるリズムが重なり合う数学的なものに過ぎません」とシャンク氏は言う。「何かが一致するときは気づきやすいですが、一致しないときには気づきにくいのが人間の性です」

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黒川伊保子に至っては
『私は大学時代、四人部屋の女子寮で暮らしていましたが、一緒に布団を並べている友人と月経周期が揃うのは、寮内の常識でした』
とまで言ってたのにね~…。
まぁ前にも書きましたが、血液型占いとか「人は大潮に生まれ小潮に死ぬ」とか、実感してる人は大勢いるのに実際には存在しないパターンなんていくらでもありますからね。

しかもですね、仮にマクリントック効果が実在したとしても、黒川伊保子の思い付きはかなり強引。
エストロゲンが爆美女の体内で仕事した後、体を飛び出し匂いとして他の女性に到達、さらに月経周期に影響を与えるってコト?
エストロゲンにそこまで背負わすの、厳しくないですか…?

エストロゲンはホルモン、つまり「個体内で情報をやりとりする化学物質」です。
それが他者にまで影響を与える「個体間で情報伝達する物質」になるとそれはもうフェロモンですよね。
黒川伊保子自身が
『お互いのフェロモンに感応し合って脳が月経周期を揃えている』
と言ってるし。
まぁホルモンがフェロモンを兼ねることも不可能ではありませんが、逆にエストロゲンにそういう作用があるという証拠もなにひとつありませんわな。
もしそんな作用が証明されれば大発見です。

マトリントック効果の弱みは、「わざわざ月経をシンクロさせるとどんないいコトがあるの?」という肝心の疑問に答えられないトコ。
黒川伊保子はそれに対して
「『心身の体調が整う』ということにしたら面白いんちゃうか~!?」
と思いついた様ですが、その結論に向けて強引に説明を組んだため、全然説明になってない感。


では後半へレッツ・業!


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おばあさん効果

竹内
閉経後は、その意識も変化しやすいように思います。エストロゲンの分泌量が減りますから、脳が変化していく。

黒川
エストロゲンが減る代わりに、テストステロン(男性ホルモン)の比率は上がりますか。

竹内
そういうことだと考えられています。声も低くなるし、肌も若い頃と違い、くすみやすくなる。肌のきめ細かさや白さはエストロゲンによるものですから。

黒川
女性は妊娠でも変化します。わかりやすく言うと、ギラギラした感じが消える。相手をゲットしたから、脳が油断するのではないでしょうか。

竹内
動物行動学の分野では「人間はなぜ閉経するのか」も大きな研究テーマです。というのも哺乳類のメスは生涯にわたって子を産み続けるのが普通ですから。ところが、人間とシャチ、ゾウなどの場合は生殖能力を失っても、その後、何十年と生きる。しかし、最近の研究で「おばあさん効果」と言って、自分が直接繁殖するよりも、孫の面倒を見る方が自分の遺伝子がよく残る。だから、あえて閉経するようになったと考えられています。

黒川
よくわかります。人類の子供は単独では育てられません。
孫ができてよくわかりましたが、両親、祖父・祖母の4人がいても、一人を育てるので精一杯。

竹内
夫婦だけで子育てをするのは、本当に大変です。

黒川
孫は自分の子供の時とは感覚が全く違います。息子が生まれた時は自分の体の一部みたいな感覚が強かった。もっと言えば自分の分身みたいなもの。ところが、孫にはその分身感が全くありません。一人の人間として、愛おしい。

竹内
孫は目に入れても痛くないと言いますけど、自分の子供だとそう単純ではなくて、愛憎半ばするような感覚が強いわけですね。
というのも、自分の子だと次の子を生む可能性がありますから、その可能性を視野に入れつつ、本能的に全力投球しないよう抑制してしまいます。それに対して祖父・祖母になったら次の子が生まれるかどうかは考えなくていいので、全力で孫を可愛がることができます。

不妊も繁殖戦略の一

竹内
『女女問題』には、
《すべての個体が子供を持つより、一部の個体が子供を持たない方が、人類全体が活性化する》
とありますが、同感です。人間界には不妊の人がとても多いですが、子ができにくい性質ですから、それに関わる遺伝子はとっくの昔に淘汰されても良い。ところが、びっくりするほどの確率で不妊の人が存在します。ということは、不妊も繁殖戦略の一断面であると考えざるをえません。

黒川
何か理由があるわけですね。

竹内
本人のパラドックスについて、イギリスの動物行動学研究家のロビン・ベイカーは次のような考察を巡らせています。
ある姉妹がいたとして、妹の方が不妊であったとしましょう。そして女一人の力が育て上げられる子の数を二人と仮定します。不妊の妹はいつまでたっても子ができないので、自然な流れとして、姉の子育てを手伝うようになります。そうすると、姉は本来2人の子を育てあげるはずが、妹の加勢によって、もう2人は産んでも大丈夫ということになる。
これだけでもすでに、姉も妹もそれぞれ二人ずつ後に育てるのと、実質的に同じ結果となります。遺伝子の次世代への継承と言う意味で同等です。もっともこれだけでは不妊の個体が驚くほど多く存在する理由としては説明が不十分です。不妊には、さらに重要な意味があるからこそ、こんなにも不妊の人が多い。
そこで先の姉妹ですけど、妹が姉の繁殖に加勢すると、別々の家庭でそれぞれ繁殖するよりも有利な点があります。共同で家事、育児をすることで作業の効率がとても良くなります。ご飯を作る場合、四人前を作るのも、八人前を作るのも、手間という点ではほとんど変わりません。姉、妹のどちらかが作っている間に他方は休んでいるか、他のことをしていてもいい。これが別々の家庭でご飯を作るとなると、どちらも同じように手間がかかります。

黒川
なるほど、効率性を重視しているわけですね。

無理矢理はダメ

竹内
だから、余裕も生まれます。その余裕によって姉はもう一人いけるかもしれません。つまり姉が5五人の子を産み、全員が育つ……。それは妹が不妊ではなくて、姉妹が別々の家庭で二人ずつ子を産んで育てるよりも、一族にとって繁栄することを意味します。
そして、ここが一番肝心ですが、不妊の妹が持っている、不妊に関わる遺伝子(それは一つとは限らず、複数あるだろう)が、姉を通して間接的に増えると言うことです。姉は不妊ではありませんが、妹とは二分の一の確率で遺伝子を共有しており、不妊に関する遺伝子もある程度持っているからです。
このようにして不妊の個体がいることで一族がかえって栄え、なおかつ不妊に関する遺伝子もしっかりと受け継がれるわけです。その個体だけ見ていると訳が分かりませんが、一族全体を見るとわかってくるというのが動物行動学の醍醐味であり、いろいろな問題がこのような視点から解決します。
昔から全ての人が直接自分の子供を持つわけではありません。「子供を持て」と、無理矢理強要されるのは動物行動学的に間違っています。

母性の恐ろしさ

黒川
考えてみると、人類の女性全員が子を産んだら、とても子育てまで手が回りません。出産・子育ては、女性にとって人生が一時期の全てを子供に捧げるわけです。
その一方で、あらゆる宗教が巫女さんや修道女など、子供を生まない女性の存在を担保しているのは、子供を持たない個体が一定程度存在している方が、健全だと判断しているからでしょう。私は、だから、女性たちの子供を持たない選択もまた、祝福されるべきだと思います。子供を持たないと女として価値がないなんて、とんでもない!
助産師会の講演に呼ばれることもありますが、必ずこの話をすることにしています。助産師さんの中には子供を持たずに働かれている方もいますから。講演のあと、何人もの助産師さんが控え室にいらして、
「私は助産師ですけど、不妊で、仲間や三浦さんから、子供を持っていないから痛みや辛さがわからないでしょうとよく言われます」
と、泣きながら話してくださることも。
私は、
「私自身、出産子育てや素晴らしい経験でしたから、産む方たちを、祝福しますが、一方で、自ら選んだにせよ、結果その他にせよ、女性たちの子供を持たないで生きる覚悟を祝福する」
と話します。

竹内
もう一つ付け加えると、子育ては女の群れの中でしますが、ある程度、血縁関係がなければ安心してできません。
血縁関係にあるから女同士の嫉妬も緩和されるわけです。それも子育ての知恵だと思います。

黒川
いやぁ、そういう意味でも、やっぱり母性の恐ろしさとともに、遺伝子を残そうとする本能は本当にすごい。

竹内
だから、動物行動学は永遠のテーマになるわけです。


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…またしてもトンデモさんのロビン・ベイカー登場。
トンデモさん同士は惹かれ合う。

まず「2人育てるも5人育てるも同じだからお得」つっても、まとめて育てると捕食者や感染症で一気に全滅するリスクもある訳で。

…という話は以前にも取り上げましたが…
怪しいのはソコだけではありません。
今回、竹内久美子は
『その個体だけ見ていると訳が分かりませんが、一族全体を見るとわかってくるというのが動物行動学の醍醐味であり、いろいろな問題がこのような視点から解決します』
と言っちゃってる訳ですが…

ええええ~?
それはむしろ動物行動学の常識に思いっきり逆らってますけどー!?
常識的に言えば、不妊や利他行動といった「個体にとって不利に思える行動」が進化するのは、「実は遺伝子レベルで見ると有利になる場合」。
「個体にとっては損だけど、一族全体にとっては得になる」といった説明はほぼ否定されています。

それが何故なのかは当ブログで何度も取り上げてきました。
とりあえず↓ココをお読み下さい。

『自民党議員、LGBTに「種の保存に背く。生物学の根幹にあらがう」→生物学、そんなこと言ってなかった』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/16495106.html

…そして竹内久美子自身も、こういった「種の保存に背く」という表現は間違いであるとあちこちに書いています。
一例を挙げると、『「浮気」を「不倫」と呼ぶな━━動物行動学で見る「日本型リベラル」考』P.117にはこうあります。


『ここで声を大にして言いたいのですが、「種の保存」などとよく言います。しかし、実は種というのは、保存しようと思って保存しているわけではありません。各々の個体が、ひたすら自分の遺伝子を残したいと思って行動しているだけです。その結果として、種が保存されているだけに過ぎない。』

…声を大にして言った割に、自分からその穴にハマりに行く謎ムーブ。
しかし竹内久美子はそれに気付かず、「自分はあくまで遺伝子ベースで語っている」と思ってる模様。

↓このあたりにそれが現れてますね。

『つまり姉が5五人の子を産み、全員が育つ……。それは妹が不妊ではなくて、姉妹が別々の家庭で二人ずつ子を産んで育てるよりも、一族にとって繁栄することを意味します。
そして、ここが一番肝心ですが、不妊の妹が持っている、不妊に関わる遺伝子(それは一つとは限らず、複数あるだろう)が、姉を通して間接的に増えると言うことです。姉は不妊ではありませんが、妹とは二分の一の確率で遺伝子を共有しており、不妊に関する遺伝子もある程度持っているからです。
このようにして不妊の個体がいることで一族がかえって栄え、なおかつ不妊に関する遺伝子もしっかりと受け継がれるわけです。』


ほほう…では遺伝子がどれくらい増えるのか計算してみましょう。
姉が2人の子を育てた場合、血縁度(遺伝子共有率)が0.5の子が2人いるので0.5×2で合計1です。
しかし5人育てれば0.5×5人で2.5…増えてます。
姉は得しますね。

しかし妹はどうでしょう?
妹ももともとは2人の子を育てる筈だったので、0.5×2で1。
それを失い、替わりに得たのは5人の甥・姪です。
しかし姉はもともと妹の援助なしで2人育てられるので、増加分は3人ですね。
甥・姪は姉妹より縁遠く、血縁度は半分の0.25しかありません。
なので、妹の増加分は0.25×3で0.75…
元の1より減ってんじゃねーか!
これでは肝心の妹に「不妊になって姉のヘルパーになる」という進化的動機がありません
じゃあダメじゃん。

竹内久美子はトンデモさんではありますが、進化論については一応の知識はある人…
の筈なんだけど、いきなり「変異」と「進化」の区別もあやふやだったり、急にダメまることがあります。

【悲報】竹内久美子さん、進化論の常識を理解していなかった
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14203609.html

しかし今回のやらかしはめちゃデカい。
進化論の基本すら理解してないとしか思えません。

『人間界には不妊の人がとても多いですが、子ができにくい性質ですから、それに関わる遺伝子はとっくの昔に淘汰されても良い。ところが、びっくりするほどの確率で不妊の人が存在します。ということは、不妊も繁殖戦略の一断面であると考えざるをえません』

というのも何だかな〜…
「ヒトの不妊率の高さがどの時代や地域でも成り立つヒューマン・ユニヴァーサルで、遺伝的基盤がある」というデータでもあるんでしょーか?

「現代社会は我々が進化してきたかつての環境(EEA:進化適応環境)とは大きく異なる、という点を無視して思い付きの進化的説明を与えちゃう」
という竹内久美子の悪いところまんちこちん。
先ほどの血縁度計算の元となった「包括適応度」概念の提唱者、ウィリアム・ハミルトンからして、近代医療が母体と胎児を救うという新しい環境下で自然選択が働きにくくなるリスクを指摘しています。

一方で黒川伊保子は…
この対談記事を見れば分かる通り、脳科学の知見とかほぼ使ってないですよね?
前回、指摘した通りです。
前半にあった「危険因子」の話とか、思いっきり個人的な経験や感覚を後付けでそれっぽく言い換えてるだけやん。


さらに勝手な推測でテキトーなこと言い垂れてるし。

マクリントック効果の件もそう。

もう一つ挙げると↓コレ。

『その一方で、あらゆる宗教が巫女さんや修道女など、子供を生まない女性の存在を担保しているのは、子供を持たない個体が一定程度存在している方が、健全だと判断しているからでしょう。私は、だから、女性たちの子供を持たない選択もまた、祝福されるべきだと思います。子供を持たないと女として価値がないなんて、とんでもない!』

…宗教家がしばしば子供を作ってはならないのは、性的快楽を卑俗なものと見做して宗教的法悦を上に置く偏見と、子育てにかかる時間や労力を布教に振り向けさせるためでしょう。
これは「そういった教義を持つ宗教と、持たない宗教のうち、どちらが広まりやすいか」というミーム進化の問題です。
こちらの解釈の方がはるかに進化論的だと思いますが。

ちなみに生物進化にも類似の例はあります。

例えば寄生性のフジツボであるフクロムシに寄生されたカニは繁殖能力を失います。
「寄生者による寄主去勢」というやつですね。
フクロムシから見ると、宿主であるカニの繁殖には何のメリットもありません。
それよりも繁殖に振り向ける栄養などの資源を体内に残し、それをちゅーちゅー吸う方がお得です。

でも一見すると、自分の子孫の寄生先として宿主の繁殖もある程度確保した方が良さそうにも思えますね。
しかし進化とは場当たり的かつ盲目的なもので、先の見通しなど持ちません
敢えてカニの繁殖力を残すフクロムシがいたとしても、宿主を去勢してしまうライバルのフクロムシの方が増殖しやすく有利になるため、強欲な方が謙虚な方を圧倒し、置き換わってしまいます。
子作り禁止ルールも同じで、宗教家に子孫を残させないタイプの「強欲な宗教」は「謙虚な宗教」を圧倒するでしょう。

ちなみにフクロムシに寄生された雄のカニは、腹部の俗に「フンドシ」と呼ばれる部分が雌の様に幅広になります。
そこからまるで自身の卵の様にフクロムシの生殖部をはみ出させ、さらにそこを丹念に掃除したり新鮮な水を送り込んだりして、我が子の様に世話までする…
つまり体も行動も雌化するのです。

擬人化すると

「メス堕ちした男の娘がより女性的な体つきに変化、子宮いっぱいの寄生虫で膨らんだお腹をうっとり顔でさすさすしながら妊娠苗床エンド」
な訳で、こらぁ薄い本が厚くなりそう。

それはともかく、宗教家が子作りしないのは黒川伊保子が言う様な理由とはとても思えません。
しかもそれを根拠に「子供を持たない選択」を支持するとは…
それって一見すると良い話ですが、結局のところ
「社会全体の生産性に寄与するならOK」
ってことでしかないですからね?
じゃあもし生産性がないことが判明したら、手のひらクルーってことやんけ!

子供を持つかどうかの選択を、生産性で計ること自体がナンセンスです。
大体、子供を持つ選択をする人も
「社会全体のために子供作ったろ!」
とか思って作らないでしょ普通。

「どうであるか」という事実の問題から「どうであるべきか」という価値観を導くことはできません。
「ヒュームの法則」違反(自然主義的誤謬)というやつです。
したがって「社会に寄与するか」という事実命題から「子供を持つべきか」という価値命題を引き出すこともできないのです。

ちなみに竹内久美子もLGBTを支持する振りしつつ「実は生産性があるからOK」的な主張をしてたり。
同じ轍を踏んどる。


いろいろ書きましたが、私も竹内久美子的な発想をすることはあります。
学生時代に
ジェンダーをテーマにした短編映画を撮ってこい
という何ともヘビーな課題が出たのですが…
クラスメイトの皆さんが社会派な作品を提出する中、私だけ
「自らは不妊だが、姉妹を支援することで自分の遺伝子を間接的に残していく、という進化戦略を採る女性たちがいた…」
という内容の作品を制作しました。
でもコレはあくまでフィクション、いわばSFですからね…
こんなんの実在をガチめに主張する人が出て来るなんて思ってなかったよ。


この手のモキュメンタリー(フェイク・ドキュメンタリー)、好きなのです。
ちなみに直近で観た映画は
『食人族 4Kリマスター無修正完全版』(R-18)。







(23:56)

この記事へのコメント

1. Posted by 秋本敏雄   2023年05月31日 16:16
性に開放的な女性が社会から非難される「性的ダブルスタンダード」は存在しないことが調査で判明したとの報告
https://gigazine.net/news/20230528-sexual-double-standard/

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