2025年02月
2025年02月26日
『大きな嘘とだまされたい人たち』という本を読みました。

(※書影は該当書より引用)
やけに読みやすいな、と思ったらヤングアダルト向きだそうで。
通りでルビが多い筈。
内容的には魔女狩りとか妖精写真とかアポロ計画陰謀論などの定番トンデモから、反ユダヤ主義、トランプ、Qアノンなどの政治的トンデモ物件、ロシア(&旧ソ連)、アメリカ、中国などあらゆる独裁国家をバッサバサ斬ってて痛快無比、痒みにムヒ(おじさん構文)。
痒いトコを掻きむしると痛みが痒みを上書きしてかき消してくれるのでキモチイイ。「痛快」とはよく言ったものです。
何の話でしたっけ?
そう、本書がオモロいという話でした。
話というのは、あらかじめ着地点が見えちゃってると退屈なもの。
「面白い」というのは、予想の斜め上に着地するコトなのではないかと思っています。
昔ネットのどこかで見かけたのですが、ある東大生は普通の人と話しても先が読めるのでつまらず、「不思議ちゃんしか愛せない」言うてましたー。
その点、本書は「え、そこに着地する!?」という驚愕の展開があって興味深い。
例えば私が大好きな宗教批判をしてるトコがあるのですが…
要約するとこんな感じ。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
進化論否定の一つに、「化石は悪魔が人間をだますために作ったんや」という説がある。
つまり
「悪魔説に意義を唱えるヤツは悪魔の手先」
ってコトや。
悪魔がいると信じて科学否定するって、ソレもう半分「悪魔信仰」やん。
そんな「何も証明しなくてOK」なのを認めちゃうと、何でもありの「嘘の文化」が爆誕してまうやろ。
トランプは支持者に「あなたたちは騙されてる」みたいなコト言うけど、ソレって「俺の話だけ聞いとけ」ってコトやんか。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
おおお、宗教批判からトランプ批判へ。
「進化論vsキリスト教」という科学vsオカルト話からソコ行くんや!?
でもトランプさんは反知性主義まっしぐらで言ってるコトが根拠レスなので、確かに両者は似たよーなモン。
本書はさらに意外な話も説きます。
これまた要約すると…まず途中まで。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
理性、科学、民主主義、平等主義、個人主義、政教分離…そういうのってぜんぶ啓蒙主義やねん。
そやけど、いまだに啓蒙主義を受け入れず、それらを拒否する人々がおる。
そういう反啓蒙主義を掲げるのは「特権的な独裁主義者」ばっかりや。
そいつらは恵まれない人々を取り込んで「啓蒙思想は間違ってる」という偏見を吹き込みよる。
そやけど偏見を押し付ける側は、押し付けられる側と違って金持ちの成功者が多いねんけどな!
そういうヤツらは知識の乏しい人だけをターゲットにするから、あんたが「うん、その話、ビタイチ分からん」思たら、あんたはターゲットやないかもな。
教養ある癖にやべー話を支持してるよーな奴は、誠意を疑うた方がええで。
やべー話をばら撒く政治家は自分ではその話を信じてへんやろ。損得だけで動いてるんかもな。
啓蒙思想は特権階級から権力を奪うから、そういう人らは拒絶しよる。
進化論や温暖化やワクチンを否定するのも啓蒙思想の拒否や。
まぁ科学は宗教から力を奪うからな!
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
ええ…コレ本当にヤングアダルト向けか!?
切れ味が良すぎる。
いや、若者にこそこういう知識が必要か。
で、この話がどこに着地するのかというと…
唐突にイルミナティ。
そう、陰謀論に必ず登場する悪の組織の親玉です。

(※画像は https://livedoor.blogimg.jp/kinisoku/imgs/d/3/d33aaeea.jpg より引用)
どういう話かというと…
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
陰謀論にイルミナティは付きもんや。
なんや悪の巣窟みたいに言われてるやろ。
でも元ネタのバイエルン啓明結社(※ルビ:イルミナティ)って啓蒙思想を広めようと18世紀に作られた組織やで?
しかもたった9年でお取りつぶしになって、今はもうあらへん。
会員数もせいぜい数百人、最盛期でようやく2500人くらいや。
でも消滅してからも聖職者が「新興国アメリカは団結してイルミナティから国を守らな!」言うたりした。
そもそもアメリカ自体が啓蒙思想によって誕生したのにけったいな話やでほんま。
◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯◯
…という訳で、
「実はイルミナティは科学や理性や民主主義を重んじる啓蒙主義団体。そのせいで特権的な独裁主義者に嫌われ、陰謀論によって悪の組織扱いされてた」
というコトの模様。
とっくに消滅してるのに「今も絶賛暗躍中」扱いとか、杉田水脈の「コミンテルンガー!」かよ。

(※画像は https://youtube.com/watch?v=s5w1ibuDQ8Yより引用)
【斗比主閲子の姑日記】
『「男女平等はコミンテルンが仕掛けてきた世論操作」と信じてる杉田水脈さんを政府の要職に付けるのは、ヤバくない?』
https://topisyu.hatenablog.com/entry/2022/08/21/073000
そしてイルミナティ、科学や理性ファーストを打ち出して権力者の不興を買うとか、ほぼ学術会議やん。
学術会議、そら理性的に「特権的な独裁主義者」を批判したら嫌われるわ。具体的には菅首相(当時)。
当ブログは従来から繰り返し↓こう書いてきました。
「民主主義や人権はそもそもが左翼的言説。
保守はそういうのに興味が薄い癖に、都合次第でそれらを持ち出す。
例えば『ウィグルの人権ガー』とか。
でも使い慣れていないので何かと勘違いしがち。
例えば『選挙で決まったことを批判するのは民主主義に反する』『デモはテロ』『ネトウヨ呼ばわり・米軍基地批判・政権批判はヘイトスピーチ』など。
そんな訳ないやん。
あとリベラルは昔から学者や教職などインテリに多い。
一方、保守は反知性主義と親和性が高く、平均IQが低い傾向にある。
そして低知能な人々は単純化された考えに惹きつけられ、保守化するという研究があったり。
例えば保守は『自己責任』、つまり『ソイツだけが悪い』といったシンプルな考え方を好む。
対してリベラルは『環境や生育歴など、あらゆることを勘案すべき』と、複雑な世界を複雑なまま受け入れる。
しかしこれには進化的な理由がある。
ヒトが進化してきた環境では、敵に襲われるなど緊急時にじっくり綿密に考えていてはその間に命を落とす。
そういう時はヒューリスティックな思考の近道によってざっくり大体の答だけ分かれば充分。
つまり巧緻より拙速が優先された。
なので我々には石器時代のその粗い思考パターンが残っている。
それを克服するには理性や知識が必要」
本書の上記の話もコレと親和性があり、整合的です。
しかし「なぜイルミナティが陰謀論に必ず登場する大常連なのか」は考えたことがなかった…!
コレには膝ボンゴを猛連打。
完全に新しい知見や視点という訳ではなくても、補助線の引き方が秀逸で、いろんなものがもの凄い解像度ではっきりクッキリ見えてくるー!
さて、リベラルは啓蒙主義準拠ですが、一方、保守が代わりに持ち出すモノはと言うと…
「宗教と伝統」くらいですよね。どっちも根拠レス。
「宗教」は政治の基盤にすべきものではなく、むしろ絶対あかんやつ。
そもそも存在もしない神を何故そんなに重視するのか…?
いいオトナがいつまでもイマジナリー・フレンドと遊ぶのは滑稽でみっともないですよ?
そして「伝統を大事にする」というのは要するに「これまでやってきたことを今後もやる」というコトですよね?
「やってきたからやる」というのは同語反復に過ぎず、根拠になりえません。
伝統がそんなに良いものだと言うならば、どの辺が良いのか別途説明が必要です。
ここでいつも通り脱線しておくと…
根拠レスなのに「伝統だから今まで通りで良し!」で通す保守派が、こと政策となると急に野党に「対案を出せ!」と言い出し、「今まで通りで良し」を認めなくなるのが意味不明。
新しい政策案に反対する場合、「もっと良さげな別の妙案を提出する」必要などありません。
「新政策案は現行の政策を改悪するものでしかない、よって政策はこれまで通りで良し」
というのも立派な対案やろが。
リベラル系お笑い劇団『笑の内閣』に「対案」という30秒くらいのショートネタがあるのですが…
おおむね↓こんなの。
男「オッパイ揉みたいよ〜…オッパイを揉ませろー!」
女「絶対イヤよ!」
男「だったら対案を出せ!」
ほんとコレ。
話を戻しまして。
啓蒙主義は社会に広く受け入れられ、とっくの昔に法や社会生活の基盤となっています。
なので全ての保守派が啓蒙主義を完全拒否している訳ではありません。
むしろまともな保守なら、人権や民主主義を(少なくとも表面的には)守るべきだと考えるでしょう。
また、リベラルが常に正しい訳でもありません。
リベラルの中にも他者の人権を踏みにじる人や科学的思考ができない人はいくらでもいるでしょう。
しかし、啓蒙主義を拒否する人は通常は保守であり、逆に積極的に受け入れてきたのはリベラルだというのも確かなことです。
真に理性的で科学的な、人権思想と民主主義の守り手…そんな人がいるとすれば、それはリベラルが輩出するであろうことは想像に難くありません。
そして科学の良い点は自己修正機能です。
本書は素晴らしい内容でしたが、話題があまりに多岐に渡るため、「ん?」と思う箇所もいくつか。
間違いは間違いとして指摘しておきます。
p.45
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また、ドル紙幣に印刷されている「頂点に目が描かれた謎のピラミッド」は、フリーメーソンのシンボルだと考えられている。謎のピラミッドについては、現時点で他の説はない。
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アレは「プロビデンスの目」という図像で、普通にキリスト教のシンボルやで。
【Wikipedia】
『プロビデンスの目』
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/プロビデンスの目
p.75
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進化論は現在に至るまで一部のキリスト教徒の反感を買っているが、ダーウィン自身は進化論の構想を練っていた頃、英国国教会の聖職者を目指していた。
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ダーウィンは若かりし頃、医師になるためにエディンバラ大学に進むも麻酔発明以前の時代だったため、患者に麻酔なしで手術することに耐えられず挫折。
牧師になるためにケンブリッジ大学に行き卒業。
その後ビーグル号の航海に参加。
帰国後は功績を認められて科学者たちの集まりに仲間入りを果たしています。
進化論の構想を練り始めるのはその後で、その頃にはもう聖職者は目指してなかったやろ。
p.80
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効果的な戦略を持つ種は生き残って進化するが、そうでない種は絶滅する。現在の生物は、この生き残りをかけた戦いに勝ち抜いた種のみ━━ダーウィンの進化論をざっくり説明するとそうなる。生き残るか、絶滅するか。それは自然選択で決まる。すなわち、最適な戦略を持つ種は、生き残って繁殖する可能性が一番高い。
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…完全に間違っている、とまでは言いませんが、微妙に「種」を強調しすぎでは。
生き残るのは個体(遺伝子)です。
まぁ個体が生き残ることによって結果的に種も生き残りますが、それはメインじゃないというか副産物。
例えばキムタクが登山中に行方不明になって2週間後に自力下山してきたら「キムタク奇跡の生還」と報じられるでしょうが、わざわざ「木村家奇跡の存続」とは言わないですよね。
ただし進化するのは個体ではなく、種などの集団です。個体は進化しません(ポケモンとFSSのドラゴンを除く)。
進化とは「遺伝子頻度の変化」のこと。
そして遺伝子頻度は個体ではなく集団の持つ性質なので〜。
あと「種の保存」という概念は完全に間違っているのに、いまだにちょいちょい使われてたり。
https://wsogmm.livedoor.blog/archives/16495106.html
じゅう「種」を持ち出しちゃうとコレを想起させて混同につながるので、やめといた方が適切。
例えばWikipedia「進化」の項の概要は↓こんな感じ。
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生物個体群の性質が、世代を経るにつれて変化する現象である[2][1]。また、その背景にある遺伝的変化を重視し、個体群内の遺伝子頻度の変化として定義されることもある[3][4]。この定義により、成長や変態のような個体の発生上の変化は進化に含まれない[1][2]。
狭義に、種以上のレベルでの変化のみを進化とみなすこともあるが、一般的ではない[3]
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…見事に「種」抜きで説明してますね。
あと「種選択」という概念もありまして、コレは種間の絶滅率の差によって起きる選択なのですが…
コイツは個体選択ではどうしても説明できない時以外、持ち出したらあかんやつ。
例えば有性生殖(みんな大好きセックスのことです)が存在する理由を説明するのに、有性生殖する種と無性生殖する種の絶滅率の差で説明する向きもあったり。
しかし仮に有性生殖の存在が種選択によって説明されるとしても、それは「有性生殖で行こう!」というばっくりとした方向性を決めてるだけで、実際に詳細を決めてるのは普通に個体選択(より正確には遺伝子選択)です。
p.143
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イギリスは一九一七年まで、こういったドイツ人にまつわる嘘を大量にばらまいた。ドイツ人による死体工場の噂は、一九二五年に嘘だと暴かれ、イギリスの武官が捏造を認めるまで消えなかった。
だが第二次世界大戦では、ドイツ兵は間違いなく女性と子供を虐待し、無数の市民を殺害し、死体からランプの傘と石鹸を作り、おぞましい人体実験をし、他にも数々の残虐行為に及んだ。
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あ、人間石鹸の話はデマみたいですよ?
試験的に作った例はある様ですが。
【Wikipedia】
『人間石鹸』
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/人間石鹸
【note】
『ナチスの縮んだ頭、人皮のランプシェード、人体から作った石鹸、人毛の織物? 伝説から真実を見極める(1)』
https://note.com/ms2400/n/nb64046089b35
…よかった、石鹸にされた子供はいなかったんだ。
(とはいえ虐殺行為はNO)
この文章はかつてドイツについて
「ドイツ兵が難民の赤ん坊の両腕を切断」
「死体からダイナマイトの原料となる物質を抽出」
「ドイツ人は武器弾薬を作るために戦死者を煮詰めている」
といった数々のデマが流れた、という話の締めくくり部分なのですが…デマを否定しながら別のデマを認めちゃうのは大変マズい。
しかしあちゃらの歴史修正主義者はコレを
「人間石鹸はデマだから、他のもデマ」
「人間石鹸を信じてる様な奴の主張は聞くに値しない」
といった形で利用しようとするので要注意。
このデマを否定することは、ソレを防止する役にも立ちます。
まぁそれ以前にデマの時点でダメ、絶対。
デマなんぞに頼らんでも、ナチスは人類史上最大のツッコミどころの宝庫やで?
なお、たしか中学生の時に読んだ小説『定吉七番は丁稚の番号』の解説ページに
「バラの泡立ち お肌の香り 人間石鹸、良い石鹸」
という大不謹慎ソングが載っていて、読んで白目になりました。
ちなみに日本でも同様のケースが。
日本兵が良かれと思って捕虜にゴボウを食べさせたところ、戦後に「木の根を食べさせられた」と訴えられ有罪になった…という有名な話はデマの様です。
【Wikipedia】
『ゴボウ#太平洋戦争時の捕虜虐待とゴボウ』
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/ゴボウ#太平洋戦争時の捕虜虐待とゴボウ
【Apeman’s diary】
『「ごぼうを捕虜に食べさせて有罪になったB級戦犯」は都市伝説?』
https://apeman.hatenablog.com/entry/20060828/p1
『はだしのゲン』にも出てくるので、小学生の頃から信じてたー!
それはそれとして、実家に普通に『はだしのゲン』があるご家庭ってどうなのよ? と思わないでもありません。
まぁウチの親は平和教育が行き届きすぎて、私が小学生だった頃、クリスマスプレゼントに『広島・長崎ー原子爆弾の記録』という写真集をくれるという狂気のチョイスをしてきましたからね。
1万円くらいした模様。
「アトミック・ボム ヒロシマ・プレゼント プリーズ」
「オ、ナイスデザイン」
みたいな会話があったかは覚えてません。
p.192
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ちなみに人類初の月面歩行をした宇宙飛行士のバズ・オルドリンは「アポロ11号の宇宙飛行士は嘘だ」と言った相手を殴ったことがある━━と言われているが、この話も嘘かもしれない。
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いやそれ実話やし。
Wikipedia「バズ・オルドリン」の項には↓こうあります。
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シブレル事件
→「アポロ計画陰謀論」も参照
シブレル事件とは、「アポロ11号の月面着陸は捏造だ」と主張する陰謀論者で映像監督のバート・シブレル(英語版)が、2002年9月オルドリンをビバリーヒルズのホテルで待ち伏せして突撃インタビューを試みたところ、オルドリンから暴行を加えられたと主張する事件である。
これに対してオルドリンの弁護士は、シブレルはオルドリンをしつこく追いかけまわして「聖書に手を置いて『月に行ったことは事実だ』と誓ってみろ」と強要したうえで、「行ってもいないところについて、インタビューや著作で報酬を得るのは詐欺・窃盗行為だ」と詰め寄ったと主張。さらに柱を背にして立つオルドリンの面前に迫って聖書を片手で振り上げながら「嘘つき!卑怯者!」と罵声を浴びせかけられるに及んで、さすがのオルドリンもたまらずシブレルの顎に拳を一発食らわせ、彼がひるんだ隙にその場から逃れて警察を呼んだのだという。
その一部始終が複数のビデオに録画されており、事情聴取の後にそれらの映像を検証したロサンゼルス市警察は、シブレルが度を超えた挑発行為を執拗に繰り返したことは明らかだとし、逆にオルドリンには罪を問わなかったばかりか一切の非をも認めなかった。
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動画もあるよ。
【YouTube】
『オルドリンパンチ』
https://m.youtube.com/watch?v=UNKujnayJ-o
【ニコニコ動画】
『アポロ捏造論者オルドリンに殴られる(シブレル事件)long ver』
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm17611684
p.200
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一九三八年には、ラジオドラマが全米にパニックを引き起こした。俳優オーソン・ウェルズ(一九一五〜一九八五)が『マーキュリー放送劇場』という番組で流した、H・G・ウェルズ(一八六六〜一九四六)のSF小説『宇宙戦争』(一八九八年刊)が原作のラジオドラマだ。このドラマはあまりに真に迫っていたため、全米の国民が「火星人による地球侵略」を信じて、大パニックを起こしてしまった。
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コレは割とデマ。
【Wikipedia】
『宇宙戦争(ラジオ)』
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/宇宙戦争_(ラジオ)
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オーソン・ウェルズは売名目的で人々をわざとパニクらせるための様々な工夫をしていた。
そしてそれなりのパニックが起きたのは事実。
しかしソレを研究した心理学者も功名心でパニックの規模を盛ってた。
また人々は必ずしもコロリと騙された訳ではなく、自力で「こらぁちゃうな」と気付いた人々もちゃんといた。
ラジオ局や警察などに電話が殺到したのもパニックの証拠というより、人々が冷静に情報収集をしてから判断しようとしていたからだ、と読み解ける
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といったトコ。
Wikipediaの記述よりやや「パニックはあった」側に比重を置いています。
いずれにせよ、本書の記述は「伝説」に偏りすぎ。
という訳で今回はコレにて終了。
しかし本書はココでは紹介していない面白エピソード満載なので、機会があれば是非。
最後に、本書の要約部分が「ブログ主の超訳ではないのか」と思われてもアレなので、該当部分の原文を引用しておきます。
こちらの太字部分は原文ママ。
p.81
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この明白な証拠に対し、宗教家はいろいろ反応するが、その1つに「化石は、人間を惑わすために悪魔が地中に置いたもの」という説がある。この説に従うと、「悪魔説に異議を唱えるものは、悪魔の手先」と言うことになる。ここまでくると、知識を阻むのは神への信仰ではなく、悪魔への信仰となってしまう。
この手の反論は、デマゴーグ (民衆を先導する政治家)や陰謀論者に活躍の場を与え、もはや事実など関係ない嘘の文化を生んでしまう。一切証明しなくて良いのなら、まさに何でもありだ。
例えばドナルド・トランプは大統領時代、支持者に対し、「あなたたちが見たり聞いたり読んだりしている内容は、事実ではない」と語りかけた。それは、「支持者たちが聞いている事実は、支持者たちを騙すための嘘」でしかなく、「そんなもの=事実は無視して、私の話さえ聞いていればいい」という主張に他ならない。
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p.33〜
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『啓蒙思想と無知蒙昧 啓蒙思想と嘘と妄想』
啓蒙思想
ソーシャルメディアが爆発的に広まったせいで、嘘は新時代を迎えたらしい。嘘を広めるのは、間違いなく、より早く、より簡単になった。
しかし意外なことに、嘘そのものには変化がなく、独創性に欠ける昔ながらの嘘が多い。たとえば21世紀の現代は、保守派の政治家が嘘を利用し、社会の分断をあおっているが、同じ事は三〇〇年前にも起きていた。
啓蒙思想として知られる考え方は17世紀に定着し、個人主義と平等主義と理性を広め、現代でも持ちこたえている。
(中略)
科学者と啓蒙思想
科学は真実を明らかにする手段であり、自然現象や宇宙を解明するのは、宗教ではなく科学である━━という考え方も、啓蒙思想の根幹と言える。
(中略)
わざわざ言葉にする事はまずないが、我々は今も啓蒙思想を信じている。だがいっぽうで、驚くべきことに、いまだに啓蒙思想を敵視する人々もいる。
啓蒙主義と反啓蒙主義
昔から啓蒙思想には、賛成派と反対派が必ずいる。
科学や民主主義、平等の権利や社会正義(社会の常識から考えて正しい道理)や政教分離━━全て、アメリカ合衆国憲法が理想とする概念だ━━を信じるか、とたずねられたら、イエスと答える人が圧倒的に多いだろう。
しかしこういう理想に反対する、頑固な少数派の人々もいる。少数派は反対だと声を上げるだけでなく、ソーシャルメディアに投稿したり、他の媒体を使ったりして、啓蒙思想を名指しで声高に非難する。
(中略)
ロシア皇帝から現代のデマゴーグ(民衆を先導する政治家)に至るまで、反啓蒙主義者は「特権を有する独裁主義者」ばかりと言っていい。独裁主義者は、「労働組合や政党や社会集団に属していない人」「経済的に恵まれない人」「日々の暮らしに困っている人」「誰も自分の意見を代弁してくれないと思っている人」に目をつけ、自分の主張を信じ込ませ、支持者に取り込もうとする。
啓蒙思想から取り残された人々に、「啓蒙思想の前提が間違っている」と思い込ませ、偏見を抱かせるのは簡単だ。皮肉なことに、偏見を押し付ける側の人々は、押し付けられる側とは対照的に、金持ちで社会的に成功していることが多い。
陰謀論とデマゴーグ
自分の勢力拡大のチャンスを虎視眈々と狙うオポチュニスト(ご都合主義者)は二世紀にわたり、「社会的・経済的に圧迫され、政府に不満を持つ人々」に、「諸君を陥れる陰謀が目下進行中だ」などと、様々な陰謀論を吹き込んできた。
典型的な独裁者アドルフ・ヒトラーは、プロパガンダ(主義や思想の宣伝」について、ターゲットは「ほとんど教育を受けていない、知識が乏しい人々にするべきだ」とアドバイスし、著書『わが闘争』にこう記した━━「すべてのプロパガンダは大衆に受けが良くてはならず、メインターゲットとなる知的レベルの低い人々の理解力に合わせるべきだ」
もしデマゴーグの話を聞いて、意味がわからないと思ったら、あなたはターゲットになっていないと思った方が良い。
教養のある人がデマゴーグの嘘や歪んだ話を支持しているとしたら、その人の誠意を疑ったほうがいい。
過激な党首を支持する政治家の大部分は、党首の言い分など、まず信じていない。自分の思想や大口の資金提供者の機嫌を損ねるのが怖いのかもしれないし、自分の支持率が上がれば票や利益につながると信じているのかもしれない。デマゴーグの大演説が新聞の一面に取り上げられれば、「触れられたくない話題や隠したいことから、大衆の目をそらすことができる」と計算しているのかもしれない。
デマゴーグ自身、自分の言っていることを信じていなかったり、無関心でどうでもいいと思っていたりする可能性もある。
デマゴーグが信じているのは、「今日の自分に有利に働くことだけ」かもしれない。
啓蒙思想と特権階級
啓蒙思想は特権階級から権力を奪うことにつながるので、特権階級や貴族社会を信奉する人々は反対した。アメリカ独立戦争当時、イギリスへの忠誠を続けた人々や、フランス革命当時、フランス王家のブルボン家を支持した人々は、当然ながら啓蒙思想拒絶した。
民主主義は不公平で機能しない、と主張する政治家は、啓蒙思想を拒否している。そういう政治家は、民主主義をむしばむ目的で選挙制度に疑問を呈した反啓蒙主義のリーダーたちと、同じことをしている。
啓蒙思想は、科学が━━宗教家に基づく憶測ではなく、立証できて検証もできる知識が━━宇宙の真理をひもとく鍵だ、と主張することで、宗教的な権力者たちの力をも弱めた。
科学を否定する人は━━ダーウィンの進化論や、炭素排出量が気候に悪影響を与えていると言う事実や、既に証明されているワクチンの効果を否定する人はーー啓蒙思想を拒否していることになる。
イルミナティ
「イルミナティと呼ばれるエリート集団が策略を巡らせ、啓蒙思想世間に広めようとしている」という嘘は二五〇年ほど前から存在するが、現代ほど広まっている時代はおそらくないだろう。
イルミナティのフェイスブックは三四〇万件の「いいね!」を獲得し、イルミナティによる陰謀論はユーチューブにあふれている。
実際、過去にバイエルン啓明結社(※ルビ:イルミナティ〈以下も同様〉)という秘密結社は存在していたが、会員については現在もわかっていない。証拠はないが、ゲーテは会員だったと考えられている。このイルミナティの目的は、(真の意味での)啓蒙思想を広めることで、一七七六年から一七八五年までしか存在しなかった。
にもかかわらず、イルミナティに対する恐怖と非難は、結社そのものよりも長く続いている。
バイエルン啓明結社の創設者アダム・ヴァイスハウプト(一七四八〜一八三〇)はドイツの法律学の教授で、啓蒙思想の正当性を強く信じていた。
会員は最盛期には二五〇〇名に達したこともあるようだが、活動期間の大半は数百人にとどまっている。一七八五年、バイエルン選帝侯が秘密結社を禁止したため、バイエルン啓明結社も抑圧されて、解散した。
しかしその直後から、陰謀論者たちは「秘密結社のイルミナティが密かに活動を続け、一大勢力になっている」と主張し始めた。陰謀論者の語るイルミナティはフランス革命の仕掛け人とされ、啓蒙思想家というだけで、第三代アメリカ大統領トーマス・ジェファソン(在一八〇一〜一八〇九)はイルミナティの会員だと非難された。一七九八年にはボストンの聖職者ジェディディア・モールス(一七六一〜一八二六)が「新興国のアメリカは団結して、イルミナティから国を守らなければならない」という内容の警告を発している。
アメリカという国そのものが(真の意味での)啓蒙思想によって誕生したことを思うと、なんとも奇妙な主張だ。
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(※引用部分の色による強調はブログ主によるもの)
(00:10)
2025年02月20日
現在、Xで↓コレがバズり中。


ちなみに「バズ」はもともとは蜂などの羽ばたき音のことで、「うるさい」くらいの意味です。
例えば「バズワード」は本来「拡散してる言葉」ではなく「意味のない言葉だよ」的なニュアンスでした。
これもう半分そっちの意味やろ。
↓こんなのも。


関西の知の巨人・ほんこんさんも。

なんか「左翼デモのプラカードは誤字だらけ」と言いたい模様。
しかし3年前には↓こういう意見も。


あと私のスマホに↓こんなん保存されてましたー。

普通の日本人さんたち、日本語が不自由なご様子。
今回はついでに同様にスマホの奥底に眠っていた、ネトウヨさんのやらかし画像を大放出。
俺のウヨちゃんフォルダが火を吹くぜ!
↓ゲバ字を「日本で使用されない漢字」だと騒ぎ立てるネトウヨさん。

2015年、安保法案(その後法制化)に反対する人々が国会前に詰めかけたのですが…
その人数が主催者発表で12万人。
それに対し「そんなにいた訳がない」とウヨちゃん大発狂。

「捏造画像で人数が水増しされてる」と言い出し、検証してる人がいましたが、普通にコラでした。


さらに国会前の人が入れる部分の面積を計算し、「最大キャパは約4万人」とする人が登場。

↑しかし1人あたりの専有面積が1平方メートルという無茶な設定で大爆笑。

↑こちらに至っては1人あたり2平方メートルで計算。
ほぼカプセルホテルなみのサイズ。
めちゃゆったり眠れますやん。スヤァ…
※これらの画像はソースを明示することが当たり前になる以前の時代に保存されたもののため、出典が不明です。
ご存じの方はご教授いただければ幸いです。
拾った場所はおそらくmixi。
(※画像は特記がなければXより引用)
(00:09)
2025年02月17日
Xで↓こんなん発見。




↑「俺の画像晒すなよ!」言いつつ「お前晒したるからな!」と脅す矛盾した石井孝明。
撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけやで。
↑この川口蕨ノーヘイトスタンディングに石井孝明が現れた件は↓こんな証言が。


そしていつも通りの大人気ないポスト。


『どうでもいいが』と矮小化。
石井孝明って『どうでもいいが』をやたら連発するよね…と思ってX内を「石井孝明 どうでもいいが」で検索してみたら、めがっさ出てきました。









どうやら都合が悪くなって「コレ何とか無かったコトにできひんかな」と思った時に「どうでもいいが」が出る模様。
虚勢を張りつつ矮小化を図り、話もそらせて一石三鳥。
しかしどうでもいい割にスゲー気にして言及するやん?
そんなにどうでもいいなら触れなきゃいいのに、わざわざ必死でアピールしてはる〜。刺さってる刺さってる。
まぁ「いかに興味ないか」を熱心に言い立てるのはネトウヨさんの得意技↓ですけどね。
【なんJ政治ネタまとめ】
『ネトウヨ 「#検察庁方改正案に興味ありません」←興味ないのに何故わざわざ呟く?』
https://j-seiji.blog.jp/archives/6381204.html
話を戻して、この浅原裕久はフリーの編集者。

それを『この浅原裕久という無名の編集者、無職のようだが』と言うなら、自称ジャーナリストの石井孝明かて似たよーなモンやろ。
ちなみにAmazonで両者の名前を検索すると、現時点で出してる本は一冊ずつ…完全に同レベルやんけ。


そして↓反撃を喰らう石井孝明。


↑この徹という人とのやりとりはどういう流れであった発言かというと…
↓こんな。


↓

「左の方が金がある」というのはネトウヨさんによくある妄想。
権力に擦り寄る右の方が金になるに決まってるやろ。
ではネトウヨさんは左の資金源をどう考えてるのかというと…
◉「中韓やどっかの政党から資金が出てる」
◉「利権を握ってる」
◉「公金チューチュー」
大体このあたりに集約されます。
しかしこれらはいずれも何も立証されていない陰謀論。
むしろ立証された例はことごとく「やってたのはむしろ右だった」という壮絶なオチ。
あと石井孝明はいつも相手を「暇」だの「無職」だのと根拠レスに決めつけてきますが…
今回も勝手に『貧乏』認定したり、『独居老人らしい』とソースも挙げずに言い出したり、いつも通りtooフリーダム。
さらに『ダサいじいさん』とか小学生レベルの煽りやん。自分から魂年齢の低さを積極的にアピールしていく斬新なスタイル。
「ダサい」は主観に過ぎないので、いつでも誰にでも貼り付けられる便利なレッテル。
根拠が何もいらないので、石井孝明向けではあります。
しかしその分、相手に与えるダメージも低め。
そりゃ誰も「ダサい」なんていうLv.1の悪口がグサっと刺さったりはしないでしょ。
自称とはいえ、ジャーナリストという言葉のプロの端くれなら、「お前の母ちゃんデベソ」レベルの素人っぽいやつじゃなくて、キレッキレの皮肉とか使ってみせればいいのに。
かと思えば
『話す機会を与えてやるよ20万人のフォロワー向けに』
と倒置法まで使ってのフォロワー数マウント。
「ネットに晒したるからな! 言うとくけど俺ネットでは有名人やぞ!」とか持ち出しちゃうとめちゃカッコ悪くなるやつや。
『痛くて頭と心の幼い中年』とも言ってたけど、コレって「トンデモさんは自分に当て嵌まる言葉で相手を批判する」の法則大発動ですよな。
ん…?
石井孝明、↑ココで『私はボランティアで #埼玉クルド人問題 を取材し』って書いてるやん。
つまりプロフェッショナルとしてギャラを貰って取材したのではなく、石井孝明風に言うなら、『無職』が『暇』にあかせてうろついてただけってコトですよね?
(00:06)
2025年02月15日
2025年02月12日
Xで↓こんなん発見。
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プロフィールは↓こんな。
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(※画像はXより引用)
(00:04)