2023年06月

2023年06月29日


素晴らしい調査力に毎回舌を巻かされる反ウヨ系サイト『電脳塵芥』に先日、↓こんな興味深い記事が出ました。


【電脳塵芥】
『護国神社で慰霊のためにストリップを行い、遺族会が宮司に抗議した際に放った宮司の逸話は細部で過ちが多いと思う』
https://nou-yunyun.hatenablog.com/entry/2023/06/11/210000


要約すると…

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護国神社が慰霊のためにストリップを行い、遺族会が宮司に抗議するも、宮司は
「女も知らずに戦死した若い兵士にストリップ見せるのは最大の慰霊だろうが!」
と一喝…
という話が右派の間で「イイ話」としてバズっている。

しかし調べるとこの話、元々は右派界隈では
「英霊に失礼やろが!」
と受け止められていた話に尾鰭がついて、逆方向の「イイ話」となった模様。
そもそも「慰霊のためのストリップ」でもなく、「地域交流イベントで披露されたダンス」らしい。

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…といったところ。
『電脳塵芥』の記事には「英霊に失礼」とか言ってた当時の右派の様子がリンクされています。
↓コレ。

【Togetter】
『茨城県護国神社のお花見ライブパフォーマンスに激怒する愛国者さんたち』
https://togetter.com/li/810374


そこにはこんなコメントがあったりしますが…


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でもその護国神社で行われたダンスって、こんなんやで?



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裸に金粉。
…これ暗黒舞踏じゃね?




暗黒舞踏は日本発の前衛芸術です。
典型的なイメージだと男子は全員スキンヘッド、女子は眉剃り、半裸に全身白塗りで「あやしいおどり」を踊る、おもくそアングラなやつ。

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前衛と言っても日本の伝統芸能や土着への回帰を強く志向しており、海外から評価されてたり。
「白塗りって…金粉ちゃうやんけ!」
と思うかもしれませんが、暗黒舞踏の人たちはキャバレー等で金粉ショーをやってお金を稼いでいたので、金粉とは親和性があるのですね。

暗黒舞踏の創始者は土方巽。
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その門下に「劇団唐組」の唐十郎や「大駱駝艦」の麿赤兒がいます。
唐十郎はアングラ演劇の始祖で、大鶴義丹のパパ
一時は三田佳子のダメ息子の身元引き受け人になり、劇団員としてデビューさせたりしてました。
唐組や大駱駝艦の舞台は時どきNHKあたりで放送されてますね。観たことはありませんが。

第2世代の団体として「山海塾」や「白虎社」(すでに解散)などがあります。
山海塾は85年にビルから宙吊りになるパフォーマンスを行い、ロープが切れて落下するという死亡事故を起こして話題になりました。
この辺はWikipediaにも軒並み載ってるので興味のある方は調べてみて下さい。

護国神社で舞踏を披露した『ささらほうさら』という団体はWikipediaに単独の項はありませんが、「暗黒舞踏」や「金粉ショー」の項にチラッと名前が出てきます。
「ささらほうさら」という言葉は聞き慣れませんが、「支離滅裂」「踏んだり蹴ったり」という意味の、長野・山梨・静岡あたりの方言の様です。

この様に「どこぞの国」どころか、どこを取ってもザ・ジャポニズム。



暗黒舞踏は漫画にも登場します。

桜玉吉の初期作『しあわせのかたち』には連載内連載として『ラブラブROUTE21』という暗黒舞踏漫画が載っていました。
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(画像は『しあわせのかたち』より引用)

しかも後に映画化。



あと大量のネトウヨさんを生み出した震源地である『ゴーマニズム宣言』…
まだ小林よしのりがリベラルだった頃の初期回に、白虎社の人と話す回があったよーな。



そして1990年に連載が開始された『天使派リョウ』
後半では主人公のリョウはどんどん出番が少なくなり、加代という女性に焦点が移っていきます。
加代はブッとんでてパワフルなキャラ。
見た目にも性格にも難のあるトキエという女性を叩き直すため、金粉ショーのドサ回り旅に出したりします。
金粉ショーの相方は眉なしスキンヘッドのダンサー男性
そして最終話、加代が若い頃に「舞踏神」と崇める舞踏家に出逢い、その世界に飛び込んでみるも、舞踏神と自分のあまりの表現力の差にコンプレックスを焦げ付かせてみたり、セックス塗れの生活を送ったり…といった過去が漠然とではありますが語られます。
描かれた「舞踏神」の姿はどう見ても土方巽

原作者の狩撫麻礼は影響を受けた人物として土方巽の名を挙げており、自身も「土門巽」のペンネームを使用したことがある模様。



さらに土方巽は映画にも登場。
成人映画『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』(1969年)がソレ。

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この映画は『日本カルト映画全集』というシリーズ本の1冊目のテーマにも選ばれており、間違いなく邦画のカルト映画ナンバーワン。

内容的には
「手に水かきのある奇形人間である土方巽が同胞を集め、奇形人間の王国を作る」
というもの。
この時点で現在では製作不能ですね。
奇形人間というのも「人工的に作られたシャム双生児」とか、睾丸が人頭大に巨大化した「大金玉人」とか、何かとアレ。え、象皮病とかではなく?

しかしこの映画、製作サイドの意図とは別のところでめちゃめちゃ面白いのです。
ちなみに「と学会」によれば「トンデモ本」の定義は著者の意図とは異なる楽しみ方ができる」なので、この映画は立派なトンデモ物件。
90年代にはたまにレイトショーでかかっていたのですが、毎回ラストシーンは観客が一体となって大爆笑&拍手の嵐。
私は劇場で3回観ました。
二度と会うことがないであろう名も知らぬ観客たちとほんの束の間、笑いまくった一体感は終生忘れることはないでしょう。

さらにその後、行きつけの理容室の店主から「恐怖奇形人間の裏ビデオ手に入ったんですけど要ります?」と持ちかけられたり。

この様に本作は一部で大人気だったため、2000年代に逆輸入版DVDが発売された時、大阪ではオタショップ「ジャングル」(秋葉原ラジオ会館にも店舗があるよ)が最寄りの地下鉄駅内に「怪奇奇形人間DVD入荷!」のポスターを貼り出すほどのポピュラリティーを獲得。勿論入手。
その後、2010年代には国内版も発売された様です。

あとこの映画、原作は江戸川乱歩の『パノラマ島奇談』ということになっていますが、実際には『孤島の鬼』の要素が強め。
「江戸川乱歩全集」と名乗るだけあって、『屋根裏の散歩者』『人間椅子』の要素もちょろり。



そんなこんなで暗黒舞踏、確かにマイナーな存在ではあるので知らない人がいるのは仕方がありませんが、結構な人数が集まってるのに世界的に有名な日本の独自文化を誰も知らないというのはさすがに理解しかねます。
ネトウヨさんには集合知とか無縁なんでしょうか?



あとそもそも神道ってエロと関係が深かったですよね。
Wikipedia『神聖娼婦』の項には↓こうあります。

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鎌倉時代には巫女を養っていた多くの神社や寺院が破綻し、生活の糧を求めて旅に出る巫女が現れ「歩き巫女」と呼ばれるようになった。巫女は主に宗教的なサービスを提供していたが、売春とも広く関係していた[7]。しかし巫女が売春をする宗教的な理由は知られておらず、神聖な売春とは無関係である可能性がある。
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歌舞伎の源流である出雲阿国も巫女とされてますが、「ややこ踊り」というエロティックな踊りを披露していました。
さらに遊女でもあったという説もあります。



あとだからどうだという訳ではないのですが、この『ささらほうさら』が出演したイベント、タイトルが『花見でボノボ』なんですよね…
ボノボはピグミーチンパンジーとも呼ばれ、チンパンジーと並んでヒトに最も近縁な動物。
性的な行為を行うことで緊張を緩和し、平和裡に生きることで知られます。
それらの行為は異性間・同性間・母子間でも行われるというフリーダムっぷり。
最初っから性的な要素まんちこちんだったんだな〜…。











【余談】

「イイ話」としてバズったのは以下のツイート。

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…で、それに続けてこんなつぶやきが。



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 『宮司が凄いのは確かだが、神道のおおらかさの一つのエピソードだとは個人的に思った』
   ↓
…こういうのよく見るけど、神道ってウリが「ゆるさ」しかないんですかね?



『護国神社に絡んだ宣伝  岐阜護国神社内に「青年日本の史料館」という、五・一五事件で犬養首相を暗殺した三上卓中尉を始め、昭和維新運動に挺身した先人の展示を行ってる史料館があります。とても良い展示ですので、興味のある方は是非』

   ↓
あれ?
右の人ってよく「日本にテロリストを英雄視する文化はない」みたいなこと言ってませんでしたっけ?





(00:03)

2023年06月09日


ネットの片隅で話題になったものの、反ウヨ系サイトにまとめられることなく消えていく…
そんな野生のネトウヨさんを記録しておくシリーズ第2弾でございます。
今回は僧侶と神職…禰宜と坊主でネギボウズ。



【その1:ヘイト坊主】

Twitterに↓こんな報告が。


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【その2:ネトウヨ神職】

それに絡めて↓こんなのも。


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さらに神職はもう1人いたり。



【その3:ネトウヨ神職 2人目】

Twitter上で↓こんな発言をする神職。


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…とか、とんでもなく古い感覚で語って炎上。
しかもプロフィールは…


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…さすが神社本庁さんやで!
しかもそれだけでなく、こんな発言がゾロゾロ。



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「ケツ毛ジャングルファイアー」とか言ってキャッキャしてる「神社本庁傘下の神社の正統派神職」。
何とも微笑ましいですね。

ネタ元は↓ココ。


【アニゲー速報】
『【悲報】神職「出産後の女は“ケガレてる”から神社に来るな」→大炎上』


…さすが宗教人!
存在すらしない神に依存してるだけのことはありますね。




(00:00)

2023年06月08日


ネットを巡回してると、政治とあまり関係のない場所でネトウヨさんがネタにされてることってあるよね。

しかも後で反ウヨ系サイトにまとめられるでもなく、忘却の彼方へ…

というのも淋しいので、たまたま気付いたネタを誰も扱わなさそうな場合、備忘録的にちょこちょこまとめていきたいな、と。

今回は↓この方たちです。


【その1】

「水着で生中継させられる女子アナ」という画像を見てフェミニズム批判に結びつけるも、「AIの画像では?」と指摘され、「そうなの? なら削除するわ」と謝罪も訂正もなく軽やかに応じる↓このお方。


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プロフィールは↓こんな。



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…うわぁ。



ネタ元は↓ココ。

【キニ速】
『 一般人「なんでこんなことさせられてる女性がいるのにフェミ共は文句言わないの?」』
http://blog.livedoor.jp/kinisoku/archives/5435443.html


そのまたソースは↓ココ。

【5ちゃんねる】
https://itest.5ch.net/test/read.cgi/livegalileo/1684468139/

このアカウントが実在し、当該のツイートが現在は見当たらないことは確認しておきました。




【その2】


「牛刀で熊を倒した」と無茶を言い出す撮り鉄さん。



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こちらもプロフィール画像は↓こう。


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…うわぁ(2回目)。



で、こちらのネタ元は↓コレなのですが…


【わんこーる速報!】

『【画像】最強の撮り鉄「登山中にヒグマに襲われたので刃渡り50cm牛刀で足切り落としてやりましたw」ドンッ』


他にも2023年5月あたりに様々なまとめサイトに載っています。
しかし話としては結構古く、最初は2017年に話題になって、それ以降時おり思い出した様にネットで取り上げられている模様。
2022年にもプチブームがあった様です。
いくつか古いものの例を挙げると…



【はちま起源】
『牛刀で熊を倒した撮り鉄が話題に「熊は戦って勝てない動物じゃない。前足を切り落せばただの肉塊です」 ←』
http://blog.esuteru.com/archives/20011844.html


【Sirabeeリサーチ】
『熊を牛刀で倒した男性が話題 本当に倒せるのか猟師に聞いてみたら』

https://sirabee.com/2017/04/09/20161090679/


【VIPワイドガイド】
『【悲報】撮り鉄「クマを牛刀で倒した」←これwww』

http://news4wide.net/article/466786236.html




そしてご本人の現在のプロフィールが↓コレ。



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「牛刀ニキ」を自称してる上、自分がネタにされてるツイート等をリツイートしまくっており、何とも逞しい〜!






(00:09)