2022年10月12日
前回の続きです。
竹内久美子さん、おまゆう発言連射マシーンと化してしまう【自伝本①】
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/17048132.html
(承前)
そしてお馴染みのあの人も登場。
【ロビン・ベイカーの説】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
子を残しにくいという性質が、なぜ残り続けているのか。そのパラドックスの一部分を解いたのは、イギリスのロビン・ベイカーだ。それは、女性の不倫についての画期的な考え方だ。
ベイカーは言う。ここに姉妹がいたとしよう。姉は不妊ではなく、妹が不妊だったとする。
そして女が自分だけの力で育てあげられる子供の数を2人と仮定する。するとまず、お姉さんの方が2人の子を産み、育てる。妹はいつまでたっても子ができないので、おのずとお姉さんの子育てを手伝うようになるだろう。その加勢によってまず、お姉さんはもう2人産んでも大丈夫ということになる(何しろ女が1人で育てあげられる子の数が2人だから。これでお姉さんには4人の子がいることになる。ポイントはここからだ。こういう風に共同で子育てや家事をしていると、何かと効率がいい。たとえばご飯をつくるとき、少々人数が増えたからといって手間が大幅に増えるわけではない。よって余裕が生まれる。
ということはこの余裕を利用して、お姉さんはもう1人子を産んでも大丈夫かもしれないのだ。よってお姉さんは5人の子、妹は0人となるが、妹が不妊ではなく、姉も妹も2人ずつ産んで育てた場合よりも、一族としては繁栄することになる。これが赴任の人が結構多い理由ということになる。
また、ここが肝心なのだが、不妊に関係する遺伝子はいくつもあり、妹はそれらが全部そろったビンゴ状態であるのに対し、姉はそれらの遺伝子をビンゴではないが、半分位持った存在だということだ(姉と妹は血縁度1/2の関係)。
その姉が5人も子を産むので、不妊に関する遺伝子を次の世代によく残す。そうしてまた不妊に関する遺伝子がビンゴ状態になった女が現れ、一族の繁栄に貢献することになる。不妊の裏にはこのようなカラクリがある、ということをぜひ知っていただきたいのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.157)
…またベイカーか…!
この人、トンデモさんやっちゅーのに。
竹内久美子、ベイカーをやたら推すなぁ…。
トンデモさん同士は惹かれ合う、ということなんでしょーか。
このベイカーの説は正直、アイデアとしては非常に面白いです。
実際、鎌状赤血球症も、コレと同じ理由でなくならないことが知られてるし。
というかコレ、単に鎌赤のロジックを不妊に当て嵌めて思いついただけやろ。
しかし妹がヘルパーになるからといって、いきなり倍以上の子をそんな簡単に育てられますかね…?
出産・子育ての最大のリスクといえば分娩時でしょう。
それを1人に最適値の2.5倍も産ませるの、リスキーすぎでは?
あと1ヵ所で5人育てると、感染症や捕食や災害などで全滅するリスクも跳ねあがります。
現在でも「複数の要人を同じ飛行機には乗せない」などのリスクヘッジはしばしば行われてますよね。
数が増えることのメリットはちゃっかり勘定する割に、デメリットは無視するのはズルいのでは…
ベイカーのトンデモっぷりは↓ココを参照。
『「目が肥えた懐疑主義者は、竹内久美子のトンデモっぷりをお見通し」後編』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14179037.html
本書にはネオテニーの話も出てきます。
説明は↓こんな。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
日本人が欧米などに旅行に行くと、バーに入れてもらえないことがよくあると聞く。未成年だと思われるからだ。アジア系は概して歳より若く見られがちだ。
このように子供の特徴をよく残しつつも大人になる現象を「ネオテニー(幼形成熟)」という。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.85)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ネオテニーと言えば、人間自体がネオテニーの産物なのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.87)
…なんか説明が普通と逆ですね…。
通常は、
◉メキシコサンショウウオ(アホロートル。俗に言うウーパールーパー)が外鰓を残して性成熟する例とか出してネオテニーを説明
↓
◉ヒトも幼体の特徴が多く残るネオテニー的動物であることを説明
↓
◉ヒトは女性の方がネオテニーが強く起きているのでは
…と、より一般的でより確立されたことから順に説明するモンですけどね…。
まぁ竹内久美子は「提唱されたばかりの怪しい説」にすぐ飛びついちゃうからなぁ…。
そしてその説の信憑性をわりと無視して「確立済みの理論」と並列に語ってみたり。
あとミクロな仮説をつぎはぎして大風呂敷広げてみたり。
この辺にその感じが出ちゃってる気が。
で、女性の方がネオテニーが強く起きる理由について竹内久美子は↓こう説明します。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
それに対し、人間の女には閉経があり、生涯子を産み続けるわけではない。歳とともに妊娠しにくくなるので、若い女が何より好まれる。そのため人間の女は自分が若いことをアピールする必要がある。だからこそ実際の歳よりも若く見えるという、ネオテニーが起きたのだと私は考える。
実際、人間は女の方が男よりも強くネオテニーが起きていて、子供っぽい性質、つまり肌の柔らかさやきめ細かさ、髪の毛のさらさら具合、唇のぷるぷる具合、体の柔らかさ、声の高さなどが備わっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.88)
続いて、日本人が幼く見える理由については↓こう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
では日本人のようなモンゴロイド(アジア系)がコーカソイド(欧米系)に子供扱いされやすいことは、どう説明したら良いだろうか。それはモンゴロイドとコーカソイドで、女に何を求めるかの違いではないかと思う。モンゴロイドは、女を妻にすることを重要視するのではないだろうか。若くてこれからどれほどよく子を産めるか、だ。片やコーカソイドは、女が今どれだけ妊娠しやすそうかを重要視するのではないだろうか。妻にするなら、これから多く子をなすことができるよう、できるだけ若い方が良い(例えば10代後半)。一方、一番妊娠しやすいのは、それよりも数歳上である20代前半だ。このとき重要なのは、実際の年齢よりも、どのような年齢に見えるかということになるだろう。
ともあれそうすると、女を浮気相手として重視し、できるだけ効率よく妊娠させようとしているのがコーカソイドなのではないだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.88)
…あれ?
モンゴロイドが若く見える理由を女性の繁殖戦略だけで説明しちゃってるよ?
これだと男性のネオテニーにはコーカソイドとモンゴロイドに差がない筈ですが、それでいいんですかね?
そして「コーカソイドとモンゴロイドで女に求めるものが違う」という説明は何ら根拠がありません。
「何とかネオテニーという面白現象と、私の大好きな繁殖を絡めた説明を捻り出したい」という野心の結果出てきた「ネオテニーは若く見せるために起きた」という珍説。
それは「ほな何でコーカソイド女性はモンゴロイド女性の様にネオテニーを強く起こして若く見せないのか」という謎を生んでしまいます。
そこでまたしても繁殖絡みの説明を捻り出す、というその場しのぎのアドホックな説明です。
憶測に憶測を重ねた、親亀の上の子亀システム。
実を言うと竹内久美子は根拠らしきものをひとつだけ挙げています。
先程の文章に続けて↓こう書いてるのです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私の経験にこういうものがある。大学時代、京都の日仏学館(京大に隣接している)で、知人が素人芝居に出演するというので友達数人と見に行った。当然というべきか、フランス人もいた。
そうして1か月くらい経ったとき、バイトに行くためにバスを待っていると、フランス人らしき人にこう声をかけられた。
「この間、日仏学館でお会いしましたよね」
知らんがな、そんな人。
ともあれ、この違いがモンゴロイドに強烈にネオテニーを起こす結果となり、実際の歳よりも随分若く見られてしまう原因なのではないだろうか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.89)
またしても個人的な経験の一般化。
しかも竹内久美子は学生時代、日高研で「ネオテニー」とあだ名を付けられ、中学生と間違えられるほどの童顔だそうです。(P.85)
43歳で女子高生と間違われたこともあったという…。(P.86)
だったらコレ、「フランス人も若さにこだわる」って話じゃねーか!
「コーカソイドは若さより妊娠できるかを重視する」って話はどこに…?
【祭りで集団免疫】
そして別の著作でも取り上げていた祭りの話アゲイン。
元ネタはネトウヨさん御用達の『WiLL』2020年12月号「免疫は祭りで作られる─日本人の祖先の智慧」。
記事の著者は吉備国際大学院保健科学研究科の高橋淳教授です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
秋でなくとも、祭りは集団免疫獲得にとって役に立つ。高橋教授によると、2020年2月15日、岡山県の西大寺で「はだか祭り」か決行された。1万人もの若い男たちが褌一丁で日本の宝木の争奪戦を繰り広げる。まさに濃厚接触だ。
すると、岡山県で感染が爆発したかというと、そうではなく、むしろ抑えられた。集団免疫ができたのだろう。
西大寺のはだか祭りは500年以上の伝統があり、「はだか祭りに参加した男は風邪をひかない」というご利益があると言う。まさに祭りに参加して、軽く風邪をひき、抗体ができるからだろう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.106)
2020年2月て、クルーズ船で騒いでた時期やんけ…そら岡山で感染爆発する筈ないやん。
しかしこの人たち、
「2019年頃から日本にS型・K型ウィルスが流入、集団免疫を獲得していた。
欧米は渡航禁止やロックダウンのせいで集団免疫のないまま、武漢で変異したG型や欧米で変異した欧米G型が流行したので酷いことになった」
というシナリオを(勝手に)想定しているので、その辺は気にしない様です。
しかし2019年の時点でひそかにウィルスが日本に流入し集団免疫を獲得するほど広まっていたのなら、欧米では何故そうならなかったのでしょうか?
各国が渡航禁止やロックダウンを行ったのは2020年2月頃以降でしょ…。
このお祭り集団免疫獲得説の問題については↓こちらを参照。
『目が肥えた懐疑主義者は、竹内久美子のトンデモっぷりをお見通し 前編』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14178958.html
そして病原体と免疫力については↓こんな主張も飛び出します。
【病原体と免疫力】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
では、大人になっても人見知りであることには、どんな意味があるか。それは、知らない人とはどんな人かと考えてみればわかる。知らない人とは、どんな病原体に侵されているのか、まだ判明していない人と言うことだ。そのような人と気軽に握手したり、頬ずりしたりできないではないか(そのことを逆手にとり、初対面でも握手し、頬ずりをして「あなたに敵意はありません」と表明することもある)。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.4)
握手は「武器持ってないよ」と示すため、というのが通常の解釈だと思いますが…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こうして見てくると、声がいい、スポーツができる、ルックスがいい、音楽の才能もあり、話が面白いということで、男としての魅力に満ち溢れているのである。
そういうことがどうして魅力になるかといえば、これら全ての要素が実は免疫力の高さを物語っているからである(詳しくは拙著、「シンメトリーな男」文春文庫を参照)。
魅力を手がかりに選んでいるものとは、実は免疫力の高さなのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.91)
病原体や免疫力が我々の想像以上に進化に関わっているのは事実です。
でも竹内久美子はセンセーショナリズムに溺れるあまり、それだけが唯一の説明原理みたいに言い過ぎ。
例えば『スポーツができる』ことは我々が進化してきた環境において、獲物を捕らえたり危険から逃げたり、あらゆる場面でそれ自体が役に立ったことでしょう。
それは決して単なる「免疫力の指標」になるだけではありません。
『魅力を手がかりに選んでいるものとは、実は免疫力の高さなのである』とかよく言えるなぁ…
この手の「自分が興味を持ったもの『だけ』で何でも説明したろ!」という「これだけ主義」は竹内久美子の著作のあちこちで見られます。
例えば先ほどの「ネオテニーは若く見せるために起きた」という話も「これだけ」で説明しすぎ。
まぁハンマーを持った5歳児には世界中が釘に見えるものですよね…。
【不良の存在意義】
そして竹内久美子は「免疫力」の話にさらに「不良の存在意義」を何故か上乗せします。
不良は先生に従うのではなく独自判断で動き、リーダー格ともなると人望・体力・頭の良さ等を持つ…社会に出れば大活躍、だそうです。
日高研究室の同僚にもオールマイティーな不良がいたんだとか。(P.132)
…またしても個人の体験談。
あと不良は先生には従わないけど先輩や頭にはすぐ従うよね。
オールマイティーな不良は「不良ゆえにオールマイティー」なのではなく、「オールマイティーな上にたまたま不良という属性も持っていた」だけなのでは?
凄くて不良じゃない人も、凄くなくて不良の人も、いくらでもいますやん…。
そして竹内久美子はこう続けます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
そして研究するのが難しいのでまだなされていないだけで、スポーツの能力、音楽の才能なども免疫力の強さと相関があるだろう。スポーツマンやミュージシャンにも女子はキャーキャーと歓声をあげるからだ。
ともかくこうして私は免疫力が強く、そのため女にモテる男のイメージを得ることができた。外見が魅力的で、スポーツや音楽のパフォーマンスに優れ、真に賢い、不良だ。不良は何らかの分野で成功しがちなだけでなく、女にもモテるタイプなのである。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.135)
まだ研究されてないことまで言っちゃってる~!
【オーケストラの指】
そして「女は男の体に現われた資質で選ぶ」という話に。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
人間は女の方がおしゃれや化粧するのでごまかされやすいが、ちゃんと女が男を選んでいる。その証拠に、男ではその資質との相関が体のどこかに現れるというのに、女では現れないと言う例が多い。
たとえば、オーケストラの団員というプロのミュージシャン集団であっても、男の団員では音楽の才能と言う脂質が、指比(人差し指の長さ÷薬指の長さ)に現れる。一般の男よりもはっきりと低いのだ。つまり相対的に薬指が長く、それは胎児期にテストステロンのレベルが高かったことを示す。テストステロンは右脳を発達させるので、音楽の才能と関わりがあるのである。
ところが女の団員では、指比は一般の女との差がない。プロのミュージシャンという大変な音楽の才能の持ち主だったとしても、それが身体的な特徴として現れない。それは、女が選ばれる性ではないためだ。
一方、男は選ばれる性であるため、その資質を体の特徴として現わしているということになる。免疫力との関係においても、男は筋肉質な体、ルックスのよさ、ケンカの強さ、IQなど、表に現れる要素との相関が現れるが、女には現れないという例が圧倒的である(声は例外で、男でも女でも免疫力との相関があった)。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(P.155)
…え、それって「女性は男性の薬指の長さに魅力を感じる」ってコト?
しかも男性だけ薬指が伸びるのは「本当は伸ばす必要はないのだけれど、指標にするためにわざわざ伸ばした」ってコトになるのでは?
「質の高い男性は体が左右対称だったり薬指が長い傾向にある」とか「女性は左右の対称性などに基づいて男性の質を見極める」というのは事実かもしれません。
しかし薬指が長いことはテストステロン濃度が高いことによるいわば副産物で、研究者が質の指標にすることはできても、実際に女性が薬指の長さに性的魅力を感じてるとは思えないんですけど。
実際、女性はしばしば手フェチ・指フェチで、「指の長さ」や「手の大きさ」、「関節の節くれだった感じ」「血管の浮き具合」などにグッとくる、といった話はよく聞きますが、「薬指が特に長いのにキュンキュンしちゃう!」とかいう話は聞いたことがありませんが。
あと「女が男を選んでいる」というのは傾向としては正しいのですが、男性も女性を選んでいます。
実際「女性の側から告白」なんて珍しくもないですよね?
そもそも生殖器官以外の体の性差は性選択によるもの。
ということは女性のウェストのくびれや大きな臀部と乳房などは「男性による女性のチョイス」によって進化した筈です。
ネオテニーの話では「モンゴロイドではより子供っぽい女性が選ばれる」という「男性による選択」を前提にしてたやん…。
ていうか竹内久美子自身、『ウエストがくびれた女は、男心をお見通し』という本まで書いてるのに。
勿論そちらもトンデモ本に仕上がっておりまーす。
ちなみに刊行は安定のネトウヨさん出版社、WAC。
この本に対する批判は以下のエントリにて行っていますのでご査収ください。
『目が肥えた懐疑主義者は、竹内久美子のトンデモっぷりをお見通し』
前編
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14178958.html
(00:46)








