2022年07月06日
【これまでの石川幹人シリーズ】
◉石川幹人が「進化心理学の第一人者」になってる件(前編)
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/13981620.html
◉石川幹人が「進化心理学の第一人者」になってる件(後編)
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/13981688.html
◉超能力は進化するか? 石川幹人その2
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/13981705.html
◉話のレイヤー 石川幹人その3
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14029379.html
◉石川幹人がASIOSにいる件 石川幹人その4
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14029401.html
◉ASIOSの愉快な仲間たち 石川幹人シリーズ番外編
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14029805.html
◉「ヒューマニエンス」嘘回の嘘 石川幹人その5
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/14030240.html
またしても石川幹人が『チコちゃんに叱られる!』に出演。
またしてもやらかし発言。
2022年4月22日放送回、お題のひとつが「穴があったらのぞきたくなるのはなぜ?」でした。
それに対する石川幹人の解答は、
「穴の中に良いものがあると刷り込まれているから」
というもの。
…いや、生物学で「刷り込み」と言えば、普通はインプリンティング、つまりは学習のことでしょ…
Wikipediaの説明によれば↓こう。
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刷り込み(すりこみ、imprinting)とは、動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種。刻印づけ、あるいは英語読みそのままインプリンティングとも呼ばれる。
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石川幹人の言い方だと、学習の成果が遺伝してるみたいに聞こえるんですけど。
獲得形質の遺伝はとっくに否定されてるのに。
番組内での発言は↓こう。
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(石川幹人)
穴があったらついのぞいてしまうのは穴の中に良いモノがあるかもしれないと生まれる前から刷り込まれているからなんです。
私たちの先祖がまだ狩りをしていた時代の生物学的本能が今でも残っているんですね。
(中略)
(ナレーター)
今からおよそ100万年前、人類の祖先が命がけで野生動物を捕獲し生活していた時代、その狩りで学んだことは、穴があればまずはのぞいてみるということでした。
(石川)
食べ物を探しに行くと、木の幹や地面に穴がありました。
穴をのぞいたところ、そこは生き物のすみかで、簡単に小動物を見つけることができたのです。
穴をのぞくと良いモノが見つかるかもしれないという好奇心がある人が食料を見つけやすく、生存競争に勝てたのです。
(ナレーター)
生きのびるために穴をのぞく、この本能が私たちにも受け継がれていると先生はおっしゃいます。
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…やはり『刷り込まれている』『その狩りで学んだことは』と、学習ベースの表現が…
一方で「進化心理学者」の割に、自然選択への直接的な言及は全くありません。
一応『生存競争に勝てた』『この本能が私たちにも受け継がれている』と、自然選択の基盤である「生存率の差と遺伝」に言及してはいますが…
普通、誤解のない様に「獲得形質の遺伝」めいた表現は避けて、「自然選択」を強調するよね?
これまでの検証からも石川幹人は進化論をちゃんと理解してないことが窺えるので、今回のも「誤解を与える表現をしちゃってる」というか、それ以前に「ご本人があまり解ってないんじゃ…?」という印象。
そもそも「穴があったらのぞきたくなるのは、中に良いものがあると刷り込まれているから」というのは石川幹人がそう主張しているだけ…
そういった形質に遺伝的基盤があるとか、進化心理学的な論文があるとかいった裏付けは何もありません。
今回もかよ。
あるいは逆に、「穴を覗く」という行動は100万年前というごく最近の先祖に由来するのではなく、(例えばシロアリ釣りをするためにアリ塚を覗くチンパンジー等)ヒトがヒトになる以前に出現し維持されてきた行動なのかもしれません。
多くの種にごく普遍的に見られる形質である可能性もあります。
…が、石川幹人はそういうことは考えない様です。
そのかわり、番組ではこんな実験が行われます。
動物園に覗き穴の付いた箱を設置。
箱の中には(石川の指示で)ホワイトタイガーらしきぬいぐるみと『本能に忠実ですね』という張り紙が。

…しかし誰も覗かずスルー。
箱に『覗かないでください』と大書された張り紙をしたら、ようやく覗く人がいくらか出現。
…いや、ソレだともはや「穴があると覗きたくなる」実験じゃなくて、「禁止されると却ってやりたくなる」というカリギュラ効果についての実験やろ。
しかし石川幹人はこの件に関してどこ吹く風で
『好奇心が高い人は、禁止されるとより好奇心が大きくなってなおさら覗いてしまう、本能に忠実な人と言えるかも』
と言い放ちます。てきとう~!
「のぞく人が少なかったのは、動物園では他に興味をひかれるものがたくさんあるからでは?」
ということで商店街でも実験を続けますが…やはり完全スルーされ、張り紙作戦を展開。
…で、この商店街の実験、箱の後ろに等身大のネコキャラ人形があるのが気になります…

調べてみたところ、戸越銀座商店街のゆるキャラ「戸越銀次郎」でした。
商店街の案内所「ほっとスポット」前に設置されてる模様。
…つまり穴を覗きに行くと、中にホワイトタイガーがいたり、背後に人間サイズのネコがいる訳ですね。
とっても危険。
大型のネコ科動物は、先史時代には人類の主な天敵ですよ…?
なんか子供を抱えて中を覗かせてる親もいるし。一家4人で動物園か。おめでてーな(なつい)。
実際、穴を覗くことには「食べ物が見つかる」というメリット意外に、危険との遭遇というリスクもあり、両者はトレードオフ(交換取引)関係にあったりする筈ですが、石川幹人がその辺を考慮した形跡は全くありません。
海外ドラマ『ビッグバン☆セオリー ギークなボクらの恋愛法則』でも、天才博士のシェルドンが
「僕の叔父さんは煙突の掃除をしていてアナグマに襲われて死んだんだ。獰猛な動物に素手で挑む様な、うかつな遺伝子が僕にも受け継がれてるかもしれない」
みたいなことを言って心配するシーンがあります。
穴を覗く時も、穴を覗くことの適応的な意味を語る時も、もうちょっと慎重にした方が良くないですかね…?
(00:02)
この記事へのコメント
1. Posted by 伊藤啓太 2023年01月07日 16:03
名前を出して書かれては如何でしょうか?
読んでいて気持ちのよいものではありませんでした。
読んでいて気持ちのよいものではありませんでした。








