2022年05月07日
さて、前回アマビエ等の予言獣をネタに、利己的な情報体「コピー・ミー・コード」の危険性について述べました。
その中でも最も危険な「宗教」については私も熱心に批判してきましたが、他のものについてはなかなか手が回らず…。
今回は前々から一度は触れたいと思っていた「ネズミ講」(無限連鎖講)について。
つっても今どきガチのネズミ講は少なく、大抵は「マルチ商法」とか「MLM」(マルチレベルマーケティング)と呼ばれる、ネズミ講もどきです。
「ネズミ講の様でネズミ講じゃない少しネズミ講なやつ」という、食べるラー油みたいな存在ですね。
そういった話は後でするとして、そもそもネズミ講(無限連鎖講)はなぜ法で禁止されてるのでしょうか?
それは先がないからです。
法にはこうあります(が、後ほど分かりやすく説明するので飛ばしても大丈夫です)。
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無限連鎖講の防止に関する法律
(目的)
第一条 この法律は、無限連鎖講が、終局において破たんすべき性質のものであるのにかかわらずいたずらに関係者の射幸心をあおり、加入者の相当部分の者に経済的な損失を与えるに至るものであることにかんがみ、これに関与する行為を禁止するとともに、その防止に関する調査及び啓もう活動について規定を設けることにより、無限連鎖講がもたらす社会的な害悪を防止することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。
(無限連鎖講の禁止)
第三条 何人も、無限連鎖講を開設し、若しくは運営し、無限連鎖講に加入し、若しくは加入することを勧誘し、又はこれらの行為を助長する行為をしてはならない。
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…法律でネズミ講が『終局において破たんすべき性質のもの』と一刀両断されてる~!
ではどう破綻するのか、ちょっと計算してみましょう。
1人のマルチ会員が2人の会員を増やし、さらに各々が2人の勧誘に成功し…というのを繰り返していくと仮定します(これはかなり控えめな見積もりです)
電卓で「2×2×2×…」と叩いていけば小学生でも計算できます。
実際にやってみると、27代で1億3421万7728人…日本の人口に達します。
しかもこれらは末端だけの数ですからね。
上層部を加えるとその前の代で人口を超過。
5人ずつ勧誘だとたったの12代で末端が2億4414万625人、日本の人口の倍に。
え? そこまで増やさなければ良い?
ソレは無理ですね。
マルチの資金源は結局のところ、末端の会員です。
先に入った者の儲けは後から入った者が背負い、後から入った者の儲けはさらにその後から入った者が背負う…無から有は生まれないのに、資金源を先送りし続けることでやりくりしてる自転車操業。
そして一人の会員を儲けさせるには多くの子会員からのキックバックが必要となるため、必然的に常により多くの会員が必要となります。
つまり末端が増えないならそもそも儲けようがないのです。
無限の増加を仮定してるから『無限連鎖講』、ネズミ算式に増えるから『ネズミ講』と呼ばれてる訳ですね。
しかし人口は有限なのでそれは無理。破綻が確定してるから法で禁止されてるのです。
永久機関の発明は理論的に不可能だから特許の受付をしない、というのと似ています。
ちなみに私がこう説明したら「そんなこと、やってみなければ分からない」と噛みついてきたネズミちゃんがいましたが…まさに窮鼠。
ていうかこんな簡単な計算が理解できないのにマルチの個人事業主になるって…事業計画とかどうなってんの?
ちなみに私だって算数レベルの四則演算しかできませんが、「マルチはやべぇ」くらいは解かります。
つまるところ、ネズミ講は
◉順調に倍々ゲームで会員が増えていくと、あっという間に人口を食い尽くして破綻する
◉会員数が増えなければ儲からず、先細りになるだけ
…という、どっちに転んでも地獄のマルチバッドエンディングシステム。
そらぁ法律で禁止されますわ。
そしてネズミ講は常に儲かるのは全体のごく一部で、大半の人は搾り取られるだけです。
例えば先程の「1人の会員が2人の会員を連れてくる」という仮定で5代目まで広がった時、それぞれの世代の人数を数えてみましょう。
1代目:1人
2代目:2人
3代目:4人
4代目:8人
5代目:16人
末端の5代目は16人、それより上の世代は合計15人ですね。
つまり「末端の人数は上層部全体+1」です。
実はコレ、何代目まで広がった時でも当て嵌まるのです。
例えば6代目では、
1代目:1人
2代目:2人
3代目:4人
4代目:8人
5代目:16人
6代目:32人
…末端は32人、上層部は計31人。
やはり「末端は上層部+1人」です。
末端は誰からもキックバックが貰えず、一方的に搾取される存在…
つまりネズミ講は常に、養分にされる末端の数は上層部とほぼ同じなのです。
しかもこれは「会員1人が引き込むのは2人だけ」という楽観的な仮定での話。
実際には末端が圧倒的多数派でしょう。
という訳で、ネズミ講は「ダメ。絶対。」なのはお分かりいただけましたね?
ではここからはネズミ講を薦めてくる子ネズミちゃん達が繰り出す甘い口説き文句と、その裏の実態について解説していきましょう。
◉「合法だよ」
◉「マルチ商法はネズミ講じゃないよ」
↓
こんなん「違法ドラッグじゃなくて脱法ドラッグだからセーフ」言うてる様なモンやんけ。
『じゃりン子チエ』に、賭場で現金を直接やりとりせず「ビスコを賭けてるだけ」という体で法をかわそうとするシーンがあります。
合言葉は「ポリ公が来たら はい ビスコ!」。
ちなみにアニメ版では「ポリスが来たら はい 煎餅!」でした。
まぁパチンコの三店方式みたいなモン。
マルチはネズミ講を現金ではなく、間に商品を介在させることで法をかわしているだけで、やっていることは本質的にネズミ講と変わりません。
↓
それならお友達を誘う時に、「末端になるリスク」を説明するべきでしょう。
また、自分がこれから相手を踏み台にすること、相手もいずれ誰かを踏み台にするか、さもなければ養分となることを、きちんと説明するべきです。
それちゃんとやってる?
◉「不労所得が入ってくるよ」
↓
いや、マルチの営業でめちゃめちゃ働かされてますやん。
◉「うちの商品は問屋を通さないから安い。普通の商品は間に何軒も問屋が入ってるけど、うちは直接持ってくるから」
↓
えっ、「バックマージンが何代にも渡り入り続けるから儲かる」んやろ?
それって商品代金から何重にも抜かれてるってことやんな?
問屋を通すのとどうちゃうねん?
◉「絶対儲かる」
◉「動いた分だけ身入りになる」
◉「自分が社長」
↓
それって「最低賃金の支払いも、社会保障も、何もない」ってコトやろ?
「動いた分だけ丸損する」ことの方が多いやろ。
そういうリスクはちゃんと説明しないと。
昔、某牛丼チェーンが「アルバイトでも店長になれる」みたいな広告を出してました。
一見すると夢のある話に見えます。
でもそれって「店長としての重責を負わせておいて、待遇は非正規雇用」ってコトじゃねーの?
最近は理髪店を展開してるQBハウスで「入社したと思ったら、雇用関係ではなく本部と契約してる個人事業主扱いだったでござる」という事件があって炎上しました。
そんな立場に自分からなりに行くとはナイス度胸。
「一国一城の主!」とか夢を見てるのかもしれませんが…個人事業主というのは、事故って怪我しても本部に何もしてもらえないUber Eatsの配達員と同じ立場ですよ?
ちなみに後述しますが、マルチ商法では薬機法(旧薬事法)違反の説明が後を絶ちません。
ところが子ネズミちゃんは先輩の受け売りと渡されたマニュアル通りに営業トークしただけのつもりなので悪意はなかったりします。
しかし本部はそれらを野放しにして利用しておきながら「個人事業主が勝手にやったこと」として尻尾切り。
個人事業主はこういう弱い立場なのです。
◉「うちの商品は素晴らしい」
↓
マルチにとって商品とは「現金で直接やりとりすると捕まっちゃうから介在させてるだけの媒介物」に過ぎません。
それのクオリティーとかどうでもええわ。
そんなん「うちの賭場で使てるビスコは小麦胚芽入りのええ奴やで」みたいなことでしかないやん…
パチンコする時に「景品の文鎮がデラックスやしここのホールで打つか~!」とはならんやろ…
そもそもそんなに商品力があるなら、マルチの具になどせずに普通に市場に出せばバカ売れする筈なんじゃ…?
通販番組で売ってる高枝切りバサミとか高圧洗浄機とか野菜スライサーとかの共通点って何だか分かりますか?
それは結局のところ「必需品ではない」というところなんですよ。
あれ別になくても死なない、あんま困らない。
マルチもそうで、圧力鍋とか浄水器とか健康食品とかシャンプーとか、なくても困らない・市販の商品で充分なものが多いですよね。
中には高品質だったものもありますが、結局は後発の商品に追いつかれてます。
タッパーウェアなんかはもともとホームパーティー商法のマルチで普及しましたが、今どきわざわざマルチでタッパー買う人もいないでしょ…100均にいくらでもあるのに。
◉「このサプリ凄いの。癌やエイズも治るんだよ」
↓
許可なくそういう効能を謳うのは薬機法(旧薬事法)違反です。捕まるよ。マジで。
◉「では今から、商品の素晴らしさを証明する実験をしま~す」
マルチは大抵、「友人に呼ばれてカフェやファミレスに行ったら、その友人と知らない人がいて話を始める」という形で勧誘してきます。
あるいは飲み会やバーベキューなどに誘われて、行ってみたら知らない人がいっぱいいて勧誘される…といった場合もあります。
その時点で怪しさ大爆発ですが、知らない人を次々と紹介され、その人達がフレンドリーですぐ友達になってくれ、おまけに新たなビジネスにもいくらでも協力する、とか言われると悪い気はしないかもしれません。
特に友人が少ないと人の情けが身に沁みますよね。
でもよく考えてみてください。
「友達」というのは利害を超えた友情で結びつき、対等で横並びな関係の筈です。
一方マルチを介した関係は、利害に基づくビジネスを介した、キックバックを受け取る「親」と、そのキックバックを払う「子」という縦の関係です。
「友達」は搾取せんやろ。
マルチはむしろ友情にヒビを入れることの方が多いでしょう。
実際、友情を壊す最も効率的な方法がマルチです。
これに引っかかり、あまつさえ周囲に被害を広げてしまった人は恨まれ、人間関係を切られます。
リスク管理のアンテナが敏感な人なら、マルチに手を出したと知った瞬間に手を切るでしょう。
全員から切られるよ。マジで。
◉「俺はのしあがる自信がある、一緒にやろう」
↓
そう思って始める人ばかりの中でのしあがるのは困難です。
地元では秀才だったので進学校に入ったらそこでは「秀才がデフォ」で、自分は「秀才界の凡人」であることを思い知らされた、という人はよくいますよね。
そんな中で実際にのしあがれるほど能力の高い人なら、一般企業内でもちゃんと評価されるなり、自分で起業するなりして成功できるのでは…?
そしてそういう頑張っちゃう子ネズミちゃんは「もうちょっと売り上げたらランクが上がってマージン率がアップするから、ここが頑張りどころ!」とか言って自腹で商品を買い込み、不良在庫を抱えることになりがち~。
その人の自宅、廊下とかにシャンプーの入った段ボールが積み上がったりしてませんか?
勧誘などなかなか上手くいくものではありません。
はじめは周囲の近しい人から勧誘していくのでそれなりに売れるかもしれませんが、あっという間に人脈が尽きて頭打ちになります。
保険会社に就職すると厳しい営業ノルマを課せられ、とりあえず親戚にお願いしてなんとかするけどそこから先が伸びないのと同じです。
キックバックの権利を手にして不労所得でウハウハ生活を送るには相当数の勧誘に成功する必要がありますが、そこまで届いた人が全体の何%いるのでしょうか?
◉「マルチで成功してベンツを買った先輩がいる」
↓
子ネズミちゃんはしきりにこういう景気の良い話をしてきますが、ああいうのは羽振りの良いところを見せるために無理して借金で中古ベンツを買ってたりするので要注意。
ホストが分不相応な高級時計やライターを身に着けてるのと変わりません。
そういった生活を10年単位で続けてる先輩がいたら紹介して下さい。
超幹部になるとそういう生活をしてる人もいるのかもしれませんが、そうなれる確率は1%以下だし、そういう人は大体初期メンバーです。
今から参入しても間に合いません。
◉「俺、湖のほとりのマンションの最上階、全部買い切ろうと思ってるねん」
↓
これは私の周囲の子ネズミちゃんが実際に言ってた台詞です。
同じグループに
「私はこれから3年で3億稼ぐ!」
って言ってた子もいましたな。
あれから随分経ちましたが、彼らが夢を実現したという話は聞きません。
まだ手にした訳でもない成果を自慢してくる謎ムーヴで勧誘してくるとかナイス度胸。
ああいう人たちは妙なポジティブシンキングにかぶれて、
「先に手に入れた体で発言しとくと、後から現実化する」
という言霊信仰をしてたりしがち…傍から見ると獲らぬ狸の皮算用システム。
ゲームセンターに行くと、今にも縁からこぼれそうなコインの滝みたいなやつありますよね。
「ペニーフォール」っていうやつ。
アレ、いかにもコインを数枚入れれば数十枚が押し出されて崩れ、滝の様に降ってきそうじゃないですか。
冷静に考えると、入れたコインは隙間に吸収され、平均的には出力は入力を下回る筈なんですよね。
パチンコやスロットマシーン等もこのペニーフォールと同じで、いかにも勝てそうに見えながら、実際は平均的には店側が儲かる様に出来ています。
これらのギャンブリング・マシーンは「ヒトは確率計算が苦手」という性質に付け込み、お金を巻き上げるために存在しているのです。
マルチもそう。
頑張れば達成できる様に見えても、絶妙に無理な目標値が設定されてて、なかなかランクが上がらない仕組みです。
◉「え、良いと思ったものを友達に薦めるのは普通のことでしょ?」
↓
友達は仲介料を貰ったり、それ目当てで執拗に薦めてきたりしねぇよ。
◉「ポジティブに生きようよ」
↓
マルチはポジティブシンキングや自己啓発といった疑似宗教と一体になっています。
成功を確信させ、周囲を勧誘させるためには、「為せば成る」といった前向きな考え方を吹き込み、洗脳するのが効果的だからです。
こんなん「違法ドラッグじゃなくて脱法ドラッグだからセーフ」言うてる様なモンやんけ。
『じゃりン子チエ』に、賭場で現金を直接やりとりせず「ビスコを賭けてるだけ」という体で法をかわそうとするシーンがあります。
合言葉は「ポリ公が来たら はい ビスコ!」。
ちなみにアニメ版では「ポリスが来たら はい 煎餅!」でした。
まぁパチンコの三店方式みたいなモン。
マルチはネズミ講を現金ではなく、間に商品を介在させることで法をかわしているだけで、やっていることは本質的にネズミ講と変わりません。
なので破綻が確約されてます。
この話をすると子ネズミちゃん達は必ず「マルチはネズミ講じゃないよ」と言いますが、コレは「脱法であって違法ではない」程度の話に過ぎません。
じゃあ本質的な違いは何かと聞くと、結局根拠はないので「とにかく違う」と強弁することになります。
有名なトコでは、芸能人が『違うよ。全然違うよ。』『全然違うよ。全く関係ないよ。』と言い張るだけという、謎の説明をしていた事例↓が。
【ニコニコ大百科】
『違うよ。全然違うよ。』
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%81%95%E3%81%86%E3%82%88%E3%80%82%E5%85%A8%E7%84%B6%E9%81%95%E3%81%86%E3%82%88%E3%80%82
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2007年3月頃、ネット上にて「globeのマーク・パンサー」が怪しい商売を始めた。という情報が流れた。
その噂は本当で、東京都渋谷区の会社「MARC-2」の副社長をマークが務めているということが判った。
そして、同社が販売している「アンデスAZ(アズ)ジュース」という健康飲料の販売方法が明らかにマルチ商法(MLM)だったのだろう、なんと同社HPの中に「MLMとねずみ講の違い」について解説するQ&Aのページが存在した。そこで質問に応じていたのがマーク氏であった。(ページには顔写真まで付いていた)
下がその問答の一部である
■MLMについてマーク副社長が分かりやすく解説します。
Q.MLMって危ないんじゃないの?
A.なんで?危なくないよ
Q.だって合法なの?
A.もちろん合法だよ
Q.なんで?だってマルチレベルマーケティングということはマルチ商法なんでしょ?
A.違うよ。全然違うよ。
Q.でも、ねずみ講なんでしょ?
A.全然違うよ。全く関係ないよ。
Q.へー、じゃあ、MLMとねずみ講の違いは何なの?
A.じゃあ、簡単に説明してあげるよ。まず、ねずみ講は非合法です。 お金だけの配当システムで売る商品が存在していないか、紙切れ一枚、ホームページだったりすんだ。 そのようなものを、ねずみ算式に広めていくところからねずみ講と言う名前がついたんだ。 これは非合法。捕まっちゃいます。でもMLMというのは商品が存在するんだ。存在する商品を紹介を使って広めていくビジネスなんだよ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…「ビスコを介在させてるからセーフ!」理論ですね。
こんなん信用するのは「な~んにもしないから! 先っちょだけだから!」というのを信用するのと一緒やろ…。
ネズミ講がいろいろアウトなのは最初に語りました。
これを「ポリ公が来たら はい ビスコ!」で脱法してるのがマルチなんですね。
そんなん、倫理的にもビジネス的にも手出して大丈夫な訳ないやん。
◉「だったら俺たちは上層部の美味しい側になればいい」
この話をすると子ネズミちゃん達は必ず「マルチはネズミ講じゃないよ」と言いますが、コレは「脱法であって違法ではない」程度の話に過ぎません。
じゃあ本質的な違いは何かと聞くと、結局根拠はないので「とにかく違う」と強弁することになります。
有名なトコでは、芸能人が『違うよ。全然違うよ。』『全然違うよ。全く関係ないよ。』と言い張るだけという、謎の説明をしていた事例↓が。
【ニコニコ大百科】
『違うよ。全然違うよ。』
https://dic.nicovideo.jp/a/%E9%81%95%E3%81%86%E3%82%88%E3%80%82%E5%85%A8%E7%84%B6%E9%81%95%E3%81%86%E3%82%88%E3%80%82
2007年3月頃、ネット上にて「globeのマーク・パンサー」が怪しい商売を始めた。という情報が流れた。
その噂は本当で、東京都渋谷区の会社「MARC-2」の副社長をマークが務めているということが判った。
そして、同社が販売している「アンデスAZ(アズ)ジュース」という健康飲料の販売方法が明らかにマルチ商法(MLM)だったのだろう、なんと同社HPの中に「MLMとねずみ講の違い」について解説するQ&Aのページが存在した。そこで質問に応じていたのがマーク氏であった。(ページには顔写真まで付いていた)
下がその問答の一部である
■MLMについてマーク副社長が分かりやすく解説します。
Q.MLMって危ないんじゃないの?
A.なんで?危なくないよ
Q.だって合法なの?
A.もちろん合法だよ
Q.なんで?だってマルチレベルマーケティングということはマルチ商法なんでしょ?
A.違うよ。全然違うよ。
Q.でも、ねずみ講なんでしょ?
A.全然違うよ。全く関係ないよ。
Q.へー、じゃあ、MLMとねずみ講の違いは何なの?
A.じゃあ、簡単に説明してあげるよ。まず、ねずみ講は非合法です。 お金だけの配当システムで売る商品が存在していないか、紙切れ一枚、ホームページだったりすんだ。 そのようなものを、ねずみ算式に広めていくところからねずみ講と言う名前がついたんだ。 これは非合法。捕まっちゃいます。でもMLMというのは商品が存在するんだ。存在する商品を紹介を使って広めていくビジネスなんだよ。
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…「ビスコを介在させてるからセーフ!」理論ですね。
こんなん信用するのは「な~んにもしないから! 先っちょだけだから!」というのを信用するのと一緒やろ…。
ネズミ講がいろいろアウトなのは最初に語りました。
これを「ポリ公が来たら はい ビスコ!」で脱法してるのがマルチなんですね。
そんなん、倫理的にもビジネス的にも手出して大丈夫な訳ないやん。
◉「だったら俺たちは上層部の美味しい側になればいい」
↓
それならお友達を誘う時に、「末端になるリスク」を説明するべきでしょう。
また、自分がこれから相手を踏み台にすること、相手もいずれ誰かを踏み台にするか、さもなければ養分となることを、きちんと説明するべきです。
それちゃんとやってる?
◉「不労所得が入ってくるよ」
↓
いや、マルチの営業でめちゃめちゃ働かされてますやん。
◉「うちの商品は問屋を通さないから安い。普通の商品は間に何軒も問屋が入ってるけど、うちは直接持ってくるから」
↓
えっ、「バックマージンが何代にも渡り入り続けるから儲かる」んやろ?
それって商品代金から何重にも抜かれてるってことやんな?
問屋を通すのとどうちゃうねん?
◉「絶対儲かる」
◉「動いた分だけ身入りになる」
◉「自分が社長」
↓
それって「最低賃金の支払いも、社会保障も、何もない」ってコトやろ?
「動いた分だけ丸損する」ことの方が多いやろ。
そういうリスクはちゃんと説明しないと。
昔、某牛丼チェーンが「アルバイトでも店長になれる」みたいな広告を出してました。
一見すると夢のある話に見えます。
でもそれって「店長としての重責を負わせておいて、待遇は非正規雇用」ってコトじゃねーの?
最近は理髪店を展開してるQBハウスで「入社したと思ったら、雇用関係ではなく本部と契約してる個人事業主扱いだったでござる」という事件があって炎上しました。
そんな立場に自分からなりに行くとはナイス度胸。
「一国一城の主!」とか夢を見てるのかもしれませんが…個人事業主というのは、事故って怪我しても本部に何もしてもらえないUber Eatsの配達員と同じ立場ですよ?
ちなみに後述しますが、マルチ商法では薬機法(旧薬事法)違反の説明が後を絶ちません。
ところが子ネズミちゃんは先輩の受け売りと渡されたマニュアル通りに営業トークしただけのつもりなので悪意はなかったりします。
しかし本部はそれらを野放しにして利用しておきながら「個人事業主が勝手にやったこと」として尻尾切り。
個人事業主はこういう弱い立場なのです。
◉「うちの商品は素晴らしい」
↓
マルチにとって商品とは「現金で直接やりとりすると捕まっちゃうから介在させてるだけの媒介物」に過ぎません。
それのクオリティーとかどうでもええわ。
そんなん「うちの賭場で使てるビスコは小麦胚芽入りのええ奴やで」みたいなことでしかないやん…
パチンコする時に「景品の文鎮がデラックスやしここのホールで打つか~!」とはならんやろ…
そもそもそんなに商品力があるなら、マルチの具になどせずに普通に市場に出せばバカ売れする筈なんじゃ…?
通販番組で売ってる高枝切りバサミとか高圧洗浄機とか野菜スライサーとかの共通点って何だか分かりますか?
それは結局のところ「必需品ではない」というところなんですよ。
あれ別になくても死なない、あんま困らない。
マルチもそうで、圧力鍋とか浄水器とか健康食品とかシャンプーとか、なくても困らない・市販の商品で充分なものが多いですよね。
中には高品質だったものもありますが、結局は後発の商品に追いつかれてます。
タッパーウェアなんかはもともとホームパーティー商法のマルチで普及しましたが、今どきわざわざマルチでタッパー買う人もいないでしょ…100均にいくらでもあるのに。
◉「このサプリ凄いの。癌やエイズも治るんだよ」
↓
許可なくそういう効能を謳うのは薬機法(旧薬事法)違反です。捕まるよ。マジで。
◉「では今から、商品の素晴らしさを証明する実験をしま~す」
↓
子ネズミちゃんが勧誘先で行うのは科学的実験ではなく「デモンストレーション」や「プレゼンテーション」「パフォーマンス」の類です。
「ウチの洗剤は薄めても、濃い目の市販洗剤よりよく落ちる!」
とか言ってコップの水でハンカチを洗ってみせたり。
実はその市販洗剤は濃度が高すぎると洗浄力がガタ落ちになるのを利用してるだけ、とかね。
私が子ネズミちゃんに見せられたのは、水道水をコップに取り、テスターを突っ込んで通電すると何やら汚いものが出てきて「ほら、水道水にはこんなに不純物が!」という謎実験。浄水器を通した水だと「不純物」が出てこない、というやつでしたが…
この↓自治体の公式サイトによれば…
【藍住町】
『浄水器などの悪質な訪問販売が多発しています』
https://www.town.aizumi.lg.jp/docs/2014011000049/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
事例1
「水道水の検査をするから、コップの水をください。」と言って訪れ、テスター(電気器具)の電極を水道水に入れ、水の電気分解を行い、鉄の電極棒から鉄が溶けだしてできる茶色の沈殿を見せることによって、「健康に有害なものが含まれている」と水道水に対する不安をあおる例があります。そして、「このように純水器を通した水は有害物質が除去されるので、安全な水になる」と宣伝することがあります。
純水器を通した水は純水に近い水となり電気を通しにくく、電気分解が進まないため沈殿ができません。しかし、水道水はおいしい水の要件にもなっているカルシウムやマグネシウムなどを含んでおり電気を通すので、電気分解が進み電極棒が溶け出して沈殿ができます。なお、電極に使用する金属の種類によって沈殿が緑色に変化する場合もあります。
事例2
有害なものを調べる試薬と称して、オルトトリジンを水道水に入れて黄色に変化させ、「水道水にこのような色が付くのは、健康に有害なものが含まれている証拠であり、浄水器を通せば安全な水になる」と宣伝することがあります。
オルトトリジン法による残留塩素の比色法をお客様に見せているにすぎません。浄水器により残留塩素の無くなった水は発色しません。なお、ピンク(赤)に変化する薬品もあります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…うん、詐欺ですね。
捕まるよ。マジで。
◉「友達がいっぱいできるよ!」
↓子ネズミちゃんが勧誘先で行うのは科学的実験ではなく「デモンストレーション」や「プレゼンテーション」「パフォーマンス」の類です。
「ウチの洗剤は薄めても、濃い目の市販洗剤よりよく落ちる!」
とか言ってコップの水でハンカチを洗ってみせたり。
実はその市販洗剤は濃度が高すぎると洗浄力がガタ落ちになるのを利用してるだけ、とかね。
私が子ネズミちゃんに見せられたのは、水道水をコップに取り、テスターを突っ込んで通電すると何やら汚いものが出てきて「ほら、水道水にはこんなに不純物が!」という謎実験。浄水器を通した水だと「不純物」が出てこない、というやつでしたが…
この↓自治体の公式サイトによれば…
【藍住町】
『浄水器などの悪質な訪問販売が多発しています』
https://www.town.aizumi.lg.jp/docs/2014011000049/
事例1
「水道水の検査をするから、コップの水をください。」と言って訪れ、テスター(電気器具)の電極を水道水に入れ、水の電気分解を行い、鉄の電極棒から鉄が溶けだしてできる茶色の沈殿を見せることによって、「健康に有害なものが含まれている」と水道水に対する不安をあおる例があります。そして、「このように純水器を通した水は有害物質が除去されるので、安全な水になる」と宣伝することがあります。
純水器を通した水は純水に近い水となり電気を通しにくく、電気分解が進まないため沈殿ができません。しかし、水道水はおいしい水の要件にもなっているカルシウムやマグネシウムなどを含んでおり電気を通すので、電気分解が進み電極棒が溶け出して沈殿ができます。なお、電極に使用する金属の種類によって沈殿が緑色に変化する場合もあります。
事例2
有害なものを調べる試薬と称して、オルトトリジンを水道水に入れて黄色に変化させ、「水道水にこのような色が付くのは、健康に有害なものが含まれている証拠であり、浄水器を通せば安全な水になる」と宣伝することがあります。
オルトトリジン法による残留塩素の比色法をお客様に見せているにすぎません。浄水器により残留塩素の無くなった水は発色しません。なお、ピンク(赤)に変化する薬品もあります。
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…うん、詐欺ですね。
捕まるよ。マジで。
◉「友達がいっぱいできるよ!」
マルチは大抵、「友人に呼ばれてカフェやファミレスに行ったら、その友人と知らない人がいて話を始める」という形で勧誘してきます。
あるいは飲み会やバーベキューなどに誘われて、行ってみたら知らない人がいっぱいいて勧誘される…といった場合もあります。
その時点で怪しさ大爆発ですが、知らない人を次々と紹介され、その人達がフレンドリーですぐ友達になってくれ、おまけに新たなビジネスにもいくらでも協力する、とか言われると悪い気はしないかもしれません。
特に友人が少ないと人の情けが身に沁みますよね。
でもよく考えてみてください。
「友達」というのは利害を超えた友情で結びつき、対等で横並びな関係の筈です。
一方マルチを介した関係は、利害に基づくビジネスを介した、キックバックを受け取る「親」と、そのキックバックを払う「子」という縦の関係です。
「友達」は搾取せんやろ。
マルチはむしろ友情にヒビを入れることの方が多いでしょう。
実際、友情を壊す最も効率的な方法がマルチです。
これに引っかかり、あまつさえ周囲に被害を広げてしまった人は恨まれ、人間関係を切られます。
リスク管理のアンテナが敏感な人なら、マルチに手を出したと知った瞬間に手を切るでしょう。
全員から切られるよ。マジで。
◉「俺はのしあがる自信がある、一緒にやろう」
↓
そう思って始める人ばかりの中でのしあがるのは困難です。
地元では秀才だったので進学校に入ったらそこでは「秀才がデフォ」で、自分は「秀才界の凡人」であることを思い知らされた、という人はよくいますよね。
そんな中で実際にのしあがれるほど能力の高い人なら、一般企業内でもちゃんと評価されるなり、自分で起業するなりして成功できるのでは…?
そしてそういう頑張っちゃう子ネズミちゃんは「もうちょっと売り上げたらランクが上がってマージン率がアップするから、ここが頑張りどころ!」とか言って自腹で商品を買い込み、不良在庫を抱えることになりがち~。
その人の自宅、廊下とかにシャンプーの入った段ボールが積み上がったりしてませんか?
勧誘などなかなか上手くいくものではありません。
はじめは周囲の近しい人から勧誘していくのでそれなりに売れるかもしれませんが、あっという間に人脈が尽きて頭打ちになります。
保険会社に就職すると厳しい営業ノルマを課せられ、とりあえず親戚にお願いしてなんとかするけどそこから先が伸びないのと同じです。
キックバックの権利を手にして不労所得でウハウハ生活を送るには相当数の勧誘に成功する必要がありますが、そこまで届いた人が全体の何%いるのでしょうか?
◉「マルチで成功してベンツを買った先輩がいる」
↓
子ネズミちゃんはしきりにこういう景気の良い話をしてきますが、ああいうのは羽振りの良いところを見せるために無理して借金で中古ベンツを買ってたりするので要注意。
ホストが分不相応な高級時計やライターを身に着けてるのと変わりません。
そういった生活を10年単位で続けてる先輩がいたら紹介して下さい。
超幹部になるとそういう生活をしてる人もいるのかもしれませんが、そうなれる確率は1%以下だし、そういう人は大体初期メンバーです。
今から参入しても間に合いません。
◉「俺、湖のほとりのマンションの最上階、全部買い切ろうと思ってるねん」
↓
これは私の周囲の子ネズミちゃんが実際に言ってた台詞です。
同じグループに
「私はこれから3年で3億稼ぐ!」
って言ってた子もいましたな。
あれから随分経ちましたが、彼らが夢を実現したという話は聞きません。
まだ手にした訳でもない成果を自慢してくる謎ムーヴで勧誘してくるとかナイス度胸。
ああいう人たちは妙なポジティブシンキングにかぶれて、
「先に手に入れた体で発言しとくと、後から現実化する」
という言霊信仰をしてたりしがち…傍から見ると獲らぬ狸の皮算用システム。
ゲームセンターに行くと、今にも縁からこぼれそうなコインの滝みたいなやつありますよね。
「ペニーフォール」っていうやつ。
アレ、いかにもコインを数枚入れれば数十枚が押し出されて崩れ、滝の様に降ってきそうじゃないですか。
冷静に考えると、入れたコインは隙間に吸収され、平均的には出力は入力を下回る筈なんですよね。
パチンコやスロットマシーン等もこのペニーフォールと同じで、いかにも勝てそうに見えながら、実際は平均的には店側が儲かる様に出来ています。
これらのギャンブリング・マシーンは「ヒトは確率計算が苦手」という性質に付け込み、お金を巻き上げるために存在しているのです。
マルチもそう。
頑張れば達成できる様に見えても、絶妙に無理な目標値が設定されてて、なかなかランクが上がらない仕組みです。
◉「え、良いと思ったものを友達に薦めるのは普通のことでしょ?」
↓
友達は仲介料を貰ったり、それ目当てで執拗に薦めてきたりしねぇよ。
◉「ポジティブに生きようよ」
↓
マルチはポジティブシンキングや自己啓発といった疑似宗教と一体になっています。
成功を確信させ、周囲を勧誘させるためには、「為せば成る」といった前向きな考え方を吹き込み、洗脳するのが効果的だからです。
というか、歴史的には自己啓発セミナーの起源はマルチだったり。
しかし彼らの目指す「成功」とは、結局のところ「お金」でしかありません。
そのナマナマしさを消すために「やりがい」や「友達」を前面に押し立ててきますが…
一見キラキラした港区女子のインスタも、それぞれはマウント取られて歯噛みし、マウント取り返すために背伸びしたり、自分の生活の幸福そうに見える部分だけを切り取って加工してたりしがち。
宗教団体もニコニコ幸せそうな顔で近寄ってきますが、裏では出世争いや派閥争いでドロドロしがち。
ましてやバックマージンという、直接の利害が絡み合うマルチの内部がそんなにキラキラしてる訳ないよね…。
そんな人たちが方便で唱えるポジティ・シンキングなんて信じられます…?
◉「夢を邪魔する人にはならないで」
↓
子ネズミちゃんは「あ、コイツは仲間に引き込めねぇな」と悟ると離れようとしますが、周囲にマルチに対して懐疑的な情報をバラ撒かれると困るので、
「あなたが入らないと決断したのならもういい。でも他の人の夢を邪魔するのはやめてね」
等と釘を刺してくることがあります。
え、自分たちは好き勝手な寝言ポエムを周囲に吹き込みまくってるのに、反対意見は耳に入れさせないのかよ!
マルチははしかと同じです。
ウィルスに冒され、熱に浮かされた人が周囲に広めていく…しかし得をするのは次の宿主を見つけ広がることに成功した当のウィルスだけで、罹った本人は何も得をしません。
マルチの甘い囁きに引っかかる人の多くは社会経験のない大学生です。
どこかから入ってきて学内に燎原の火のごとく広がり、やがて勢いを失って終息しますが、それまでにどこか別の大学に飛び火します。
実際その様子は幼稚園から別の幼稚園に飛び火する「はしか」にそっくりです。
そして子ネズミちゃんは射幸心や淋しさに付け入ってきますが、特に末端に行くほど一人ひとりは善意で本気のことが多いでしょう。
彼らもまた被害者です。
しかし同時に加害者でもあるということは忘れてはならないことです。
あと最後に一番大事なことを。
もし相手に「ネズミ講じゃないよ~」とか「マルチじゃないよ~」とか言われても、説明の中で↓こんな図が出てきたらダッシュで逃げて~!

こういう人達がヤバいことは「いらすとや」のネタにすらなってるねんで?

※画像は「いらすとや」の「無限連鎖講のイラスト」(上)と「マルチ商法の勧誘のイラスト」(下)。
無限連鎖講とマルチ商法の仕組み(樹形図)には特に違いがない点に留意。
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