2022年04月03日


 ※前回のエントリの続き



  (承前) 




…という訳で、第一章を読んだだけでお腹いっぱいなのでこの辺で。 
まぁ基本的な考え方については第一章にまとまっていて、以降は各論になるのですが、肝心の根本がコレなので内容は推して知るべし、でしょう。 



…が、第二章冒頭がちょろりと目に入って来ちゃいました。 

59ページ 
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歴史の捏造者はよく「白鳥はみな白い」といった単純化を行います。そのようにした方が分かりやすいし、アピールするし、記憶されやすいからです。そのために「黒い白鳥」がいるかどうか調べず、あるいはいても無視します。「白鳥は、大部分は白いが、黒い白鳥もいる」ではわかりにくいし、インパクトもないから、と言い訳します。しかし、歴史の記述はインパクトではなく、正確さこそが生命なのです。 
現在、日本と中韓の間で「歴史問題」とされている
「南京事件」と「慰安婦問題」は反証可能な資料が存在しません。中韓は年寄りたちから証言を集めますがそれは、話しても聞き手もある意図を持っている、反証可能性のない個人証言でしかありません。それをいいことに「南京で30万人の中国人が虐殺された」とか「日本軍によって20万人の朝鮮人女性が強制によって慰安婦にされた」というように単純化された、よくアピールするキャッチフレーズをプロパガンダに使います。実際はそうでなかった可能性を示す反証がいくつもあがっているのですが、プロパガンダであるがゆえに、相手のあげる反証に耳を貸そうとしません。だから、議論が平行線をたどり、いい合いになってしまうのです。 
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…だそうです。 
なるほどね~、『歴史の記述はインパクトではなく、正確さこそが生命』…ええ話や。 

ちなみに有馬哲夫は南京事件の存在については否定していません。 
そらまぁそうやろ…南京事件についてはまともな研究者の間では左右の立場を超えてほぼ合意が形成され、わー国の政府も認めています。 
「中国が主張する30万人という数字は無茶」という点についてもそう。 
国内ではそもそも30万人説を鵜呑みにしている研究者などまずいません。 
なのにまるで国内に議論があるかの様に「30万人ガ―!」と言いつのるのは、誰もしていない主張を論破して勝った気になる「藁人形論法」です。 
まともでない主張として「南京事件などなかった」とする「まぼろし派」もいますが、これは歴史修正主義というか否認主義でしょ…。 

その点、有馬哲夫先生は反証主義を掲げ、南京事件についても率直に大筋で認めるという、知的誠実さに溢れたお方。 
歴史の捏造者はよく「白鳥はみな白い」といった単純化を行います。そのようにした方が分かりやすいし、アピールするし、記憶されやすいからです。そのために「黒い白鳥」がいるかどうか調べず、あるいはいても無視します。「白鳥は、大部分は白いが、黒い白鳥もいる」ではわかりにくいし、インパクトもないから、と言い訳します。しかし、歴史の記述はインパクトではなく、正確さこそが生命なのです。』 
とまでおっしゃる有馬哲夫先生の著書がこちらです。 

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…帯に堂々と『南京事件は中国のプロパガンダ』! 
単純化などしない先生の力強いお言葉が『南京事件は中国のプロパガンダ』…! 
まぼろし派の皆さんが大喜びしそうですね。 


有馬哲夫の肩書きはWikipediaによれば『公文書研究者』。 
公文書館などで一次資料を発掘するのがお得意のご様子。 
それは素晴らしいことです。 
しかし、自らの功績を誇りたいあまりか
「私のは一次資料だから反証可能性があるが、二次資料には反証可能性がない」
的なトンチキを言い出し、証言の重要性をやたら貶めるのはいかがなものかと。 
そのために自分自身でもあまり理解していない反証主義を持ち出すのはホント勘弁な! 


なお、有馬哲夫はエゴサーチがえぐい模様で、批判されると自著で反論するタイプの様です。 
粘着気質で何とも親近感が湧きますね。おまおれ。 



本書以降の著作はWikipediaによると… 
『こうして歴史問題は捏造される』新潮新書、2017年 
『原爆 ―私たちは何も知らなかった―』新潮新書、2018年 
『NHK解体新書 ―朝日より酷いメディアとの「我が闘争」―』ワック・新書判、2019年 
『日本人はなぜ自虐的になったのか ―占領とWGIP―』新潮新書、2020年 
『一次資料で正す現代史のフェイク』扶桑社新書、2021年 
『「慰安婦」はみな合意契約をしていた ―ラムザイヤー論文の衝撃―』ワック・新書判、2021年 


さらに動画検索すると『上念司チャンネル』にやたらと出演したり擁護されたりしてますね。 
おまけにこんなの↓も発見。 


【髙橋史朗】 
『髙橋史朗 20 – WGIP「陰謀史観」を論破した有馬哲夫の実証的反論』 

https://www.moralogy.jp/salon2000727-1/ 
…新潮・ワック・扶桑社!
ラムザイヤーを擁護、上念司や高橋史郎から擁護…! 
あまりのトンデモ系人脈にオラ、ワクワクしてきたぞ! 
出版社や人脈…こういうのは物事を考える上で「根拠」にはなりませんが、良い「指標」にはなるよね。 

では逆に左翼系からはどう見做されてるかというと… 

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早川タダノリ 
@hayakawa2600 
有馬哲夫『こうして歴史問題は捏造される』入手、冒頭「タレントや評論家に目立つのですが、中韓の嘘に対して嘘で応え…極端で、無責任で、対立を煽るだけのことしかいわないので、好ましくない」ってあって、自分は連中とは違うという切断しぐさに笑った。方法論としてはポパーの反証可能性一本槍か。 
午前10:54 · 2017年9月23日·Twitter Web Client 
25 件のリツイート 23 件のいいね 

早川タダノリ 
@hayakawa2600 
「歴史研究に右も左も国境もない」「私は「歴史イデオロギー」とは無縁です」「私は「右」でも「左」でもありません」としつこく繰り返しているが、それだけ自らの抱えているイデオロギーに無自覚だということの告白だ。これまたくりかえされる「日本ではGHQのWGIPの影響」云々で言わずもがな。 
午前11:01 · 2017年9月23日·Twitter Web Client 
34 件のリツイート 24 件のいいね 

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『ポパーの反証可能性一本槍』! と喝破されております。 

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早川タダノリ 
@hayakawa2600 
有馬哲夫の新刊の惹句に「プロパガンダに与せず、イデオロギーに依らず、謙虚に歴史を見つめる作法」とあってそっ閉じ。 
午前0:51 · 2017年9月18日·Twitter Web Client 
42 件のリツイート 1 件の引用ツイート 27 件のいいね 

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町山智浩 
@TomoMachi 
2000年代初めに『日本テレビとCIA 発掘された正力ファイル』や『原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史』で正力松太郎による読売・日本テレビによる保守メディア工作を暴いてから十年足らずでネトウヨに堕ちた有馬哲夫早大教授に何があったのか? 
午後0:50 · 2021年9月24日·Twitter Web App 
296 件のリツイート 22 件の引用ツイート 625 件のいいね 

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さらに『こうして歴史問題は捏造される』のAmazonレビューにこんなの↓発見。 

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ほたる源氏 
5つ星のうち1.0 冷静に読み解くと。 
2019年1月1日に日本でレビュー済み 
Amazonで購入 
本書で清水潔著「南京事件を調査せよ」と自著「歴史問題の正解」とを比較して論評を加えた個所がある。そこで筆者である有馬は、清水の著作を反証可能性に欠けた資料を基にしているとして批判しているが、私は逆の見方に立つ。清水の本は綿密な取材と現地調査によって反証として成立することを解き明かした労作であり、有馬は自認しているように欧米各国の公文書から歴史事実を検証する姿勢をとっているものの、そういう資料だけで歴史事実が知りえるのだろうか。たとえば南京事件当時日本兵として銃殺に加わったという人の手帳に書かれた日記録を歴史資料として認めないとしているが、いかがなものだろう。有馬の著作と清水の本とをなんども読み返して思うのは、有馬の著作方が自身が嫌悪する、よくない歴史修正主義の立場に陥って書かれたのでないかという疑問を払拭できない。 

78人のお客様がこれが役に立ったと考えています 

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あちこちのブログでも批判されてますね… 

【誰かの妄想・はてなブログ版】 
『安倍政権も有馬哲夫氏も共に歴史修正主義者なんじゃない?』 

https://scopedog.hatenablog.com/entry/2019/12/11/080000 

【葉梨愛ツイッター的ブログ】 
『早稲田大学は、今そこにいる歴史修正主義者、有馬哲夫教授とどう向き合うのでしょうか?』 

https://hanashiai901.blog.fc2.com/blog-entry-17990.html 

【加害者の孫を生きる ~日本軍「慰安婦」問題のこと、その他のこと】 
『有馬哲夫早稲田大学教授を批判する』

http://redress814.blog.fc2.com/blog-entry-191.html 


さらに解雇を求める署名活動を行われてたり。 


【渾沌から湧きあがるもの】 
『【賛同される方は署名を】差別を煽り歴史否定発言を繰り返す有馬哲夫教授の解雇と再発防止を求めます』 

https://ameblo.jp/awakinginheaven/entry-12702154908.html 
コレは以下の様なツイートが問題視された結果です。 

●『ヨーロッパでもアメリカでも、韓国人とか韓国系OO人は日本ブランドを利用して商売している。いかにも日本人がやっているように見せかけて寿司とかラーメンとか日本食を売っている。ヨーロッパ人やアメリカ人はそれを見抜いている。そういう人々だと思っている。だから日本政府が否定すれば世界は信じる』 
●『ソウルとか釜山に、日本人は韓国人のヘイトスピーチしていいが、韓国人は日本人のヘイトスピーチしてはならないという条例を作ってほしい。それなら釣り合が取れるだろう。日本の自治体は韓国とバーターで条例を作ってほしい。』 
●『あらゆる面で慰安婦は日本兵より恵まれていた。でも慰安婦を可哀想がる人はいても日本兵を可哀想がるひとはいない。しかも大半の日本人慰安婦女はいなかったことに。完全に逆差別。』 
●『こんな日本兵と朝鮮人慰安婦だったのに、韓国人は日本人に朝鮮人慰安婦のことで謝れという。賠償金を払えと言う。なんだか、とってもおかしい。朝鮮人慰安婦が日本兵に「ありがとう」の一言があっていいと思う。』 



…いやぁ、歴史研究に右も左も国境もないから、と歴史イデオロギーとは無縁に生きる有馬哲夫先生の絶妙な政治的バランス感覚には驚嘆させられますね。 
結局この人は「反証主義やで!」とか「インパクトより正確性やで!」とか「イデオロギー持ち込んだらあかんで!」とか、すごく良いこと言ってるのに 自分ではちっともまもらないんだなぁ トンデモだもの てつお 






(00:08)

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