2022年03月24日
今回は、 前回のエントリ
『戦慄の猫鬼研究会』
http://wsogmm.livedoor.blog/archives/13906195.html
のオマケです。
ネタは本編同様、湯本豪一『日本の幻獣図譜 大江戸不思議生物出現録』より。
画像も特記してない限り同書から。
懐疑主義的なツッコミは本編でもう散々やったので、オマケ編ではそっちで扱わなかった幻獣資料の正体について考えたり、純粋に雑談したり、普通にツッコんだりしていきます。
本編同様、特記のないものは湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)所蔵。
なお、資料自体の真実性が疑わしく、「最近のものでは…?」というものもありますが、この辺はビミョーなラインのものが多いのでその辺は一旦、棚上げです(と言いつつ、一部ツッコんでしまいましたが)。
ではどうぞ~。
P.26
『土州奇獣之図ならびに説』江戸時代

異形ながら妙なリアリティー…
尻尾が嘘っぽいけどその傍にちゃんと陰嚢があってやけにリアル。
どっかで見たコトあるな~コイツ…
『アフターマン』に出てくるウサギが進化した「ラバック類」の一種『ストランク』?

『マンアフターマン』の表紙?

ちなみに乗ってるのも載られてるのもニンゲンシンカ。
あとトビハナアルキに似てないですかコレ。


ついでに『鼻行類』のコイツ、手塚治虫キャラっぽい…

オムカエデゴンスとか、『火の鳥 望郷編』のズダーバンとか。
あと『アフターマン』のコイツが完全にハダカデバネズミ。

(以上6枚は拾い物)
P.27
『市谷田町の奇獣頭骨図』江戸時代

『天狗髑髏鑑定縁起』1776年刊 神戸市立博物館蔵

この2点はイルカの頭骨を上下逆にしたもの。
P.38・77
『神社姫』江戸時代

コレ、リュウグウノツカイじゃないですかね…
目撃者が
「龍の様な長い体で、鰭がいろんなとこに付いてた。背中一面に竜の棘みたいに生えててなぁ…頭からは角というか、女の長い髪の様なものが伸び、尾の先は三叉の剣状、胸にも同じようなものが生えてたな。ああ、胸の鰭には玉の様なものが付いてたよ」
と語ったのを、愚直に絵にしたらこうなるんちゃうんか、と。
まぁ「玉を持ってる」とかは文化的な意味もありそうだけど。
P.44~50
河童の図はどれもお互いに似てて、コピーの嵐。






原図から連綿と写しが作り続けられたことが見て取れます。
昔の恐竜本も有名な元ネタ絵からのコピーばかりになりがちでしたね。
コレは不気味…

河童の一種「ひょうすべ」に口が似てますね。

(上の画像は拾い物)
P.52~53
『河童考』 昭和50年

個人製作の肉筆本っぽい。
著者が祖父(昭和18年没)の遺した資料を参考に執筆したのだとか。
「河童の巣の断面図」や「卵の断面図」「冬眠の仕方」など、生態について妙に詳しい。
…なんか『怪獣解剖図鑑』とか、少年マガジンとかでやってた妖怪などの特集記事とか、大伴昌司イズムを感じます。
「河童の雌雄の性器」図もあって、このタブーなき探究心は学術っぽいのか、それとも性へのこだわりがおっさんぽいのか…

ちなみに93年に恐竜本で有名なヒサクニヒコが「カッパの生活図鑑」という似たコンセプトの本を出版してます。
P.78
『龍魚』 明治時代

完全にチョウザメ。
絵うまっ!
チョウザメの実物はこんな。

ついでにチョウザメの骨格というかミイラというか…

UMA感あるよね。
(上2点の画像は拾い物)
P.80~81
『電光の図説 豊年魚』江戸時代


湯本豪一は「二色刷りの瓦版(下)が売れたのでグレードアップして錦絵(上)にしたのでは?」的な推理を披露しているのですが…
逆では?
錦絵(上)の電光はたなびく尾のうねりが優美ですが、二色擦りの方(下)はぎこちなく、技術的劣化が見られます。
コレは逆では起こらないでしょ…。
上手い絵はコピーで簡単に劣化するけど、稚拙な絵を構図はそのままに細部に手を入れるだけで立て直すのはほぼ不可能ですからね…。
P.83 『大阪城堀の奇獣』江戸時代

後頭部の高まり、太い顎、前方ほど長い背部の棘、顎下にも棘…グリーンイグアナでは?
図にある耳の様なものは「鼓膜下大型鱗」という巨大な鱗でしょう。
グリーンイグアナはこんな。

(上の画像は拾い物)
何故かP.68の人魚図(江戸時代)↓とタッチが似てます。

どっちもやけに保存状態が綺麗。
↓大阪城堀の奇獣その2。

こちらは背中や腹部に並ぶ鱗や手足の形がワニに似てますね。
これホンマに同じ奇獣の図か…?
P.107
『天狗のミイラ図』 江戸時代

ムササビでしょう。
手の付け根から皮膜を支える針状軟骨が生えてますね。
絵、上手すぎ&保存状態がやけに綺麗。
ムササビ骨格はこんな。

(上の画像は拾い物)
P.108
『龍の骨』 江戸時代

サメの顎ですね。
内側と外側が逆になっています。
内側に次に生える歯が準備されてるのが見えますね。
サメの顎はこんな。

(上の画像は拾い物)
P.121 『怪奇伝承図誌』 本山桂川著 昭和19年

可愛いな! これもやけに綺麗。
P.123『 雷獣』江戸時代

手足がカメノテに激似すぎるやろ…。

(上の画像は拾い物)
あとこの爪はちょい上にある『怪奇伝承図誌』の図にも似てる気が。
P.114~115
『雷龍』江戸時代

『若州の幻獣』江戸時代

『竹生島 雷獣』江戸時代

『赤穂 雷獣』江戸時代

『雷龍』は1791年鳥取、
『若州の幻獣』は1791年福井県、
『竹生島 雷獣』は1802年滋賀県、
『赤穂 雷獣』は1806年兵庫県に落ちてきたそうな。
その割にこれらの図はいずれも綺麗で、絵のタッチや筆跡に共通性が…
特に『雷龍』と『竹生島 雷獣』は明らかにP.136『怪奇談絵詞』(江戸時代以降 福岡市博物館蔵)の図が元ネタ。

鳥取と滋賀の、11年差のある事件なのに、同じ絵から振り分けてるやん…。
のオマケです。
ネタは本編同様、湯本豪一『日本の幻獣図譜 大江戸不思議生物出現録』より。
画像も特記してない限り同書から。
懐疑主義的なツッコミは本編でもう散々やったので、オマケ編ではそっちで扱わなかった幻獣資料の正体について考えたり、純粋に雑談したり、普通にツッコんだりしていきます。
本編同様、特記のないものは湯本豪一記念日本妖怪博物館(三次もののけミュージアム)所蔵。
なお、資料自体の真実性が疑わしく、「最近のものでは…?」というものもありますが、この辺はビミョーなラインのものが多いのでその辺は一旦、棚上げです(と言いつつ、一部ツッコんでしまいましたが)。
ではどうぞ~。
P.26
『土州奇獣之図ならびに説』江戸時代

異形ながら妙なリアリティー…
尻尾が嘘っぽいけどその傍にちゃんと陰嚢があってやけにリアル。
どっかで見たコトあるな~コイツ…
『アフターマン』に出てくるウサギが進化した「ラバック類」の一種『ストランク』?

『マンアフターマン』の表紙?

ちなみに乗ってるのも載られてるのもニンゲンシンカ。
あとトビハナアルキに似てないですかコレ。


ついでに『鼻行類』のコイツ、手塚治虫キャラっぽい…

オムカエデゴンスとか、『火の鳥 望郷編』のズダーバンとか。
あと『アフターマン』のコイツが完全にハダカデバネズミ。

(以上6枚は拾い物)
P.27
『市谷田町の奇獣頭骨図』江戸時代

『天狗髑髏鑑定縁起』1776年刊 神戸市立博物館蔵

この2点はイルカの頭骨を上下逆にしたもの。
P.38・77
『神社姫』江戸時代

コレ、リュウグウノツカイじゃないですかね…
目撃者が
「龍の様な長い体で、鰭がいろんなとこに付いてた。背中一面に竜の棘みたいに生えててなぁ…頭からは角というか、女の長い髪の様なものが伸び、尾の先は三叉の剣状、胸にも同じようなものが生えてたな。ああ、胸の鰭には玉の様なものが付いてたよ」
と語ったのを、愚直に絵にしたらこうなるんちゃうんか、と。
まぁ「玉を持ってる」とかは文化的な意味もありそうだけど。
P.44~50
河童の図はどれもお互いに似てて、コピーの嵐。






原図から連綿と写しが作り続けられたことが見て取れます。
昔の恐竜本も有名な元ネタ絵からのコピーばかりになりがちでしたね。
コレは不気味…

河童の一種「ひょうすべ」に口が似てますね。

(上の画像は拾い物)
P.52~53
『河童考』 昭和50年

個人製作の肉筆本っぽい。
著者が祖父(昭和18年没)の遺した資料を参考に執筆したのだとか。
「河童の巣の断面図」や「卵の断面図」「冬眠の仕方」など、生態について妙に詳しい。
…なんか『怪獣解剖図鑑』とか、少年マガジンとかでやってた妖怪などの特集記事とか、大伴昌司イズムを感じます。
「河童の雌雄の性器」図もあって、このタブーなき探究心は学術っぽいのか、それとも性へのこだわりがおっさんぽいのか…

ちなみに93年に恐竜本で有名なヒサクニヒコが「カッパの生活図鑑」という似たコンセプトの本を出版してます。
P.78
『龍魚』 明治時代

完全にチョウザメ。
絵うまっ!
チョウザメの実物はこんな。

ついでにチョウザメの骨格というかミイラというか…

UMA感あるよね。
(上2点の画像は拾い物)
P.80~81
『電光の図説 豊年魚』江戸時代


湯本豪一は「二色刷りの瓦版(下)が売れたのでグレードアップして錦絵(上)にしたのでは?」的な推理を披露しているのですが…
逆では?
錦絵(上)の電光はたなびく尾のうねりが優美ですが、二色擦りの方(下)はぎこちなく、技術的劣化が見られます。
コレは逆では起こらないでしょ…。
上手い絵はコピーで簡単に劣化するけど、稚拙な絵を構図はそのままに細部に手を入れるだけで立て直すのはほぼ不可能ですからね…。
P.83 『大阪城堀の奇獣』江戸時代

後頭部の高まり、太い顎、前方ほど長い背部の棘、顎下にも棘…グリーンイグアナでは?
図にある耳の様なものは「鼓膜下大型鱗」という巨大な鱗でしょう。
グリーンイグアナはこんな。

(上の画像は拾い物)
何故かP.68の人魚図(江戸時代)↓とタッチが似てます。

どっちもやけに保存状態が綺麗。
↓大阪城堀の奇獣その2。

こちらは背中や腹部に並ぶ鱗や手足の形がワニに似てますね。
これホンマに同じ奇獣の図か…?
P.107
『天狗のミイラ図』 江戸時代

ムササビでしょう。
手の付け根から皮膜を支える針状軟骨が生えてますね。
絵、上手すぎ&保存状態がやけに綺麗。
ムササビ骨格はこんな。

(上の画像は拾い物)
P.108
『龍の骨』 江戸時代

サメの顎ですね。
内側と外側が逆になっています。
内側に次に生える歯が準備されてるのが見えますね。
サメの顎はこんな。

(上の画像は拾い物)
P.121 『怪奇伝承図誌』 本山桂川著 昭和19年

可愛いな! これもやけに綺麗。 P.123『 雷獣』江戸時代

手足がカメノテに激似すぎるやろ…。

(上の画像は拾い物)
あとこの爪はちょい上にある『怪奇伝承図誌』の図にも似てる気が。
P.114~115
『雷龍』江戸時代

『若州の幻獣』江戸時代

『竹生島 雷獣』江戸時代

『赤穂 雷獣』江戸時代

『雷龍』は1791年鳥取、
『若州の幻獣』は1791年福井県、
『竹生島 雷獣』は1802年滋賀県、
『赤穂 雷獣』は1806年兵庫県に落ちてきたそうな。
その割にこれらの図はいずれも綺麗で、絵のタッチや筆跡に共通性が…
特に『雷龍』と『竹生島 雷獣』は明らかにP.136『怪奇談絵詞』(江戸時代以降 福岡市博物館蔵)の図が元ネタ。

鳥取と滋賀の、11年差のある事件なのに、同じ絵から振り分けてるやん…。
(02:05)








